Archive for category テーマ

Date: 5月 29th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その4)

アナログディスク全盛時代だったころよりも、
おもしろいものでいまのほうが置き台(ラック)の種類は圧倒的に多い。

昔のラックとは違い、構造(棚板の形状、棚板の支え方など)も多種多様といえるようになってきた。
材質も昔は木がほとんどだったのが、これもまたいまは種類もいくつかある。

それとともに高価になってきた。

ここではどういう置き台(ラック)がアナログプレーヤーに最適なのかについては書かない。
使うプレーヤーの種類、構造、コンセプトによっても異ってくる要素があるから、
こういう置き台(ラック)が、すべてのアナログプレーヤーにとって最適だとは言えない面があるからだ。

それに理想に近い置き台(ラック)が仮に存在していたとして、
それを手にいれる(実現できる)のであればいいが、そうもいかないことの方が多い。

場合によっては与えられた置き台(ラック)を使うこともある。
そんなとき、こんなラックでは……、というのは誰にでもできる。
もっといい置き台(ラック)の上に置けば、いい音が得られるのはわかりきったことだが、
反面、アナログプレーヤー(アナログディスク再生)のおもしろいところは、
あまりアナログプレーヤーの置き台として向いているとは思えないモノでさえも、
使い手の技倆によって、得られる結果(音)はそうとうに変ってくる。

つまり高価なラックを購入したからといって、ただポンと置くだけでは、
いい結果(音)が得られるとは限らない、ということでもある。

Date: 5月 29th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その3)

アナログプレーヤーは、どこかに置かなければならない。
たいていは置き台(ラック)の上に置かれる。
床に直置き、もしくは石や木などのベースを敷いて、その上に、という置き方もないわけではない。

ただアナログプレーヤーは、オーディオ機器の中でももっとも操作する機器である。
レコードをターンテーブル・プラッターの上にのせる。
カートリッジの針先を音溝に降ろす。
レコード演奏が終ったらカートリッジをあげ、レコードをとりジャケットにしまう。

これらの基本動作に加えて、ときにはレコードをクリーニングすることもあるし、
針先のクリーニングが必要になるときもある。

カートリッジを最適な状態で使うために、針圧、インサイドフォースキャンセラーの調整、
ラテラルバランスの調整が必要なトーンアームであれば、それも行う。
カートリッジのヴァーティカルトラッキングアングルの調整(つまりトーンアームの高さ調整)などがある。

あとカートリッジの出力は微小信号ゆえ、接点のクリーニングも忘れてはならない。

そういった細々とした作業を行うには、ある程度の高さがあったほうがいい。
どのくらいの高さがいいのかは、使う人によってもっとも使いやすい高さということになる。

床に直置きが使いやすい、という人もいるかもしれない。
そんな使い方をしたこともある。

でも私は、それほど高くなくてもいいから、やはり置き台を用意したほうが使いやすい。
使いやすい、扱いやすいは些細な事故を防ぐためでもある。

Date: 5月 29th, 2014
Cate: オリジナル

オリジナルとは(あるスピーカーの補修・その12)

東京もしくは東京近郊で、エッジ交換をやってくれるところはいくつかあるのはわかった。
けれど、どこにするのか。

これもまたインターネットで検索して丹念に検索結果を見ていくと、
それらのところでエッジ交換をした人のサイトやブログがいくつか見つかるし、
エッジ交換をやっているところのサイトにも、交換した人の声が載っている。

そういうのをみていって、ここが良さそうだ、ここもいいみたいだな、とは思う。
けれど、どんなにインターネットで調べたり、エッジ交換をしたことのある知人に話をきいても、
ほんとうのところははっきりとしない。

つまりエッジ交換を依頼した経験のある人は世の中にけっこういる。
けれど、その人たちが、複数の業者にエッジ交換を依頼して、
仕上ってきたものを比較した上で、ここがいい、あそこがいい、と言ったり書いたりしているわけではない。

エッジ交換を依頼した人も、今回の私のように調べて、どこにするかを決めて、そこにする。
それで仕上ってきたモノをみて、満足がいけば、そこが良かった、ということになる。

インターネットに書いている人の多くはそうであろう。
よほどの人でなければ、複数の業者にエッジ交換を依頼して比較することはない。

どんなにインターネットで調べても、実際に話をきいたところで、肝心のところはわからない。
結局、どこかに決めてエッジ交換を依頼するしかない。

では、どうやってそこを選ぶのか。
いくつかの候補を消去法で消していき、残ったところに依頼するのか。
それも判断材料が少なすぎる。

Date: 5月 28th, 2014
Cate: きく

音を聴くということ(試聴のこと・その7)

4343のトゥイーター2405を取り外して天板に置き、
すべてのユニットをインライン配置を実行したした人にとっては、
そのことによって得られた音の変化は、すべてインライン配置によるものだ、と判断してしまうことだろう。

けれど第三者は冷静である。
そこでの音の変化を、インライン配置によるものだとはすぐには結びつけない。
いい方向への音の変化であろうと、そうでない方向への変化であろうと、
2405をフロントバッフルから取り外して、
天板に置くことによるさまざまな変化がもたらした音と受けとめるかもしれない。
私は、そう受けとめる。

2405を天板に置くために(インライン配置にするために)、多くの要素が変化しているから、
そこでの音の変化をインライン配置によるものだとは捉えない。

もちろんインライン配置にしたことのメリットがあることは認める。
けれど、音の変化はインライン配置だけによるものではないことは、何度でも強調しておく。

それを「インライン配置はやっぱりいい」と言い切ってしまうことのもつ意味を考えてほしい、と思う。

そう言い切ってしまえれば、オーディオは楽である。
けれどオーディオの世界を知れば知るほど、そう言い切れないことがわかってくる。
何かを変える。そのことによって、他の要素も変ってしまうことが往々にしてある。
ひとつの要素だけ変えることは、厳格な意味ではできないのではないか──。

ならば、「インライン配置はやっぱりいい」と言い切ってしまってもいいではないか、
なにか不都合があるのか──。

その人が満足さえしていれば、不都合はないといえばない。
それでも、私はそうではない、と思うだけだ。

Date: 5月 28th, 2014
Cate: オリジナル

オリジナルとは(あるスピーカーの補修・その11)

そういうわけで、ウレタンエッジにすることに決めた。
どれだけ持つのかはっりきとわからない。
交換したウレタンエッジも、いつの日かボロボロになるわけで、また交換しなければならない。
その時はまたウレタンエッジにするのか、
それともウレタンエッジに替る、いい材質のエッジが登場しているかもしれない。

とにかく今回はウレタンエッジにする。
では、どこに依頼するのか、となる。

ずっと以前はエッジの交換をやってくれるところを探すのも一苦労だった。
いまではインターネットで検索すれば、あちこちのオーディオ店でエッジ交換を受けつけていることがわかる。

いい時代になったな、ともいえるし、この中からどこを選ぶのがいいのか、
いまの時代は、そのことで迷う時代になっている。

以前ならば、見つけたところに依頼するしかなかったのが、いまでは選べるわけだ。

検索結果を丹念に見ていけば、評判のいいところがいくつかあるのがわかる。
そのうちのひとつは、その評判を耳にしていた。

そこを第一候補としたのだが、ここのウェブサイトのスピーカー・メンテナンスのページをみると、
お預かりに数ヵ月、とある。ここは時間がかかる、ともきいていた。
とはいえ数か月か……、と思った。
時間がかかるのはわかるけれど、数ヵ月預けている、ということが気になった。
自分のユニットではないだけに、よけいに、この点が気がかりとなる。

Date: 5月 28th, 2014
Cate: オリジナル

オリジナルとは(あるスピーカーの補修・その10)

以前、JBLの4411を使っている知人から、エッジがボロボロになっているけど、どうしたらいいか、ときかれた。
ウレタンエッジにすればまたいつの日かボロボロになる。
できればウレタンエッジに替るものでいいものはないのか、ということだった。

もう七年ほど前のことだったから、
ヒノオーディオが扱っているエッジを奨めておいた。
自分でエッジ交換をする必要があるが、知人は結果に満足していた。

それから数年後に、今度はLE8Tのエッジが……、という相談があった。
その人にもヒノオーディオのエッジを奨めた。
彼もまた自分でエッジを交換している。

スピーカーユニットは振動板からのみ音が放射されているわけではない。
何度か書いているようにフレームからの輻射もあるし、エッジも振動しているわけで、
しかも外周にあるから面積としても決して小さいわけではない。
この部分からも、音が出ている。

しかもエッジは常にきれいに動いているわけではない。
大振幅で振動板が動いているときのエッジの変形は、けっこう複雑なものである。
エッジの種類、材質によってもそれは異ってくるものの、
振動板が前に動いているときにエッジの一部は前、他の部分は後と、いわゆる分割振動的な動きをすることもある。

これらは何がしかの音として、振動板からの音に絡み合ってくる。

だからエッジのコンプライアンスが、
もともとついているウレタンエッジと交換したヒノオーディオのエッジとがまったく同じであり、
交換したあとのf0も変化しなかったとしても、音がまったく同じということはあり得ない。

どちらがいいのかは、その人が判断することである。
少しばかり音は変っても、もうエッジ交換の心配をしなくて済む方が精神的に安心して聴ける、
このことの価値を大事にする人にとっては、ウレタンエッジへの交換よりも、
ヒノオーディオが取り扱っていたエッジを、私は奨める。

今回のスピーカーの補修にあたって、ヒノオーディオのエッジのことが真っ先に浮んだ。
できれば、この先エッジの交換をしなくて済むことが大事なことであったからだ。
だがヒノオーディオはもうない。エッジも手に入らなくなっている。

Date: 5月 27th, 2014
Cate: マルチアンプ

マルチアンプのすすめ(その30)

五味先生が指摘されていることと同じこと(私はそう感じている)を、
長島先生も指摘されている。

ステレオサウンド 99号の新製品紹介のページで長島先生は、ATCのSCM200について書かれている。
その中にこうある。
     *
 例えば、3ウェイシステムの場合、ウーファー、スコーカー、トゥイーターが三位一体となって動いて欲しいのであるが、通常のLCネットワークであれば、電気的には各ユニットが接続された状態にあり、それぞれいい意味で影響しあって有機的に結合した状態をつくりだすことができる。もちろん悪影響を与えるということもある。しかし僕はそこにメリットのほうを見出していたのである。
 それに対してマルチ駆動の場合、ユニット同士の関係というものは一応セパレートしているものと考えることができ、はたして各ユニットがうまくブレンドしてくれるのだろうか、という不安があるのだ。
     *
五味先生はタンノイの、長島先生はジェンセンの、それぞれの同軸型スピーカーを鳴らされてきた。
そのふたりがマルチアンプに対して、同じことを感じられているのは興味深い。

オーディオにやり始めたころに疑問に思っていたことがある。
スピーカーの再生周波数帯域を拡げるためにマルチウェイにするのはわかる。
2ウェイでも、3ウェイでもいいのだが、
ウーファーはほとんどがコーン型であり、
トゥイーターはコーン型もあれば、ドーム型、リボン型、ホーン型……、といろいろな方式がある。

ウーファー、トゥイーターともにコーン型であれば、振動板も紙ということがある。
けれどトゥイーターがコーン型以外の方式となると、振動板の材質はさまざまだ。
布系の振動板もあれば、プラスチック系のモノもあるし、金属を使ったモノもある。
金属にもアルミニウムもあれば、チタニウム、マグネシウム、ベリリウムなど、いくつもの材質がある。

昔から使われてきて馴染みのある紙の振動板のコーン型ウーファーと、
紙とはまったく異質の振動板を使った、それも振動板の形状も違う方式のトゥイーターが、
システムとしてまとめたときにほんとうに調和するのだろうか。

こういう疑問だった。

Date: 5月 27th, 2014
Cate: きく

音を聴くということ(試聴のこと・その6)

フロントバッフルも天板も振動している。
その振動は同じではない。
つまりフロントバッフルに取り付けられているときにフロントバッフルから伝わってくる振動と、
天板から2405へと伝わってくる振動は決して同じではない。
しかもフロントバッフルに取り付けた状態では前方から振動が伝わってくる。
天板の場合に2405の下部から振動が伝わってくる。

それにフロントバッフルに取り付けられているとウーファーの背圧の影響も受けている。

天板に置くためには、ネットワークから2405までのケーブルをはわせなければならない。
4343にもともとついているケーブルをそのまま利用したとしても、
ケーブルの這わせ方が違ってくる。

天板に置いた2405にサブバッフルをつけるどうか。
さらには天板のどの位置に置くのか。前後方法の調整はほかのユニットとの位相関係の変化にもつながる。

2405を天板に直置きするのか、間にフェルトやゴム、その他の素材を介するのかどうか。

こういったこまごまとしたことが、2405を天板に置きインライン配置にしたことによる変化である。
もっと細かな変化もあるが、それを書き出すことがここでの目的ではないし、
いいたいのは、これだけの要素が変化している中で、
インライン配置にしたから音が良くなった、とはいえない、ということだ。

さまざまな要素が変化している。
しかもそれらは独立しているわけではない。
それらが結びついた結果として音は変化している。

だからこそ、何を聴いているのかを明確にする必要がある。

Date: 5月 27th, 2014
Cate: きく

音を聴くということ(試聴のこと・その5)

オーディオマニアたるもの少しでもいい音が出せる可能性があるのなら、あれこれ試してみる。
例えばJBLの4343。
4ウェイ・4スピーカーの4343はウーファーミッドバス、ミッドハイの三つのユニットはインライン配置。
ならば9.5kHz以上を受け持つ2405をフロントバッフルから取り外して、エンクロージュアの天板にのせれば、
四つのユニットすべてインライン配置にできる。

実際にやってみたとする。
音はずいぶんと変る。
それを実行した人にとって、それがいい結果だったと仮定する。
すると、その人は、やっぱりすべてのユニットをインライン配置にしたほうがいい、というかもしれない。
そういいたくなる気持はわかる。
わかるけれど、2405をインライン配置にしたことで、変った要素は、ユニット配置だけではない。

まず2405をフロントバッフルから取り外す。
この時点でフロントバッフルへの荷重が変化する。
それにフロントバッフルの振動モードも変化する。

2405を取り外したところにはメクラ板をとりつける必要がある。
するとメクラ板がミッドハイの両側に位置することになり、この影響も無視できない。
メクラ板はフロントバッフルから伝わってくる振動に対しても、
エンクロージュア内部の音圧によっても共振しているからだ。

2405を天板の上にのせる。
ただこれだけでも音は変化する。
試しに2405を本来の位置に取り付けたままで、
2405と同じくらいの大きさで同じくらいの重量をもつモノを4343の天板の上に置いて聴いてみるといい。

きちんと調整された4343ならば、この変化量に驚く。
天板のどこに置くかでも変化する。

2405を天板に置くことで天板の振動モードは変化する。
天板だけが変化するのではない。
エンクロージュアの側板、前後のバッフル、底板はすべてつながっているわけだから、
天板の振動モードの変化は、他の部分の振動モードの変化へとつながる。

Date: 5月 26th, 2014
Cate: きく

音を聴くということ(試聴のこと・その4)

スロープ特性と極性の組合せをひとつひとつ聴いていっているとき、レベルはまったく手をつけなかった。
それからCDも一枚に決め、CDプレーヤーから試聴しているあいだは、一度も取り出すことなく聴く。

スロープ特性、極性を切り替える際には、コントロールアンプのボリュウムには手を触れない。
ボリュウムはそのまま、つまり音量は最初に決めたままである。

そしてCDプレーヤーは切り替えの際には、ポーズ・ボタンを押す。
停止状態にはしない。
チャンネルデヴァイダーの切り替え操作が終ったら曲の頭に戻し、再生ボタンを押す。

これをくり返し行う。
一枚のディスクの同じところを何度も何度も聴いていく。

何かを切り替えていくときに、他の箇所はまずいじらない。
ボリュウム操作をしてしまうと、厳密には同じ音量には設定し難い。
音量がわずかでも違ってくれば、スロープ特性の違いのみを聴きたいのに、
そこに音量の違いという要素が加わってくる。

CDプレーヤーをポーズ(一旦停止)にするのも同じ理由からである。
停止してしまうと、ディスクの回転が止る。
ふたたび再生ボタンを押すとディスクの回転が始まるわけだが、
CDプレーヤーにはサーボ技術が不可欠であり、
このサーボの立上り時に音が安定するのに、わずかな時間を必要とする。
だからポーズにしてディスクはつねに回転させた状態を維持するわけである。

Date: 5月 26th, 2014
Cate: きく

音を聴くということ(試聴のこと・その3)

今年一月にあるオーディオマニアのお宅に伺う機会があった。
バイアンプ駆動のシステムだった。

何枚かのCDを聴いて、気になるところがあって、
チャネルデヴァイダーのスロープ特性と極性の切り換えをいくつか試してみた。

できれば違うところを調整したかったのだけれど、私のシステムではないから、
スイッチで切り換えられる範囲であれば、元のポジションにすれば元に戻せるので、
この部分だけをいじってみた。

スロープ特性はハイカット、ローカット別個に指定できる。
ウーファーのハイカットを12dB/oct.で、上の帯域のローカットを18dB/oct.ということができる。
スロープ特性は12dB、18dB、24dBがあり、
ウーファーの正相・逆相、上の帯域の正相・逆相がそれぞれ指定できる。

最初はローカット、ハイカットとも12dB/oct.で、正相・正相、
その後に12dB/oct.のままウーファーを逆相、上の帯域を正相、
今度は12dB/oct.のままウーファーを正相、上の帯域を逆相、
さらに12dB/oct.のままでウーファー、上の帯域とも逆相にする。

同じことを18dB/oct.でもやる。
さらにウーファーのスロープ特性を12dB/oct.に、上の帯域のスロープ特性を18dB/oct.にして、
極性の切り替えを4パターン試していく。

今度はウーファーと上の帯域のスロープ特性を入れ替えて、
極性の切り替えをこれまた4パターンやっていく。

これで16通りの音を聴くことになる。
ほんとうは24dB/oct.の音も聴きたかったし、
12dB/oct.と24dB/oct.の組合せ、18dB/oct.と24dB/oct.の組合せも試してみたかったけれど、
あきらかに一緒に聴いていた人たちが退屈しているのがはっきりと感じられて、そこまではやらなかった。

Date: 5月 26th, 2014
Cate: 世代

世代とオーディオ(コンプレッションドライバーの帯)

コーン型、ドーム型ユニットを使ったスピーカーシステムからオーディオをスタートしても、
心には「いつかは大型ホーンとドライバーを組み合わせて……」という気持があった。
マニアならば、一度はホーン型を使うもの、
言い方をかえればホーン型を使いこなしてこそ、一人前のマニアという空気が確実にあった。

そんな空気の実感できたのは私ぐらいの世代が最後なのかもしれない。
いまでは中途半端に頭でっかちの人たちは、ホーン型なんて……、と否定する、
そんな空気を感じることがある。

ここではホーン型なのか、それともダイレクトラジエーター型なのか、
どちらが優れているのかを論じるわけではない。

ここで書きたいのはコンプレッションドライバーの、いわゆる帯のことについて、である。

JBLのドライバーにしろ、アルテック、ガウス、ヴァイタヴォックスなどの海外のドライバーだけでなく、
コーラル、マクソニック、オンキョーなどの国産のドライバー、
アルニコマグネットを採用したドライバーなら、ドライバーの後方に帯がはいっている。
たいていは銀色の帯である。

この帯がなければコンプレッションドライバーは黒い鉄のかたまりであり、
帯がはいっていることで見映えもよくなる。

けれどいうまでもなく、この帯は装飾のための帯ではない。

ダイアフラムがドライバー後方にあるタイプ(バックプレッシャー型)のダイアフラムを交換したことのある人、
もしくはカットモデルを見たことのある人ならば、
この帯が磁気回路のプレートであり、必然的にできるものだということを知っている。

つまりダイアフラムのボイスコイルは、この位置にあるわけで、
外側からボイスコイルの位置がすぐにわかるようになっていて、
ユニットを組み合わせてスピーカーを構築していく人にとって、
この帯はユニットの位置合せの目安にもなっていた。

既製品のスピーカーシステムだけを使っている人にとっては、
こんなことは知っていたからといって役に立つわけではないから、
以前では知らない方が恥ずかしかったのに、
いまでは知らない人の方が時として堂々としていたりする。

Date: 5月 25th, 2014
Cate: re:code

re:code(その5)

記事の本数が4300になった時点で、JBLの4300シリーズのことを書き始めた。
まだ書いている。もう少しというか、まだまだ書いていくことがある。

いま4350のことを書いている。
4350の音を思い出しながら、
4350でいま聴いてみたいレコード(録音物)のことを思いながら書いていて気づくのは、
JBLのスピーカーの音の特質について、である。

4350の音は、生よりも生々しい。生を超える迫真性とでもいいたくなるリアリズムがある。
それがいったいどういうところから来るものなのか、
レコード(録音物)を家庭で再生するという行為において、
このJBLならではの特質はどう活きてくるのか、どう捉えるべきなのか。

こんなことを考えていた。
そして、二年前に書いていたことが浮んできた。

re:codeについて、である。
これからどういうふうに書いていくのかはまったく決めていないし、わからない。
けれど、re:codeについて書く必要がある、ということは実感している。

Date: 5月 25th, 2014
Cate: audio wednesday

第41回audio sharing例会のお知らせ(試聴ディスクのこと)

いまJBLの4350について書いている。
その中でチャック・マンジョーネの「サンチェスの子供たち」のことについてふれたことで、
facebookで、このことが話題になった。
いくつかのコメントの中で、試聴ディスクについて知りたい、というのがあった。

最近では視聴と書く人が、少なくともインターネットでは多くなってきているが、
あくまでも試聴であり、試聴のためにかけるディスクを試聴ディスク、試聴LP、試聴CDという。

ステレオサウンドで働いていたから、かなりの数の試聴ディスクを聴いてきた。
それ以前、ステレオサウンドの読者だったころも、どんなディスクを使われているのかは非常に興味があった。

試聴ディスクとは、いったいどういうものなのか。
どういう基準によって、試聴ディスクを選ぶのか。

いわゆる優秀録音と呼ばれていれば試聴ディスクとして十分なのたろうか。

試聴といっても、例えばスピーカーやアンプの総テストでは、
かなりの数のスピーカーなりアンプを聴く。
そういうときに使うのも試聴ディスクである。

一方で新製品として登場してきたスピーカーなりアンプを聴くときに使うのも試聴ディスクである。

さらに試聴室でもいい、自分のリスニングルームでもいい。
あるシステムからいい音を抽き出すために調整していくために聴くディスクもまた試聴ディスクである。

試聴ディスクで、ひとつのテーマになる。

来月のaudio sharing例会では、この試聴ディスクをテーマにしようと思っている。

6月のaudio sharing例会は、4日(水曜日)です。
時間はこれまでと同じ、夜7時です。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 5月 23rd, 2014
Cate: iPod

ある写真とおもったこと(野獣死すべし)

昼ごろtwitterを眺めていたら、あるツイートが目に留った。
映画「野獣死すべし」で松田優作演じる伊達邦彦が自室で聴くスピーカーはJBL、というものだった。

「野獣死すべし」は観たことがなかった。
JBLが登場するのであれば観ておこう、とHuluのラインナップにあることは知っていたので、さっそく観た。

確かにスピーカーシステム、それもフロアー型が登場する。
38cm口径と思われるウーファー(コルゲーションつきのコーン紙はJBLによく似ている)、
それにスラントプレートの音響レンズがついている。
パッと見た目、JBLのスピーカーと勘違いする人がいるかもしれない。

「野獣死すべし」の冒頭でスピーカーは映っている。
部屋を流して映すシーンで、ぼんやりとだがJBLのスピーカーではないことはわかる。
オンキョーのScepter 500である。

Scepter 500は1977年11月に出ている。
38cm口径のウーファー、セクトラルホーンのスコーカー、スラントプレートの音響レンズつきのトゥイーター、
14kHz以上を受け持つスーパートゥイーター(ホーン型)の4ウェイである。
このScepter 500は、同時期のオンキョーのサブウーファーSL1が追加されている。

映画のなかほど、松田優作がスピーカーの前にうずくまり、音楽を聴くシーンがある。
ウーファーに耳をくっつけんばかりにしている。

「野獣死すべし」は1980年の映画だから、まだ登場していなかったスピーカーのことをいってもしかたないが、
このシーンによりぴったりのスピーカーは、同じオンキョーならば,1984年登場のGrand Scepterである。

オールホーン型の2ウェイシステム。
こう説明してしまうと、このスピーカーの音を聴いたことがない人は、
実際の音とは正反対の音を想像してしまうかもしれない。

Grand Scepterというスピーカーは、巨大なヘッドフォンともいえる。
しかも、私にはスピーカーの前にうずくまくるような聴き方に寄り添う音色のように感じている。
どこかうつむきがちな音という印象が、私には残っている。

だから、あのシーンに向いている、と思ったわけだ。
そして、そういうところはアクースタットのスピーカーの世界と共通するところがある、とおもっていた。

方式こそ大きく違えども、どちらもその方式での理想を追求しているところがある。
アメリカと日本から、1980年代に、このふたつのスピーカーは登場した。
そこに共通する世界があること。時代が要求する音だったのかもしれない。