Archive for 3月, 2022

Date: 3月 25th, 2022
Cate: コントロールアンプ像

パッシヴ型フェーダーについて(その7)

グラフィックイコライザーを、
本当の意味で使いこなされていたのは、私の知るかぎりでは菅野先生だけである。

他にも、菅野先生と同じレベルで使いこなしている人は、きっといよう。
でも、私が知るかぎり、私が音を聴いている範囲では菅野先生だけ、といえる。

知人でグラフィックイコライザーの有用性を以前から唱えている人がいる。
彼のグラフィックイコライザー歴は、菅野先生ほどではないにしても、そこそこ長い。
それに各社さまざまなグラフィックイコライザーを使ってもいる。
けれど、その使い方(目的)はずいぶんと違う。

結果として、出てくる(鳴ってくる)音は、大きく違っている。
部屋が違い、スピーカーが違い、アンプその他も違うから──、
ということでの音の違いではない。

グラフィックイコライザーの使い方の違いによる音の違いが、
顕著にそこにはある。

知人は、彼によってイヤな音を出したくないためのグラフィックイコライザーである。
もちろんそればかりではないのだろうが、
第一にグラフィックイコライザーを使う理由は、そうである──、
そうとしか感じられない音でしかない。

私だけがそう感じたのではなく、
グラフィックイコライザーを通した音、パスした音、
両方の音を聴いた人は、そう感じていたし、
グラフィックイコライザーを通した音だけを聴いた人でも、そう感じた人がいる。

知人の使い方が間違っている、とはいわないまでも、
グラフィックイコライザーを積極的に使っている、というだけで、
菅野先生と知人を同じに捉えてはいけない。

Date: 3月 25th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その26)

604-8Gのシステム構想をあれこれ練るのは楽しい。
どんなシステムにするのかは、どんなエンクロージュアにするのかに大きくかかっている。

まず浮ぶのは、
ステレオサウンド 51号のマイ・ハンディクラフトに登場した
ジェンセンのバス・ウルトラフレックス型である。

604-8Gだけを鳴らすのであれば、このエンクロージュアがいい、といまでも思っている。
けれど、ここで考えているのは、6041を超えるシステムであり、
ワイドレンジを狙ったものであるから、トゥイーターとウーファーを足すことが前提となる。

バス・ウルトラフレックス型エンクロージュアに604-8Gをおさめ、
サブウーファーは別エンクロージュアにする、
トゥイーターはバス・ウルトラフレックス型エンクロージュアの上にのっける。

かなりおおがかりになるけれど、失敗することはあまりない、ともいえる。
けれど、ここで大事なのは6041を超えるということであり、
一つのスピーカーシステムとしてまとめることである。

そうなるとエンクロージュアをどうするのかが、とても難しく重要となってくる。
6041のエンクロージュアは内部で二分割されていた。
サブウーファーと604-8Gのクロスオーバー周波数は350Hzである。

個人的には604-8Gはもう少し下の帯域まで使いたい(鳴らしたい)。
そのためには604-8Gのバックキャビティはどのくらいにするのか。

それよりも604-8Gをとにかく朗々と鳴らしたい、という欲求が頭を擡げてくる。
バス・ウルトラフレックス型エンクロージュアという選択も、
そのことがあってのものだ。

となると平面バッフルに604-8Gと取り付ける、という方法を考えることになる。

Date: 3月 24th, 2022
Cate: コントロールアンプ像

パッシヴ型フェーダーについて(その6)

完璧なリスニングルームも完璧なスピーカーシステムも、
いまのところ存在していない。

完璧でないリスニングルームに、完璧でないスピーカーシステムを置く。
つまりリスニングルームとスピーカーシステムの相性によっては、
クセの強い音、特に低音が鳴ってくることもある。

そういう場合にどうするのか。
リスニングルームを建て替えることができれば、それが一番の解決法だが、
多くの人がやれる方法ではないし、建て替えたリスニングルームにおいては、
また別の相性の問題が発生するかもしれない。

ならばスピーカーシステムを買い替えるのか。
リスニングルームの建て替えよりは、ずっと現実的なのだが、
そのスピーカーシステムがずっと憧れてきて、やっと手に入れたモノであれば、
そんなに簡単に買い替えできるわけでもない。

リスニングルームの建て替えもスピーカーシステムの買い替えもダメだとしたら、
ルームチューニング、音響パネルと呼ばれている製品を、あれこれ買ってきては試すのか。

うまくいけば効果は十分得られるだろう。
市場にはいくつもの音響パネルがある。

こんなに効くのか、と驚くモノもある。
けれど、中にはそうではないモノもある。
それにこれらの製品の外観も、また無視できない。

その見た目が許せるモノとそうでないモノとがあるし、
どんなに効果があるとわかっていても、そういった製品で壁を埋め尽くそうとは思わない。

選択肢はまだある。
グラフィックイコライザーである。

Date: 3月 24th, 2022
Cate: 映画

THE BLUE NOTE STORY(その3)

映画“THE BLUE NOTE STORY”、
最終日の今日、やっと観てきた。

それまでは午前と午後の二回上映だったのが、
3月18日からは午前中一回のみになっているため、
なかなか都合がつかずにぎりぎりになってしまった。

アップリンク吉祥寺は、パルコ吉祥寺の地下二階にある。
アップリンクの前は、そこは書店だった。

吉祥寺に寄るときは、その書店によく行っていた。
この書店が閉店してからはパルコに行くことも極端に減ってしまった。

なので大型のシネマコンプレックスとは、映画館としてのつくりが違う。
天井も高くないし、おおがかりな音響装置があるわけでもない。

ただしスピーカーは田口音響製である。

それに上映中に立って歩く人がいると、その人の影がスクリーンに投影される。
今日はそうだった。
遅れて入ってきた人の影が、スクリーンを横切る。
しかも、この人、完全に終了していないときに出て行ったものだから、また影が横切る。

帽子のシルエットが同じだったから、同じ人のはずだ。

“THE BLUE NOTE STORY”は、熱心なジャズの聴き手ではない私が観ても興味深かった。
いずれストリーミングでも観れるようになるだろうから、その時は観てほしい。

私が個人的に印象に残っている、というか、
いわれてみると、たしかにそうだ、と感じたのは、
ブルーノートは録音しレコードを出すことで、
アメリカの公民権運動の一翼を担っていた、というところだ。

そういう見方をしたことがなかっただけに、
この時代、リアルタイムにブルーノートのレコードを聴いてきた人は、
どう思っているのだろうか──、
そのことが知りたくもなった。

今日(3月24日)は岩崎先生の命日である。
岩崎先生は、この映画にどんな感想をもたれただろうか。

Date: 3月 23rd, 2022
Cate: コントロールアンプ像

パッシヴ型フェーダーについて(その5)

パラメトリックイコライザー、グラフィックイコライザーの存在に否定的な人は、
コントロールアンプとパワーアンプ間に、
これらのイコライザーを接続した場合の音、
これらを省いてダイレクトに接続した音を比較して、
ほら、これだけ音が変るだろう──、といったりする。

接続ケーブルだけでも音は変るし、
アンプの置き方、置き台によっても音は変るくらいなのだから、
これらのイコライザーを挿入すれば、もちろん音は変る。
変らない方がおかしい、ともいっていい。

ここでの「変る」は、否定的な人にとっては、
音質の劣化を意味している。

劣化した音は、どうやっても回復させることはできない──、
というのは、確かに事実であるわけだが、
ここで重要なのは、パラメトリックイコライザーにしても、
グラフィックイコライザーにしても、使いこなしてこその評価であるべき、ということだ。

1/3オクターヴのグラフィックイコライザーは、一朝一夕に使いこなせるものではない。
測定器をもってきて、周波数特性を測って、それがフラットになれば、
使いこなした、といえるものではない。

ピークのある周波数のところをグラフィックイコライザーで減衰させたり、
ディップのあるところを持ちあげたりする──、
そういう認識では、いつまで経っても使いこなせるようにはならない。

つまりイコライザー類の評価には、そうとうな時間を要するし、
そのうえで、本当に音質は劣化するのかどうかを検討すべきである。

Date: 3月 22nd, 2022
Cate: コントロールアンプ像

パッシヴ型フェーダーについて(その4)

パッシヴ型フェーダーを用いることでコントロールアンプを使わない、
そんな選択の対極にあるのが、コントロールアンプを使うに留まらず、
コントロールアンプとパワーアンプ間に、
パラメトリックイコライザーやグラフィックイコライザーを挿入する、というのがある。

ここでのコントロールアンプはトーンコントロール付きと考えてもらってもいい。
周波数特性をいじる機能が、いくつもあるシステム構成は、
パッシヴ型フェーダーを使い、そういった機能を省略したシステム構成と比較すれば、
音の鮮度という点では、不利といえば不利なのだが、
ここで考えたいのは、そういった機能を使いこなした場合においてでも、
不利といえるのか、である。

瀬川先生はトーンコントロールがないコントロールアンプは、
使う気になれない、と公言されていた。

長島先生はトーンコントロールを否定されてはいなかったけれども、
トーンコントロールをどんなにうまく使おうとも、本質は変化しない──、
そういう考えをされていた。

菅野先生は、積極的にシステムにイコライザー類をとりいれられていたし、
その使いこなしに、そうとうな情熱と時間を費やされていた。

瀬川先生が、ステレオサウンド 53号でマークレビンソンのML6について書かれている。
ML6は音の純度を追求するために、コントロールアンプにも関わらずモノーラル構成で、
入力セレクターとレベルコントロールのみというつくりである。
     *
 だいたいこのML6というアンプは、音質を劣化させる要素をできるだけ取り除くという目的から、回路の簡素化を徹底させて、その結果、使いやすさをほとんど無視してまで、こんにちの技術水準の限界のところでの音質の追求をしている製品だけに、そういう事情を理解しない人にとっては、およそ使いにくい、全く偏屈きわまりないプリアンプだ。個人的なことを言えば、私はレコードを聴くとき、できればトーンコントロールが欲しいほうだから、本来、こんな何もないアンプなど、使う気になれないというのが本心だ。
 そうでありながら、このML6の鳴らす音を一度耳にした途端から、私はすっかり参ってしまった。なにしろおそろしく透明で、素直で、音の表情を素晴らしくナイーヴに、しなやかに、鳴らし分ける。どこか頼りないくらい柔らかな音のように初めのうちは感じられるが、聴いているうちに、じわっとその音のよさが理解されはじめ、ふわりと広がる音像の芯は本当にしっかりしていることがわかる。こういう音を鳴らすために、いまの時点でこういう使いにくさがあるとしても、こりゃもう仕方ないや、と、いまやもうあきらめの心境である。
     *
ML6の音は、
《おそろしく透明で、素直で、音の表情を素晴らしくナイーヴに、しなやかに、鳴らし分ける》、
これを読んで、ML6に憧れた時期が私にもある。

このころ10代だった人は、ML6に特別な感情をもつ人が少なくないように、
いまも感じている。

いま読み返して再確認したのは、ここには鮮度という単語がないことだ。

Date: 3月 21st, 2022
Cate: 組合せ
1 msg

石積み(その3)

不揃いの石を積んでいく。
全く同じ形、同じ大きさの石は世の中にはない(はずだ)。

そういった不揃いの石を、
モルタルもコンクリートも使わずに積んでいくのが、空積みと呼ばれる施工法である。

空積みは教わったからといって、誰にでもできることではない。
だから多くの人は、石を積むのであれば、
モルタルやコンクリートを石と石の隙間に流し込む。
練積みである。

その1)で、
石は、その人にとってのこれまでの体験でもあり、
石はまた人でもある、と書いた。

ならば練積みにおけるモルタルとコンクリートは、なににあたるのか。

Date: 3月 21st, 2022
Cate: 老い

老いとオーディオ(なにに呼ばれているのか・その2)

その1)からほぼ三年。

なにかに呼ばれて、ここまでオーディオの道をやってきた──、
そんなふうに感じるというか、そういう感覚が芽ばえてきての三年である。

なにかが、なんなのかは、あいかわらずわからないけれど、
三年前よりも、なにかに呼ばれて、ここまで来た、という実感は強くなっている。

Date: 3月 20th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その25)

アルテックの6041は、アルテックが自発的に開発したシステムとは、
当時高校生だった私でも、素直にそうとは思えなかった。

JBLの4343をそうとうに意識したスピーカーシステムだったし、
日本の輸入元の意向がそうとうに取り入れられたような気もしていた。

実際にそうだった、ようだ。
ステレオサウンドで働くようになって、
編集部の先輩から、そう聞いている。
6041のトゥイーターが日本製だということも、その時聞いている。

だからといって、私にとっての6041の魅力が半減したわけではなかった。
急拵えだったのだろう、おそらくは。

それでも瀬川先生が、あれだけ評価されているのだから、
じっくりとアルテックが本腰をいれて改良モデルを発表していけば、
ロングセラーモデルになったのかもしれない。

当時、アルテックの輸入元とピラミッドの輸入元は同じだった。
だからこそ6041にピラミッドのT1を──、ということを考えてしまうわけだ。

T1はペアで40万円ほどする非常に高価なトゥイーターだった。
6041に搭載されるには、高価すぎるトゥイーターではあった。
それでもステレオサウンド別冊「HIGH-TECHNIC SERIES 3」を読みふけっていた私には、
6041+T1の音は、素晴らしく魅力的なのでは、と思い描かせるだけの力量があったはずだ。

「HIGH-TECHNIC SERIES 3」では、4343の2405のかわりに、
T1にした音について、井上卓也、黒田恭一、瀬川冬樹の三氏が語られている。

T1の音は、JBLよりも明らかにアルテック寄りの音だったはずだ。
この高価なリボン型トゥイーターを聴く機会はなかった。

こんなおもいが、あの当時からある。
なので、いま604-8Gにトゥイーターを足すのであれば、
T1と同じリボン型のエラックの4PI PLUS.2が第一候補にくる。

Date: 3月 19th, 2022
Cate: スピーカーの述懐
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あるスピーカーの述懐(その30)

スピーカーはスピーカーの音を聴いている──。

辻村寿三郎氏が、ある対談でこんなことを語られている。
     *
部屋に「目があるものがない」恐ろしさっていうのが、わからない方が多いですね。ものを創る人間というのは、できるだけ自己顕示欲を消す作業をするから、部屋に「目がない」方が怖かったりするんだけど。
(吉野朔実「いたいけな瞳」文庫版より)
     *
辻村寿三郎氏がいわれる「目があるもの」とは人形のことだ。
対談では続けて、こうも言われている。
     *
辻村 本当は自己顕示欲が無くなるなんてことはありえないんだけど、それが無くなったら死んでしまうようなものなんだけど。
吉野 でも、消したいという欲求が、生きるということでもある。
辻村 そうそう、消したいっていう欲求があってこそもの創りだし、創造の仕事でしょう。どうしても自分をあまやかすことが嫌なんですよね。だから厳しいものが部屋にないと落ち着かない。お人形の目が「見ているぞ」っていう感じであると安心する。
     *
人形作家の辻村氏が人形をつくる部屋に、「目があるもの」として人形を置く。
同じ意味あいで、オーディオマニアが、己のリスニングルームに「耳があるもの」を置く。

「耳があるもの」イコール・マイクロフォンではないような気がする。
マイクロフォンは「耳があるもの」ではなく、耳の代理であるからだ。

「耳があるもの」としてのオーディオ機器は、以前も同じことを書いているが、
やはりスピーカーである。

スピーカーとマイクロフォンの動作原理は,基本的に同じだ。
つまりスピーカーユニットはマイクロフォンの代りになる。

そんなことをいっても、あくまでも理屈の上のことだろう、と思われるかもしれないが、
バスドラムの録音に、
とあるスピーカーメーカーのウーファーユニットを使っている録音スタジオがある。
かなり名の知れたスタジオであるし、
そのウーファーのメーカーも同様によく知られているメーカーだ。

それに、かなり以前、スピーカーから出た音が部屋の壁や床に反射して、
スピーカーの振動板を揺らしている──、という測定結果を見た記憶がある。

片側のスピーカーから音を出して、
音を出していない方のスピーカーの端子にオシロスコープを取り付けるという測定だった。

だからスピーカーこそ「耳があるもの」というのは、強引すぎかな、とは思うのだが、
それでもスピーカーのセッティングにおいて、
「耳があるもの」という意識をもって臨むのか、
まったくそんなこと気にせずにやるのか。

Date: 3月 18th, 2022
Cate: スピーカーの述懐

あるスピーカーの述懐(その29)

ある聴き手の目の前にあるスピーカー、

つまりその聴き手がいま音楽を聴いているスピーカーは、
その聴き手を挑発しているのだろうか。

聴き手を挑発するスピーカーもあれば、まったくそうでないスピーカーもある。

それにある人にとっては挑発といえるスピーカーが、
別の人にとっては、まったくそうでなかったりもする。

挑発するスピーカーだとしても、どう聴き手を挑発するのか。
このあたりが、スピーカーにおける良友と悪友に関係してこよう。

そのうえで、スピーカーは聴き手を挑発するのか、
それともスピーカーは鳴らし手を挑発するのか。

Date: 3月 17th, 2022
Cate: デザイン

日米ヒーローの造形(その4)

月曜日に、映画「ザ・バットマン(THE BATMAN)」を観てきた。
今日、5月から公開の「シン・ウルトラマン」の新しい映像が公開になった。
ウルトラマンの後ろ姿である。

いろんな意味で対照的だな、と思い、
その3)からあいだが空いてしまったけれど、また書き始めている。

「シン・ウルトラマン」に登場するウルトラマンは、
ウルトラマン(着ぐるみ)ではなくウルトラマン(CGI)である。

そのことがあって、というか、そのための、というべきなのだろうが、
ウルトラマンのデザイナーである成田亨氏の元のデザインそのもの、といえる。

ウルトラマン(着ぐるみ)にあった着脱に必要なファスナーを隠すための背びれがない。
カラータイマーもない。

それだけでない体型そのものが、人間のようでいて、人間と違っている。
後ろ姿を見ると、よけいにそのことを感じる。

なにか似ている──、と思いつつ、
シン・ウルトラマンの後ろ姿が公開になったことを友人のAさんに伝えると、
「仏像のような雰囲気ですね」という返事があった。

たしかに、そうだ。
仏像のようなシルエットである。

仏像のようなシルエットのウルトラマンが、怪獣と戦うのか。

Date: 3月 17th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その24)

その1)を書いたのは、2009年12月2日である。
この日に、私のところにアルテックの604-8Gが届いた。

その2)で、
《タンノイとアルテック、ふたつとも手に入れてシステムを組むというのは、いまは無理だ》
とも書いている。

なのに、2020年夏にタンノイのコーネッタを手に入れたことで、
アルテックとタンノイ、両方所有することになった。
といってもアルテックの604-8Gは元箱に入ったまま。

コーネッタに搭載されているのはHPD295Aである。
マグネットは、ウーファーとトゥイーターで兼用されている。
アルテックの604は、いうまでもなく独立している。

タンノイもウーファーを足して3ウェイにしたモデル、
さらにトゥイーターも足して4ウェイにしたモデルでは、
ウーファーとトゥイーターのマグネットは独立している。

このことからいえるのは、ウーファー、トゥイーターを足して、
ワイドレンジ化をねらうのなら、マグネットは独立していたほうがいいのかもしれない。

となると604-8Gではシステムでは、やはりワイドレンジをめざしたい。
6041への想いも、そこにはあるからだ。

アルテックのスピーカーシステム、6041は、別項で書いているように、
可能性としては面白くなりそうではあったものの、
結局、アルテックは完成度を高めていくことができなかった。

トゥイーターひとつとっても、6041搭載のトゥイーターがそれほど優れていたとは思えない。
瀬川先生はステレオサウンド53号で、
《♯6041用の新開発といわれるスーパートゥーイーターも、たとえばJBL♯2405などと比較すると、多少聴き劣りするように、私には思える。これのかわりに♯2405をつけてみたらどうなるか。これもひとつの興味である》
と書かれていた。

2405がついた6041の音は、どんなふうに変化しただろうか。
いい結果が得られたような気がするけれど、
実際の製品として、アルテックのスピーカーシステムにJBLのユニットが搭載されることは、
まずない、というよりも絶対にないことだ。

あの当時、6041のトゥイーターとしてベストだったのは、
ピラミッドのリボン型トゥイーターT1だっただろう。

Date: 3月 16th, 2022
Cate: 老い

老いとオーディオ(ジュリーニのブラームスの四番・補足)

ゆっくりと、力をこめる。
こういう音でジュリーニの演奏は聴くべきである──、
と五年前に書いている。

改めて、そう思っている。
そういう音でジュリーニを聴いてほしい、と思うし、
そういう音を出せるようになりたい。

Date: 3月 16th, 2022
Cate: 映画

THE BLUE NOTE STORY(その2)

映画“THE BLUE NOTE STORY”、
東京では角川シネマ有楽町とアップリンク吉祥寺の二館だけ。

角川シネマ有楽町は、3月11日の公開から一週間で上映は終る。
明日(3月17日)まで、である。

アップリンク吉祥寺は3月24日まで上映している。
明日までは一日二回上映だったのが、午前中の一回のみになる。