Archive for 9月, 2021

Date: 9月 7th, 2021
Cate: オーディオ評論

B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その11)

試聴室に届いたB&Wの801Fを開梱して、セットする。
中高域のサブエンクロージュアを、ウーファーのエンクロージュア上部に取り付ける。

その際に、こんな簡単(いいかげんな)取り付け方と思ったのを、
いまもはっきりと思い出す。

それまで期待は膨らみ続けていた。
それが一瞬にして萎み始めた。

でも、音は聴いてみないことにはわからない。
音が鳴ってくるまでは、期待はまだまだ残っていた。

801Fを貶めるつもりはまったくないし、悪いスピーカーとも思っていない。
ただこちらが一方的に期待していただけのことであり、
その期待が裏切られた、ということでしかない。

私は勝手にKEFのModel 105のスケールアップした音を期待していた。
そういう音が、801Fからは鳴ってこなかった。
それだけのことである。

それでも期待とは違っていても、こちらをワクワクさせる音が鳴ってくれれば、
B&Wに対する私の印象は、ずいぶん変ったはずだ──。

そう思う反面、ほんとうにそうなっただろうか、と思う気持がそうとうに強くある。

801Fを聴いて、KEFの105と似た格好ながら、精度感が足りないと感じた。
音の体温といいたくなるところも、ぬるいと感じた。

KEFの105の音も、音の体温が高いわけではない。
けれど、その体温感を不快とは感じなかった。
つまりぬるいとは感じなかった。

なのに801Fの音はぬるいと感じた。
このぬるいは、あきらかに不快感である。

801で始まったB&Wの800シリーズは、それから三十年以上かけて、ずいぶん進歩した。
最近の800シリーズの音を聴いて、ぬるいとは感じなくなった。
精度感のたりない音とも感じない。

けれど、音に血が通っている感じを、そこから感じとれるかというと、
つまり音楽を聴いて、血の通った音と感じられるかとなると、
私は疑問が残ってしまう。

正しい方向に向っているのか、
精確な方向に向っているだけなのではないのか。

Date: 9月 7th, 2021
Cate: ショウ雑感

2021年ショウ雑感(その25)

毎日夕方に発表される感染者数は、
誰の目にもあきらかな数値である。

今日も減ってきている。
いい傾向だ、と素直に喜べないのは、
身近に迫ってこないと見えてこない面があるのがわかっているからだ。

昨年12月に、仕事関係の人がやはり感染した。
一緒に仕事をした人が濃厚接触者となり、保健所から連絡があり、
PCR検査を受けて、結果は陰性。

先月末、私が置かれた状況は、その人とほぼ同じといえる。
なのに保健所からは連絡はこないし、
今回コロナに感染した人からの連絡では、私は濃厚接触者に当らない、とのこと。

昨年12月の例と今回の私の例。
どれだけ違うのだろうか。ほとんど違わない。
なのに12月の人は濃厚接触者となり、私は関係ないことになる。

なので自主的にPCR検査を受けた。
八ヵ月ほどで、判定基準があきらかに変ってきている。
このことはソーシャルメディアでも何度か目にしていた。

今回、それが本当だったことがはっきりしたわけだ。

それから今年のインターナショナルオーディオショウは、
11月の5日から7日までの三日間。

11月になってすぐに、ステレオサウンド・グランプリの選考会が行われる。
今年も同じのはずだ。

つまり10月はステレオサウンド・グランプリに向けての一ヵ月である。
今年は関係ない、というメーカー、輸入元もあるが、
今年ステレオサウンド・グランプリ入賞をめざしている会社にとっては、
試聴記を持ち回ることになる。

ステレオサウンド・グランプリだけではない、
年末にはオーディオ雑誌のいくつかは賞を発表する。
おおむね、そのためのスケジュールは、どこもほぼ同じといえる。

メーカー、輸入元、オーディオ評論家にとって忙しい一ヵ月となる。
その直後のインターナショナルオーディオショウの開催。

何も起らなければ、それがいちばんだ。
杞憂にすぎない──、そうであればいい。

けれど、こういう表立ってこない面があるということだけは、
知っておいてもいいのではないだろうか。

Date: 9月 6th, 2021
Cate: ショウ雑感

2021年ショウ雑感(その24)

ここのところ東京の感染者数は減ってきている。
とはいえこれまでの累計では三十五万人以上が感染しているのだから、
単純計算で四十人弱に一人の感染者ということになる。

感染が拡がっているという実感は、
感染者の数よりも、身近な人が感染したかどうかのほうが大きい。

8月の終りごろになってきて、
仕事関係の人、三人が感染。
うち二人が入院。

先週末にPCR検査を受けた。結果はいまのところ陰性。

なので個人的にいままで以上に気をつけなければ、と思っている。
油断はできないわけで、感染者数が増えた減ったは、
一つの目安程度に捉えた方がいいように思っている。

今日になって、インターナショナルオーディオショウ開催が、
いろんなウェブサイトで告知されている。
実施したいのだろうし、実施するのだろう。

感染者数も減ってきているのだから。

けれど大事なのは数字ではなく、肌感覚のはずだ。

Date: 9月 6th, 2021
Cate: オーディオ評論

B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その10)

その9)へのコメントもあった。
(その8)へのコメントと方と(その9)へのコメントの方は、
おそらく世代に的に近いはずだ。
二人とも私よりも若い世代である。

(その9)へのコメントの方も、ジェネレックのスピーカーシステムには、
いい印象は持っておられない、というよりも、何も感じなかった、とあった。

これもわかるなぁ、と思いながら読んでいた。
(その9)の方は、だからといってモニタースピーカーに関心がないわけではない。

その方が鳴らされてきたスピーカーシステムは、
大型ではないモニタースピーカーが多い。

(その9)の方も、B&Wのモニタースピーカーには、何の興味もわかない、とのこと。
けれど、801の初期のモデルには、少しだけ欲しいな、と思ったことがある──、
これを読みながら、世代は違うけれど、共通するところがあるのはなぜだろう、と。

私もB&Wの801の初期のモデルには関心があった。
かなり高かった、といえる。期待もしていた。

それまで聴いてきたB&Wのスピーカーといえば、ブックシェルフ型のDM4/IIである。
別項で書いているように、このスピーカーはセレッションのHF1300を搭載している。

このころのB&Wのスピーカーは、ラックスが輸入していた。
1980年代前半に、ナカミチが取り扱うようになった。
そして801Fが登場した。

801Fの前に801というモデルもあったが、こちらは聴く機会はなかった。
私にとって、最初の800シリーズのスピーカーシステムは、
ナカミチ取り扱いの801Fである。

801Fのスタイリングは、KEFのModel 105と同じといっていい。
瀬川先生が鳴らされた105の音に感銘をうけた私は、当然801Fに期待した。

ステレオサウンドの試聴室でKEFのModel 105を聴く機会はなかったし、
これからもなさそうと思えていた時期ということも重なって、
801Fへの期待は増していった。

Date: 9月 6th, 2021
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(つくる・その41)

自作するオーディオマニアは減っているのだろうか増えているのだろうか。
自作に関する本はいまも出版されているが、
昔とくらべると減ってきているし、
自作記事をメインとする雑誌も数は減ってきている。

ステレオサウンドの読者は、自作なんてしないから──、
そういう人が大半なのだろうか。

誰も実態を調べたりしないから、なんともいえないが、
少なくとも以前のステレオサウンドは違っていた。

以前のベストバイは、読者アンケートを行っていて、その結果を載せていた。
51号(1979年夏号)の読者の現在使用中の装置のところを見る。

スピーカーシステムはヤマハのNS1000Mが、使用台数138、総数比率5.5%、
プリメインアンプはラックスSQ38(歴代モデルをふくめて)、使用台数190の総数比率7.5%、
コントロールアンプはヤマハのC2(a型も含めて)、使用台数275、総数比率15.7%、
パワーアンプはQUADの405、使用台数102、総数比率5.9%で、それぞれの一位である。

けれどスピーカーシステムでは637、プリメインアンプは11、
コントロールアンプは218、パワーアンプは236が自作である。

スピーカーシステムではダントツの一位となるし、
パワーアンプでも405の二倍以上、
コントロールアンプはヤマハのC2には及ばないが、三位のラックスのCL35の倍以上。

プリメインアンプは自作が難しいということがあってだろう、
11という数字はかなり下位である。

とはいえ、コントロールアンプとパワーアンプの自作率は高い。
このアンケート結果だけでは、どんな自作なのかまではまったくわからない。

ただ「自作」という項目があるだけだ。

このころのステレオサウンドのスーパーマニアには、自作の人がけっこう登場していた。
とにかく昔のステレオサウンドの読者も、自作は特別なことではなかったのだろう。

Date: 9月 5th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その27)

私がオーディオに興味を持ち始めた頃、
オルトフォンのSPUには、Gシェルに昇圧トランスを内蔵したSPU-GTがあった。

MC型カートリッジの出力電圧は低い。
低域に関しては、MC型やMM型は速度比例型だから、さらに出力電圧は低下する。
20Hzでは1kHzのレベルよりも約20dBほど低下する。

音楽にはピアニッシモがある。
ここではさらに出力電圧は低下する。

低音域でのピアニッシモだと、MC型カートリッジの出力電圧はごくごく小さいレベルとなる。
そんな微小信号が、トーンアーム内の細いケーブルを伝わって、
さらにはトーンアームからの出力ケーブルを伝わって、
ようやくヘッドアンプなり昇圧トランスへとたどりつく。

接点も、増えることになる。
MC型カートリッジが発電した信号は、完全な状態でたどりつくとは、とうてい思えない。

理想はカートリッジの出力端子のすぐあとでの増幅もしくは昇圧である。
ヘッドシェルにヘッドアンプか昇圧トランスをおさめればいい。

ヤマハのヘッドアンプHA2は、増幅回路の初段のFETを専用ヘッドシェルにおさめ、
ヘッドアンプ入力までを電流伝送としていた。

オルトフォンは、ずっと以前から昇圧トランスをおさめたSPU-GTを作っていた。
昇圧トランスをいろいろ試したり、あれこれやってきた人ほど、
このサイズの昇圧トランスでまともな音がするのだろうか、と思うのではないか。

私はそうだった。
SPUというカートリッジには、ずっと関心をもってきているが、
SPU-GTに関しては、そうではなかった。

私は試したことがないが、SPU-GTのトランスを取り出して、
一般的な昇圧トランスと同じ使い方をしたら、どんな音なのだろうか。

トランス単体としてみれば、優れたトランスとはいえないモノだろう。
でも、Gシェル内におさめられることでのメリットがある。

現在のオルトフォンのラインナップにSPU-GTはない。
あの小型トランスを作れる人がいないから、だそうだ。

何がいいたいかというと、SPU-GTのトランスにCR方法を試したら──、である。
あの限られたスペースに、抵抗とコンデンサーをおさめることになるわけだから、
けっこう困難な作業になるだろうが、
うまくやれれば、かなりの好結果が得られるのではないだろうか。

Date: 9月 4th, 2021
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その7)

今年の6月からAmazon Music HDも利用している。
6月中は、TIDALよりも聴く時間が長かったのは、
日本語の歌を聴きたいから、であった。

ある程度聴いてしまうと、
つまり7月に入ってからは、TIDALで聴く時間が長くなってきて、
8月になると、TIDALばかりといっていいほどに戻っていた。

いまのところ、TIDALで聴けない曲が、Amazon Music HDにはあったりする。
なのでAmazon Music HDを使わなくなるわけではないのだが、
TIDALに感じているワクワクが、Amazon Music HDにはそれほど感じない。

TIDALのラインナップとAmazon Music HDのラインナップを、
ずらっとリストに書き出して比較できれば、どれだけの違いがあるのかわかるけれど、
実際のところ、どれだけの違いがあるのかははっきりとしない。

そんなに違わないのかもしれない。
なのにAmazon Music HDにはワクワクしないのは、
MQAだけのことが関係しているわけでもなさそうである。

六本木にあったWAVEと渋谷のタワーレコード。
この二つのレコード店に感じていたことが、
TIDALとAmazon Music HDにも、そのまま当てはまるような感じがある。

Date: 9月 4th, 2021
Cate: オーディオ評論

B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その9)

(その8)へのコメントが、facebookであった。

そこには、
いわゆるモニター的な音だと称されるタイプのスピーカーということが、
あまりワクワクしないことにつながっているように感じている──、
そうあった。

かもしれないと思いつつ、
コメントの方は私よりも若い世代だ。

ステレオサウンドは、44号と45号と二号続けてスピーカーシステムの特集を行った。
それだけでなく、46号ではモニタースピーカーの特集だった。
結果、三号続けてのスピーカーシステムの特集である。

しかも、いまのステレオサウンドの特集よりも、
特集に割いているページ数は多い。

この三号のなかで、私はモニタースピーカー特集の46号を、
いちばんワクワクしながら読んだものだった。

44号と45号もワクワクしながら読んだ。
46号は、それ以上にワクワクした。
それはモニタースピーカーということが、大きな理由となっている。

1970年代後半は、ほかの人はどうだったのかはよく知らないが、
私はモニタースピーカーという存在に、モニタースピーカーの音にワクワクしていた。

そんな私は1980年代の終りごろに登場したジェネレックに期待した。
いわゆる卵形のエンクロージュアに、トゥイーターはリボン型で、
リニアフェイズといえるユニット配置。

あのころ、聴いてみたいスピーカーの筆頭でもあった。
でも聴く機会はなかなかなかった。

聴いたことがある、という人がいた。
感想をきいた。
「つまんない音だったよ」という素っ気ないものだった。

このジェネレックのスピーカーシステムを聴くことは、ついに訪れなかった。
けれど、「つまんない音だったよ」は、きっと私が聴いてもそう感じたであろう。

「つまんない音だったよ」は、悪い音、ひどい音という意味は含まれていなかった。
優秀な音だけど、音楽を聴いて楽しいのかという意味での「つまんない音だったよ」だ。

モニタースピーカーの音の傾向は、
ジェネレックのスピーカーの登場前後あたりから変化している、と感じる。

それゆえfacebookのコメントは首肯けるところがある。

Date: 9月 3rd, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(コントロールアンプのこと・その15)

ハルアンプのIndependence TypeIIに近い配線方法なのが、
ステレオサウンド 45号に掲載されている上杉先生のアンプである。

昔のステレオサウンドには自作のページが、不定期で載っていた。
45号には、
「最新テクノロジィによる真空管式ディスク中心型プリアンプをつくる」というタイトルで、
マッキントッシュのC22の回路をベースに、
シンプルな機能のコントロールアンプを発表されている。

Independence TypeIIは銅板を配線のベースにしているのに対して、
上杉先生の、このアンプはベークライトの板をベースにしている。

ベークライトの板に、穴開け加工をして金属製のビスを立てていく。
配線に必要な数だけ立てていく。

Independence TypeIIでのバインディング端子を、ビスで代用しているわけだ。
もちろん上杉先生のアンプにバインディング端子を使っていい。

上杉先生は部品の入手しやすさを重視しての金属製ビスの採用なのだろう。

45号の時、中学三年生だった私は、
これなら作れそうと思ったほどだった。

記事には穴開け用の方眼紙的な図も載っていた。
この図を使ってベークライトの板に穴を開けていく。
ビスを立てて、部品をハンダ付けして、配線していく。

丁寧に、慌てずにやっていけば、失敗の可能性は低い。
プリント基板を自作するよりもいい方法のように思えた。

自作するほどの予算がなかった私は作ることなく終ってしまったけれど、
これはいまでもいい方法だと思っている。

ただ、当時、私の住んでいた田舎で、
上杉先生のアンプ製作に必要な大きさのベークライトは入手できなかっただろう。

とにかく上杉先生の、このアンプが頭にあたったものだから、
ほぼ一年後のステレオサウンド 50号で、Independence TypeIIを見た時、
この二つのアンプが重なった。

Date: 9月 3rd, 2021
Cate: High Resolution

MQAのこと、TIDALのこと(ABBA・その2)

いまのところ、ABBAのアルバムはMQAになっていない。
けれど、新曲は二曲ともMQA(96kHz)で、TIDALでは聴ける。

ということは11月の新アルバムも、TIDALだとMQAのはずだ。

日本ではCDが四種類出る、とあった。
もしかしてMQA-CDもか、と期待したけれど、
ユニバーサルミュージックのサイトを見たら、違った。

でも、これまでのアルバムがMQA-CDで出してくるのかもしれない。
TIDALでも、これまでのアルバムがMQAで配信されるかもしれない。

TIDAL以外ではe-onkyoでも、MQA(96kHz)で聴ける(買える)

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: High Resolution

MQAのこと、TIDALのこと(ABBA・その1)

日本時間9月3日、1時45分に、
ABBAの、なんらかの発表がある。

新曲を作っている、ということは三年前ぐらいからニュースになっていた。
新曲は発表されるだろうし、活動再開というウワサもある。

私が期待しているのは、そのどちらでもなく、
TIDALでMQA配信が始まるかどうかか。

ABBAのアルバムは、すでにTIDALで配信されている。
44.1kHzだ。

ABBAの熱心なファンではないけれど、
数曲は、いまも聴きたい(聴いている)。

それらがMQAだったら、いいなぁ、と思っているだけに、
今夜の発表にあわせてTIDALでMQAになるのかどうか。

かなり期待しているのだが、どうなることやら。

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: アナログディスク再生, 老い

アナログプレーヤーのセッティングの実例と老い(その6)

ヤマハが、ウェブサイトで、
アナログプレーヤーのGT5000の低温時の使用上の注意を公開している。

タイトルが、長い。
ターンテーブル『GT-5000』について低温時に規定の回転数に達しない、または規定の回転数に達するまで通常よりも時間が掛かる症状につきまして
である。

GT5000の許容動作温度は10度から35度まで、とある。
つまり10度よりも低い温度で使用する人が少なからずいて、
そういう人がヤマハに苦情をいったのだろう。

そうでなければ、こういうことを公開するはずがない。
ヤマハも大変だな、と思った。

GT5000は安いアナログプレーヤーではない。
通常のモデルが660,000円(税込み)、
ピアノ仕上げが880,000円(税込み)である。

これだけのモノを買う人だから、
アナログディスク再生をきちんとやってきた人だ、とつい考えがちである。

でも、どうもそうではないようだ。
アナログディスク再生をずっとやってきて、どういうことなのかわかっている人ならば、
こんな使い方はしないからだ。

ヤマハがいうところの低温時は、10度を下回っている状態のはずだ。
そういう低い気温で、GT5000がきちんと動作したとしても、
だからといって、アナログディスク再生に適した状態ではない。

GT5000の回転数が規定に達しない、時間がかかる気温では、
アナログディスクそのものが、快適な気温よりも硬くなっている。

ディスクだけではない、カートリッジのダンパーも硬くなっている。
スピーカーのエッジ、ダンパーもそうである。

そういう状態で、なぜアナログディスクを再生しようとするのか。
理解できない。
やってはいけないことである。

ヤマハが公開している対策は、ごく当り前のことだし、
こんなことは常識だった。

なのにヤマハが低姿勢で《深くお詫び申し上げます》とある。

ヤマハが謝ることではない。
謝ってしまっては、それこそ誤りだ。

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: 新製品

JBL SA750(その13)

今日はステレオサウンド 220号の発売だけれども、
雨が降っていて肌寒い日だし、出掛ける用事も特にないので一歩も外に出ないでいる。

なのでステレオサウンドはまだ見ていないが、
友人が、SA750の記事の一部だけをスキャンして送ってくれた。

記事まるごとではなく、私が知りたがっているところ、
SA750の内部写真のところだけである。

内部写真を載せたんだ、編集部! とまず思った。
アーカムのSA30と同じということを、暗に示したくて載せたのか、
そんなことを考慮せずに載せたのか。
どちらかなのかはわからないが、とにかく載っている。

友人によれば、小野寺弘滋氏は、まったくアーカムのことは触れられていない、とのこと。
それはそうだろう。予想通りである。

それだけに内部写真の掲載は、驚きだ。
掲載された写真は大きくはないので細部まで詳細に比較できるわけではないが、
JBLのSA750とアーカムのSA30は同じである。

SA750とSA30が同じであることを公にしたくなければ、
SA750の内部写真を載せなければすむことだ。

そこをあえて掲載したのであれば、
細部を比較して、こういう違いがある、と説明すればいいのだが、
そういうことはしていない、とのこと。

これはしなかったのではなく、できなかったのか。

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: オーディオ評論

B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その8)

昨日(9月1日)、B&Wの新しいスピーカーシステムの情報解禁だった。
フラッグシップモデルの801 D4が、ステレオサウンド冬号の表紙になるのか。
もしなったとしたら、また代り映えのしない表紙になるのか──、
そんなことを思いながらも、新しいB&Wのスピーカーにワクワクしていなかった。

今回も、オーディオ雑誌での評価は高いものだろうし、
そのことに異を唱えるつもりはない。

聴けば、前シリーズよりも改良されているのは、きちんと聴きとれるであろう。
ケチをつけるところなんて、ほとんどない出来になっているはずだ。

優秀なスピーカーだし、その優秀性はより高くなっている──、
このことはB&Wの800シリーズに関しては、音を聴かなくてもいえること。

なのにワクワク感が、私にはまったく感じられない。
私と反対に、早く聴いてみたい、という人も少なくないはずだ。

その人たちは、ワクワク感があるのだろうか。
そのワクワク感と私のワクワク感は、どう違うのか。

そこを知りたいと以前から思っているのだが、
私の周りのオーディオマニアで、B&Wの800シリーズにワクワクしている人は一人もいない。

ワクワク感とは、曖昧な表現でしかない。

ワクワクした(しない)──、
このことをきちんと言葉で伝えるのは、なかなかに難しい。

ワクワク感については、項を改めて書くつもりだが、
今回の新しい800シリーズにワクワク感をおぼえないのは、
そこにワクワク感があったとしても、
それはこれまでのワクワク感の延長だからなのかもしれない。

これからのワクワク感がないからなのかもしれない。

このことは800シリーズが、定評あるモデルの改良版から来ることなのか、
他に理由があることなのか。

Date: 9月 2nd, 2021
Cate: High Resolution

MQAのこと、TIDALのこと(44.1kHzのデジタル録音・その1)

ソニー・ミュージック、ソニー・クラシカルは、
サンプリング周波数が44.1kHzのデジタル録音であっても、
MQA StudioでのTIDAL配信を行っている。

このことは、ほんとうにありがたいことで、
44.1kHzという制約のなかであっても、音がよみがえってくる。

けれど、別項でも書いているように、ソニー以外は44.1kHz録音に関しては、
MQA化をほとんとやっていない、といっていい。

さきほど、ふとアンドレ・プレヴィンをTIDALのラインナップを眺めていた。
するとフィリップス録音のガーシュインに、MQAのアイコンがついている。

プレヴィンのガーシュインは、1984年録音。44.1kHzのはずなのに、
(クライバーの「トリスタンとイゾルデ」のように)また間違いか……、
そう思いながらも、念のためと再生してみると、44.1kHzでありながら、MQAであった。

このことは、ユニバーサルミュージックも、ソニー同様、
44.1kHz音源のMQAをやっていくということになるのか。

そうであるならば、ソニーのMQAとともに、今年もっともうれしいニュースとなる。