Date: 2月 12th, 2013
Cate: ベートーヴェン
Tags:

待ち遠しい(アニー・フィッシャーのこと)

読響アーカイブ・シリーズとして、
ハンガリーのピアニスト、アニー・フィッシャーによるモーツァルトのピアノ協奏曲のCDが今月末発売される。

20番と23番のカップリングで、
20番は1983年公演、23番は1994年公演を収録したもの。

1994年の公演には行けなかったが、1983年の公演には行っている。
といっても、今回発売されるCDの公演ではなく、アニー・フィッシャーのソロ・リサイタルのほう。

実はアニー・フィッシャーの名前は、そのときまで知らなかった。
ただ何かのコンサートにいったとき、会場の前で配られるチラシの束のなかに、
アニー・フィッシャーのリサイタルのものがはいっていたのが、きっかけといえばきっかけであった。

この手のチラシには、聴き手の興味を煽るようなことも書かれていることがある。
いかにも、素晴らしい演奏家が来日してくれる、といったようなことも書かれていることがある。
30年前のことだから、なぜ興味をもったのかも憶えていない。

おそらくベートーヴェンの後期のピアノソナタを、コンサートで聴いてみたい。
ただ、それだけで聴きにいったのかもしれない。

期待していたとはいえない聴き手であった私だったけれど、
当日のベートーヴェンには圧倒されたことだけ、いまでも心に残っている。

このときだけである、楽屋まで行きサインをもらったのは。
とにかくアニー・フィッシャーという人を間近でみたかった。

小柄な人だった。
1914年生れだから、このとき69歳か68歳。
煙草をくわえてのサインに応じているアニー・フィッシャーの姿は、独特の貫禄があった。

このときハタチの若造は、
その日のベートーヴェンがどう素晴らしかったのもよくわからず、ただ感動していただけだった。
だから、その日から30年経ち50になった耳で、
もういちど、あの夜のアニー・フィッシャーのベートーヴェンを聴きたい、と思う。

30年前、行けなかったモーツァルトのピアノ協奏曲も素晴らしいとおもうし、
いまから聴けるのを楽しみにしている。
それでも、私としては、あの日のベートーヴェンをもういちど確認したい。

録音されているのかどうかもわからない。
残っているのであれば、ぜひCDにしてほしい。
その日がくるのであれば、待ち遠しい。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]