MQAのこれから(とTIDAL・その10)
今日は23日。あと一週間ほどで10月が終る。
Qobuzは、10月に日本でのサービスを開始するということなのだが、
日本での正式な発表はまだない。
10月に間に合うのか、
それとも年内になんとか開始ということになるのか、
始まらずに来年以降ということになるのか。
TIDALの日本でのサービス開始も、どうなるのだろうか。
突然、始まるのか。
今日は23日。あと一週間ほどで10月が終る。
Qobuzは、10月に日本でのサービスを開始するということなのだが、
日本での正式な発表はまだない。
10月に間に合うのか、
それとも年内になんとか開始ということになるのか、
始まらずに来年以降ということになるのか。
TIDALの日本でのサービス開始も、どうなるのだろうか。
突然、始まるのか。
最終日の今日、行ってきた。
平日の夕方にもかかわらず、会場には多くの人がいた。
熱気があった、と感じた。
できれば初日に行って、なにか書こうと思っていたのだけれど、
なかなか都合がつかずに、これを書いている時には、もう終ってしまっている。
いわゆるオーディオ機器の展示はなかったけれど、
無指向性スピーカーはあったし、
オーディオに関係しているといえるモノもあった。
もう少し会期が長ければ、とか、他のところでも開催してくれれば、とは思う。
今日、みてきたモノが、
これから先のヤマハのオーディオ機器のデザインにどう取り入れられていくのか、
それはいまのところなんともいえないが、
少なくとも期待してもいいのではないかと感じることがあった。
見終って会場をあとにしようとしたとき、入り口にあったパネルにある文章を読んでいた。
するとスタッフの方(おそらくデザイン研究所の方だろう)が、話しかけてこられた。
その話の内容に頷きながら、その人の熱っぽさを感じていたからだ。
2010年1月に買ったアリス・アデールの「フーガの技法」。
聴いてすぐに感じたのは、
グレン・グールドがピアノで「フーガの技法」を演奏していたら──、だった。
同じ感銘を受けただろう、である。
だからといって、グールドとアリス・アデールの演奏がまったく同じということではなく、
いいたいのは感銘が同じということだ。
ここでもグレン・グールドのことばを引用しておくが、
グールド、こう語っている。
*
芸術の目的は、神経を昂奮させるアドレナリンを瞬間的に射出させることではなく、むしろ、少しずつ、一生をかけて、わくわくする驚きと落ち着いた静けさの心的状態を構築していくことである。われわれはたったひとりでも聴くことができる。ラジオや蓄音機の働きを借りて、まったく急速に、美的ナルシシズム(わたしはこの言葉をそのもっとも積極的な意味で使っている)の諸要素を評価するようになってきているし、ひとりひとりが深く思いをめぐらせつつ自分自身の神性を創造するという課題に目覚めてもきている。
*
グールドが語る《芸術の目的》を、アリス・アデールの「フーガの技法」に感じていた。
録音は未来。
グレン・グールドの言葉だ。
録音は過去だ。
そんなふうに捉えている人もいる。
録音が未来なわけがない。
そう捉える人の方が多いのかもしれない。
けれど、音の轍について考えるならば、
録音は未来ということが見えてくるはずだ。
アリス・アデールの「フーガの技法」を初めて聴いた日のことは憶えている。
それまでアリス・アデールのことはまったく知らなかった。
名前も聞いたこと、見たこともなかった。
若いピアニストではなかった。
現在、78歳のフランスのピアニストである。
「フーガの技法」を聴き終って、なぜ、この人をいままで知らなかったのか、
不思議でならなかった。
そのアリス・アデールが、2024年2月に来日する。
やはり初来日ということだ。
武蔵野市立武蔵野市民文化会館の小ホールで、
2月12日が「フーガの技法」、
17日がドビュッシー、ラヴェルなどのフランスの作曲家の小品。
チケット販売は、今日から始まっている。
別項で「アクティヴ型スピーカーシステム考」を書いているが、
よくできたアクティヴ型スピーカーも、
優れたヘッドフォンと同じように、感覚の逸脱のブレーキといえよう。
無線と実験が、12月発売の1月号から、これまでの月刊誌から季刊誌になる。
特に驚きはない。
ラジオ技術も書店売りがなくなり、月刊誌から隔月刊誌になり、
今年になってからは、隔月刊の発行はあやしくなっている。
5/6月号が、まだ出ていないのだから。
オーディオ雑誌で月刊なのは、ステレオだけなのか。
今回の無線と実験の季刊化で思うのは、
12月発売の号からということは、
3月、6月、9月、12月発売ということ。
ステレオサウンドと同じだし、
オーディオアクセサリーにしても、アナログにしても、発売日は近い。
いろいろ事情はあるのだろう。
いちばん大きいのは、賞がらみのはずだ。
季刊誌になっても無線と実験は、賞を継続していくのだろう。
ならば年末に賞の企画を持ってきたい。
賞から離脱するオーディオ雑誌はないのか。
そんなことをおもってしまう。
来春登場予定のデジタルコントロールアンプは、MQA対応の予定だときいている。
どのブランドなのかもきいているけれど、まだ明かさないでおこう。
デジタルコントロールアンプといっても、
従来のコントロールアンプにD/Aコンバーターだけを搭載した内容ではなく、
デジタル信号処理を積極的に搭載して、
ルームチューニングの他に、
帯域分割(いわゆるチャンネルデヴァイダーとしての機能)も可能となっている。
そういうモデルが、MQA対応になるということは、
やっと、そういう製品が登場するのか、と思うだけでなく、
MQAの新しい可能性というよりも新しい領域を聴けるようになるわけだ。
とにかく、いまは予定通りにMQA対応で、このモデルが来春登場してくれることを願うばかり。
ヤマハのデザイン部門が発足して、今年で60年ということで、
東京・六本木のAXISギャラリーで、
10月21日(土)から23日(月)まで、
「Where We Are – ヤマハデザイン研究所60周年企画展」が開催される。
三日間という短い開催だけれども、
都合をつけて行くようにしたい。
四日前に(その1)へのコメントがあった。
七年前、四谷三丁目の喫茶茶会記で行っていたaudio wednesdayでのスピーカーに関しての質問だ。
この時は、アルテックのドライバーが不調ということで、私のJBLの2441と2397を持参した。
トゥイーターは、デザイナーの坂野さんから2405を借りての3ウェイ構成である。
ウーファーはアルテックの416-8Cで、これら三つのユニットのなかでは一番出力音圧レベルが低い。
コメント(質問)には、
《2441と416のレベル調整は何か入っているように思いますが》とあるが、
この時、2441へはアッテネーターの類は使用していない。
ではどうしたかというと、これも別項で簡単に触れているように、
マークレビンソンのLNP2の3バンドのトーンコントロールを使って、
なんとかバランスをとっている。
なので完璧なバランスというわけではないけれど、破綻をきたしているバランスではなかった。
バランス重視であれば、アッテネーターを作り、細かく調整していくのだけれど、
この時は時間の余裕もなかったし、2441の実力をストレートに発揮したかったということもあって、
あえてアッテネーターは使わなかった。
こういう方法をすすめることはしない。
コメントにもあるように、マルチアンプのほうが簡単である。
アンジェラ・ヒューイットの名前は知っていた。
グレン・グールドと同じトロント出身のピアニストとして知っていた。
ずっと以前に、もうおぼろげだけどCDを買って聴いている。
バッハのピアノ協奏曲だったはずだ。
聴いていることは確かだけど、それきりだった。
悪いとは思わなかったけれど、印象に残るということもなかった。
アンジェラ・ヒューイットは、ハイペリオンに移籍している。
ハイペリオンは、別項で書いたように最近MQAでの配信を開始している。
アンジェラ・ヒューイットの最新録音、
モーツァルトのピアノ・ソナタも、MQAでTIDALで聴ける。
今回聴いたのは二枚目のほう。
MQAだから、ハイペリオンだから聴いてみよう、
そんな軽い気持からだったけれど、
最初に鳴ってきた音を聴いた時から、
内田光子のモーツァルトのピアノ・ソナタを聴いた時のことを思い出していた。
今回聴いたアンジェラ・ヒューイットのアルバムと曲目が重なる。
フィリップスからの内田光子のデビュー盤を聴いた時の情景が浮んできそうだった。
それから四十年ほど経ってのアンジェラ・ヒューイットのモーツァルト。
この演奏が最高とまではいわないけれど、
聴いていて、実に気持いい。
演奏も音も素晴らしい。
気持ちのよいピアノの音がしている。
先週土曜日の夜、ある人とオーディオの話をしていた。
絶縁トランスの話題になった。
そこでCR方法について話した。
すると、その人(Tさん)はCR方法について知っていた。
そして、あれは効きますね、と。
ここにも知っている人がいる。
でも、どうやって知ったのだろうか。
Tさんは友人のAさんのために、絶縁トランスを作っている。
市販の絶縁トランスを購入し、それらをケースに収めCR方法をやったものだけど、
Aさんに、一年ほど前に、CR方法について説明して手書きのメモを渡していた。
Tさんは、そのメモを見て試してみたところ、非常に良かったそうだ。
こういう話を聞くとうれしくなる。
直接ではないけれど、間接的にCR方法のやり方が伝わって、
とにかく試して、その音を聴く人がいるということ、
そして、その効果を認める人がいるということ。
そのことが嬉しかったりする。
アンカーのPowerHouse 90は、ある人に貸し出している。
バッテリー電源というと、こんな先入観を持っている人も少なくないと思う。
S/N比はよくなっても、線の細い音になってしまう──、
つまり音の力感に欠けてしまう──、
そんなふうに思われがちではないだろうか。
バッテリー電源といっても、さまざまな種類と容量があって、
その使い方によっても、音は変化してくるのだから、
一概はそうとはいえないまでも、なんとなくそういう印象がついてまわってもいる。
今回、貸し出した人もそう思っていたそうだ。
ところが、そんな予想とは異なり、鳴りっぷりも不満なかった、とのことだった。
そうだろう、と私は思っている。
バッテリー電源といっても、直接DC電源を供給しているのではなく、
AC110V、60Hzに変換しての供給である。
ここで注意したいのは、正弦波であるかどうかである。
この手の製品は、アンカー以外にも各社から出ている。
PowerHouse 90よりも安価で容量の大きな製品もあるが、
それは果たして正弦波出力だろうか。
疑似正弦波出力のものもけっこうある。
アンカーは純正弦波出力を謳っている。
実際に、その波形を見て確認したわけではないが、
音を聴く感じでは、正弦波だと信じている。
私は、(その9)で書いているように、
メリディアンの218用に使っている。
210用にもう一台購入しようか、とも考えている。
210は218よりも消費電力が大きい。
218の5Wに対して15Wである。
このくらいならば、十分使えるはず。
30W前後の消費電力の製品でもいけるような気はしている。
マランツのModel 7の消費電力は、確か35Wである。
Model 7の電源をPowerHouse 90からとれば、
アメリカと同じ60Hzになるし、110Vだから昇圧トランスも不要になる。
“el Tango de Astor Piazzolla”。
ミルヴァのアルバムだ。
TIDALでは以前から配信されていた。
ただしFLACだった。
昨晩、MQAになっていないかなぁ、とかすかな期待をもって検索してみたら、
なんとMQAになっていた。
他のミルヴァのアルバムも、いくつかMQAになっている。
オルネラ・ヴァノーニは? と思って、
こちらも見ると、以前よりもMQAのタイトルが増えていた。
まだまだMQAになってほしい(MQAで聴きたい)アルバムはある。
それでもミルヴァの“el Tango de Astor Piazzolla”がMQAで聴けるようになったのは、
そうとうに嬉しい。
ミルヴァの歌の、なんとなまなましいこと。
歌を聴くということは、こういうことだ、と断言したくなる。
昨晩(10月4日)のaudio wednesdayは、初めての方が二人参加された。
お一人は岡山県から来られた。
喫茶茶会記があったころは音出しもできたけれど、
昨年から再開してのaudio wednesdayは、特定の場所での開催ではなく、
小人数で、どこかに集まって、音楽、オーディオなどについて話すだけである。
そんな集まりでも参加したい、という方がおられる。
昨晩は、私を含めて四人。
三時間半ほど、ずっと話していた。
実に楽しかった。
オーディオをながいこと続けてきたからこその楽しさでもある。
そのことを実感するとともに、
これからのオーディオという世界の行く末は──、
そのことについておもうところは共通しているとも感じていた。