続・再生音とは……(その6)
再生音とは……、ということについてあれこれ考えていると、
アトムのことが頭に浮ぶ。
アトム──、
鉄腕アトムのことだ。
マンガは幼いころから読んできた。
とくに手塚治虫のマンガは集中的に、意識して読むようにしてきた。
私にとっては「昭和が終った……」と実感したのは、手塚治虫の死だった。
ブラック・ジャックが、私にとって最初のヒーローだった。
ブラック・ジャックのような大人になりたい、と思っていた。
何も医者になりたいわけではなかったけれど、
どんな職業につくにしろ、ブラック・ジャックのように生きてきたい──、
そんなことを夢想していた。
このことを書いていくと、別の話になっていくのでこのへんにしておいて、
アトムに話を戻せば、アトムはいわゆる人型のロボットである。
天馬博士が事故でなくなった息子・飛雄(トビオ)の替りとして、似せられてつくられたロボットであるから、
人型、それも少年としてのロボットである。
鉄腕アトムだけでなく、手塚治虫のマンガの中には、さざまなロボットが登場する。
アトムのような人型のロボットもいれば、ある機能に特化した形態のロボットも登場する。
それら数多くのロボットの中で、アトムは突出して優れたロボットと位置づけられる。