THE DIALOGUE(その1)
「THE DIALOGUE」は、オーディオラボからでていた菅野録音の中で、
最も多く聴いたLPである。
1978年に出ている。
録音は1977年、もう40年経っている。
当時のステレオサウンドの試聴レコードとしても、よく登場していた。
熊本のオーディオ店の招待で定期的に来られていた瀬川先生も、
「THE DIALOGUE」を試聴レコードとして持参されていた。
一度、その熊本のオーディオ店に菅野先生が来られた時も、
JBLの4350Aで「THE DIALOGUE」を鳴らされた。
私にとって「THE DIALOGUE」はJBLの4343と4350Aで聴いた音が、
ひとつのリファレンスとなっているともいえる。
スピーカーから、こういうドラムスの音が聴けるのか、とおそれいった。
同時期のチャック・マンジョーネの「サンチェスの子供たち」におけるドラムスの音にも、
4343で聴いて驚いたけれど、「THE DIALOGUE」はより生々しかった。
LPをすぐさま買った。
33 1/3回転盤だけでなく、UHQR仕様の78回転盤も、
アナログプレーヤーをトーレンスの101 Limitedにした機会に見つけて買った。
菅野録音のオーディオラボのレコードは、他にも何枚か買っていた。
買わなくとも、ステレオサウンドで働いていると、他のレコードを聴く機会はあった。
「THE DIALOGUE」を、あるジャズ好きの人は、
「音はいいけど、音楽的(ジャズ的)にはつまらない……」といっていた。
反論したかったけれど、当時はジャズをほとんど聴いていなかった私にはできなかった。
それに、「THE DIALOGUE」を音楽として聴いていたかどうかに自信ももてなかったこともある。
そのくらい、「THE DIALOGUE」のディスクから聴くことのできる音は、
オーディオマニアにとって、ひとつの快感でもあったのではないだろうか。
少なくとも、10代の終りからハタチごろの私にとっては、そういう面を否定できない。
そのためだろうか、ある時期からパタッと聴かなくなった。
CDが登場してからも聴くことはなかった。
SACDとして2001年に登場した時も、見送っていた。
オーディオラボのSACDは、他のディスクは聴く機会があった。
菅野先生のリスニングルームでも聴かせていただいた。
けれど「THE DIALOGUE」はずっと聴いていない。
もう30年ほど聴いていないのに、ここにきて無性に聴きたくなっている。