Date: 10月 9th, 2017
Cate: アンチテーゼ
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アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その5)

スピーカーのボイスコイルは、数Ωという直流抵抗を持つ。
この直流抵抗によって、ボイスコイルは熱を持つことになる。

熱を持てば、直流抵抗の値は高くなる。
高くなれば、その分さらにパワーのロスが生じる。
ということは、そこでまた熱が発生する。

ボイスコイルの温度がさらに上れば、直流抵抗はさらに高くなる……。
つまりリニアリティの低下である。

JBLの4343から4344へのモデルチェンジにおいて、
ウーファーが2231から2235へと変更されている。

JBLの発表によれば、
約30Hzの低音での1W入力時と100W入力時の出力音圧レベルは、
ボイスコイルの温度上昇とそれによる直流抵抗の増加、
それ以外にもダンパーなとのサスペンションの影響により、
2231では100Wの入力に対してリニアに音圧レベルが上昇するわけでなく、
3〜4dB程度の低下が見られる。

2235での低下分は約1dB程度に抑えられている。
2235は確かボイスコイルボビンがアルミ製になっている。
ボビンの強度が増すとともに、放熱効果もそうとうに良くなっているはずだ。
このことが、100W入力時の音圧の低下を抑えている、といえよう。

1970年代後半に登場したガウスのユニットは、
磁気回路のカバーがヒートシンク状になっていた。
これせ放熱効果を高めるためである。

大入力も瞬間的であれば、さほどボイスコイルの温度の上昇も気にすることはないだろうが、
連続して大入力がユニットに加われば、ボイスコイルの熱の問題は顕在化してくる。

ラウドネス・ウォーといわれるような録音を、大音量で鳴らしていれば、
ボイスコイルの温度は高くなっていくばかりだろう。
その状態でさらなる音量を求めてボリュウムをまわしていっても、
悪循環に陥ってしまうだけで、頭打ちになってしまう。

こうなってしまっては、もう大音量再生とはいえないし、
スピーカー破損への道まっしぐらであり、
喫茶茶会記のアルテックの806Aは、ダイアフラムがダメになってしまった。

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