アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その3)
朝沼予史宏氏は、つまりはダイヤトーンのスピーカーの力量を見誤った。
だからスピーカーを破損することになった。
こう書くと、反論できない故人のことを悪くいうのか、と思われる人がいるが、
私は反対に、ダイヤトーンのトゥイーターを破損してしまったことを、
凄いこと、伝説のように語ることの方が、
朝沼予史宏氏のことを貶めている、とすら思う。
朝沼予史宏氏はプロフェッショナルであることを、強く意識している人だった。
その人が、スピーカーを破損してしまったということは、
そのときはプロフェッショナルではなかった、ということでもある。
オーディオ評論家というオーディオのプロフェッショナルではなく、
オーディオのアマチュアであったと──、
だからダイヤトーンのスピーカーを破損したことを持て囃す人たちこそ、
プロフェッショナルであろうとしていた朝沼予史宏氏を貶めている、と考える。
朝沼予史宏はペンネームであることは知られている。
本名でやっている人もいればペンネームを使う人もいる。
ペンネームを使う人みながそうではないだろうが、
少なくとも朝沼予史宏氏は、
オーディオのプロフェッショナルであろうとしてのペンネームのような気がする。
十年以上前だったか、インターナショナルオーディオショウのあるブースで、
ある人がプレゼンテーションをやったときに、スピーカーをとばした、と聞いた。
その話を私にしてくれた人は、すごい音で鳴っていた、と興奮気味だった。
かもしれない。
けれどスピーカーをとばしてしまうのは、オーディオのプロフェッショナルならば、
特にインターナショナルオーディオショウという場では絶対にやってはいけないことではないのか。
もっともスピーカーをとばした人は、オーディオ評論家でも、
オーディオのプロフェッショナルでもない人だから、
どのブースだったのか、どのスピーカーだったのか、誰なのかは書かない。