muscle audio Boot Camp(その22)
1990年代、ゴールドムンドのMimesisシリーズのパワーアンプが登場し、
高い評価を得ていた。
Mimesisシリーズのパワーアンプは、電源部の平滑コンデンサーの容量に特徴があった。
それまで大容量を謳うメーカー(アンプ)は数多くあったなかで、
ハイスピードの実現ということで、あえて小容量のコンデンサーを採用していた。
そのかわりというか、電源トランスはかなり大きいものを搭載していた。
そのころから、アンプのハイスピード化には、平滑コンデンサーに大容量のモノを使うのは、
ダメみたいな受け止め方もされるようになってきた。
けれど実際のところ、ほんとうのところどうなのだろうか。
私の考えでは、出力段がA級かB級かによって、最適なコンデンサーの容量は違ってくる。
A級アンプだと、アイドリング電流をたっぷりと流して、出力段に流れる電流の変化幅も小さい。
こういうアンプの場合は、大容量のコンデンサーを搭載した方が、
一方、アイドリング電流をあまり流さないB級(もしくはA級領域が少ないAB級)の場合、
電流の変化幅は、出力が大きいほどに変化するわけだから、
容量の大きさよりも、反応速度を重視すべき──、なのではないだろうか。
そのことを無視して、単に平滑コンデンサーの容量が大きい方がいい、
いや小さい方がいい、というのは、不毛でしかない。