オーディオがオーディオでなくなるとき(その20)
年齢とキャリアの長さから順当に考えれば、
柳沢功力氏の次の選考委員長は、傅 信幸氏だろう。
けれど、そうだろうか。
別項「編集者の悪意とは(その5)」で書いている。
最近は少し変化が見られるように感じるが、
少なくとも一年前までは、柳沢功力氏の次のポジションにいれるのは小野寺弘滋氏だった。
読者のなかには、ステレオサウンド筆者のトップは柳沢功力氏で、
その次が傅 信幸氏で……、と思っている人も少なくないようだ。
けれど、ステレオサウンドの特集での筆者の扱いをみれば、
編集部がどう考えているのは、実にはっきりとしている。
柳沢功力氏と小野寺弘滋氏はほぼ同じの扱いといっていい。
その次に傅 信幸氏、三浦孝仁氏、和田博巳氏という順である。
柳沢功力氏の次は、小野寺弘滋氏なのかもしれない。
どちらになるのかはわからない。
どちらになってもおかしくない。
もしかすると、もう選考委員長はおかないようになるのかもしれない。
誰が選考委員長になっても同じなのかもしれない。
柳沢功力氏の次は誰なのか。
こんなことを考えているということは、
少なくとも私のなかでは、ステレオサウンドはステレオサウンドでなくなっているのだろう。
ステート・オブ・ジ・アート賞から始まった賞、
現在のステレオサウンド・グランプリは、
その名称からいっても、ステレオサウンドの象徴のはずだ。
けれど、その象徴である賞をめぐる環境が変化しようとしている。
染谷 一氏がオーディオ評論家になれば、
小野寺弘滋氏のときと同じに、自動的に選考委員になるはずだ。