ケーブル考(銀線のこと・その9)
Silver Signature 25は2ウェイのスピーカーシステムで、
砲弾型のトゥイーターがエンクロージュアの上に乗っかるスタイルだ。
このスタイルのB&Wのスピーカーシステムは、
ユニットはインライン配置になっているが、Silver Signature 25はトゥイーターがオフセットしている。
このことはトゥイーターの逆相接続とも関係しているように思える。
銀リードのコンデンサーの容量が3.3μFだけということで、
ネットワークの設計にそうとうに苦労していることが、
トゥイーターのオフセットとも関係しているのではないだろうか。
他の値の容量の銀リードのコンデンサーが用意できていれば、
ネットワークの定数も違ってきたはずだし、
トゥイーターも正相接続で、インライン配置になっていたであろう。
そこまでして銀の使用に徹底的にこだわっているのがSilver Signature 25であり、
銀は導体抵抗の低い金属であるが、そのことだけが、
ここまで銀にこだわらせた理由ではないはずだ。
音的にあきらかなメリットを感じていたからこそ、の、
Silver Signature 25の誕生であったはずである。
(ハンダもやはり銀入りなのだろう)
銀銭の音については、メリットもデメリットもいわれてきている。
それが事実なのかどうかは、ケーブルの音は、それ単体で評できるわけでもなく、
はっきりとしたことは誰にもいえないのだが、
一部否定的な意見としては、本来あるべき音の力がわずかとはいえ損われる──、
そんなふうにいわれている。
もっともこのことさえも、
当時から、銀の純度があまり高くないからだ、という説もあったし、
銅があたりまえのシステムに銀をわずかに持ち込むからであって、
銀線化を徹底していけば、そういう面もなくなる──、
そんなこともいわれていた。