Date: 5月 23rd, 2014
Cate: iPod
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ある写真とおもったこと(野獣死すべし)

昼ごろtwitterを眺めていたら、あるツイートが目に留った。
映画「野獣死すべし」で松田優作演じる伊達邦彦が自室で聴くスピーカーはJBL、というものだった。

「野獣死すべし」は観たことがなかった。
JBLが登場するのであれば観ておこう、とHuluのラインナップにあることは知っていたので、さっそく観た。

確かにスピーカーシステム、それもフロアー型が登場する。
38cm口径と思われるウーファー(コルゲーションつきのコーン紙はJBLによく似ている)、
それにスラントプレートの音響レンズがついている。
パッと見た目、JBLのスピーカーと勘違いする人がいるかもしれない。

「野獣死すべし」の冒頭でスピーカーは映っている。
部屋を流して映すシーンで、ぼんやりとだがJBLのスピーカーではないことはわかる。
オンキョーのScepter 500である。

Scepter 500は1977年11月に出ている。
38cm口径のウーファー、セクトラルホーンのスコーカー、スラントプレートの音響レンズつきのトゥイーター、
14kHz以上を受け持つスーパートゥイーター(ホーン型)の4ウェイである。
このScepter 500は、同時期のオンキョーのサブウーファーSL1が追加されている。

映画のなかほど、松田優作がスピーカーの前にうずくまり、音楽を聴くシーンがある。
ウーファーに耳をくっつけんばかりにしている。

「野獣死すべし」は1980年の映画だから、まだ登場していなかったスピーカーのことをいってもしかたないが、
このシーンによりぴったりのスピーカーは、同じオンキョーならば,1984年登場のGrand Scepterである。

オールホーン型の2ウェイシステム。
こう説明してしまうと、このスピーカーの音を聴いたことがない人は、
実際の音とは正反対の音を想像してしまうかもしれない。

Grand Scepterというスピーカーは、巨大なヘッドフォンともいえる。
しかも、私にはスピーカーの前にうずくまくるような聴き方に寄り添う音色のように感じている。
どこかうつむきがちな音という印象が、私には残っている。

だから、あのシーンに向いている、と思ったわけだ。
そして、そういうところはアクースタットのスピーカーの世界と共通するところがある、とおもっていた。

方式こそ大きく違えども、どちらもその方式での理想を追求しているところがある。
アメリカと日本から、1980年代に、このふたつのスピーカーは登場した。
そこに共通する世界があること。時代が要求する音だったのかもしれない。

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