Date: 6月 2nd, 2023
Cate: きく
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野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その9)

スピーカーはスピーカーの音を聴いている──。

以前、別項で、そう書いた。
スピーカーはスピーカーの音を聴くなんて、なんと非科学的な、
という人もいるのはわかっている。

あくまでも感覚的なことなのだが、それでもそうおもってしまうことが、
オーディオをながく続けていると、そういう結論めいたことに行き着くことがある。

そんなこと、一度もない、という人もいるし、
私と同じように、そう感じている人もいる。

どちらが正しいとか間違っているとか、
上とか下とか、そういう問題ではなくて、
同じオーディオを趣味としている、といっている者であっても、
そのくらいの違いがある、という事実でしかない。

5月28日の夜、野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会に集まった数人と飲んでいた。
あれこれ話して駅で別れた。
私一人、反対方向の電車に乗る。

一人になって、(その8)で書いたことをおもっていた。
カザルスのバッハの無伴奏の音について、である。

なぜ、カザルスのバッハが、それまでの三枚とまるで違う鳴り方だったのか。
その理由について考えていると、
結局のところ、スピーカーはスピーカーの音を聴いている、という結論にたどりつく。

そんな非科学的なことが結論か──、といわれれば、
そうかもしれませんね、というしかないが、
スピーカーはスピーカーの音を聴いている、としか説明のしようのないことが、
現実にはあることはかわりようがない。

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