リンのLP12の初期、ARのTurntable、
どちらもこれ以上部品を省略することはできないところでまとめられているアナログプレーヤーである。
どちらのプレーヤーの回路図にはモーターと進相コンデンサー、それに電源スイッチとなる。
速度切替えもない。
回路図をみれば電子回路というよりも電気回路といったほうがぴったりくる。
リンもARもコンパクトといえるサイズにまとめられている。
それでもテクニクスのSL10と比較すると大きくなる。
しかもリンもARもマニュアルプレーヤーである。
SL10はフルオートプレーヤーである。
ステレオサウンド 57号のSL7、SL15の記事には、SL10の構造透視図が載っている。
この図を見なくとも、リンのLP12、ARのTurntableとは違い、
内部には電子部品を数多く搭載したプリント基板があるのは想像できる。
Sl15にはSL10にはなかった自動選曲機能がついている。
SL15の内部はもっと電子部品が数多く使われている。
SL10のコンセプトと形態からすれば、自動選曲機能は必須の機能である。
SL10を持っていたからわかるのだが、頭出しが慣れないとけっこう難しい。
フルオートプレーヤーということでLPを頭から最後まで通して聴く分には、
SL10の操作性にはまったく不満はないのだが、
二曲目、三曲目だけを聴きたい時には、
蓋に印刷されているキャリングインディケーター(定規のような目盛り)とLPをじっと見つめて、
このへんかな、というあたりをつけてキューイングボタンを押す。
けれどうまく行く時もあればちょっとずれてしまうときもある。
マニュアルプレーヤーの操作になれてしまっているいると、けっこうイライラするし、
フルオートプレーヤーなのに使い手にわずらわしさを感じさせてしまう。
SL10の完成度を高めるためにも、自動選曲機能は絶対に必要とSL10ユーザーならば思っていたはずだ。