アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その2)
鳴り出した「THE DIALOGUE」の音に驚いた。
こんなに変化するのか、とやった本人が驚くほどの違いにも関らず、
聴いていると「今日の私のようだ」とも感じていた。
疲労感があって、どこかしゃっきりしない感じにも似た、
この日の私の体調にも通じるような感じがどこかにあって、
納得がいかない、とも感じていた。
10月4日のaudio wednesdayでは、実はドライバーが左右で違っていた。
これまでは806Aだったが、二週間ほどに前にある客が鳴らした際に、
左側のドライバーから異音が発生して、それ以来まともな音が出なくなった、ということで、
左チャンネルは予備(以前鳴らしていた807A)に交換されていた。
この807Aも、別の客が片方を床に落としてしまったせいで806Aになっていたのだが、
806Aも客に壊されてしまった、というわけだ。
話はそれるが、それにしても……、と思う。
今回のドライバーの破損は、ジャズマニアがけっこうな音量を出して、のものだった。
いったいどれだけの音量なのか、と思う。
「THE DIALOGUE」で私が鳴らしている音量もかなりのものだが、
ドライバーを壊すような鳴らし方はしない。
ジャズマニアの、ごく一部なのだろうが、
大音量再生でスピーカーを壊すことを、誇りと思っているフシがあるのではないか。
オーディオマニアとの話で、朝沼予史宏氏がステレオサウンドの取材で、
ダイヤトーンのスピーカーのトゥイーターを破損した話題が出たことが、数回ある。
たいてい、この話をしてくる人は、
朝沼予史宏氏、すごいですね、だったり、
ダイヤトーンのスピーカーって、そんなにヤワなんですか、だったりする。
前者の方が多いけれど、それにしても……、と思うわけだ。
朝沼予史宏氏は、オーディオ評論家であった。
いわばオーディオのプロフェッショナルだ。
プロフェッショナルとは、その定義はいろいろいあるが、
そのひとつには、力量を見極めることが挙げられる。
自分自身の力量、相手の力量を正確に見極める。
それはときによって冷酷に見極めることであり、
オーディオ評論家であれば、この場合、スピーカーの力量を見極めることが求められる。