オーディオマニアと取り扱い説明書(その1)
ずっと以前、とあるところから、
あるオーディオ機器の取り扱い説明書を書いてくれないか、という依頼があった。
ことわる理由もなかったし、取り扱い説明書を書くのも、何かの勉強だと思い受けたことがある。
とはいうものの、これまでオーディオ機器の取り扱い説明書を読んだことはほとんどない。
かなり多くのオーディオマニアが、私と同じではなかろうか。
なのでいくつかの取り扱い説明書を取り寄せて、読んだことがある。
オーディオ機器の取り扱い説明書も、各社さまざまなのを知った。
こういう機会でもないかぎり、取り扱い説明書をじっくり読むことはなかった。
基本的に、オーディオ機器であれば取り扱い説明書はなくとも使える。
そういう自信を持っていた。
けれど先日のaudio wednesdayでは取り扱い説明書を読むことになった。
オーディオ機器の取り扱い説明書を読むのは二十年以上なかった。
喫茶茶会記の新しいアンプ、マッキントッシュのMA7900のフロントパネルには、
それほど多くのツマミがあるわけではない。
最初MA7900を前にして、あれっ? と思った。
モードセレクターが見当たらなかったからだ。
MA2275にはついていた。
モードセレクターなんて要らない、と考える人もいるが、
モードセレクターの有用性を知らない(気づいていない)人は、
そういう調整の仕方をしているわけとなる。
マッキントッシュもついになくしたのか……、と思っていた。
途中でMA7900の内蔵D/Aコンバーターの音を聴こう、ということになった。
私は単純に、入力セレクターをまわしていけば、
デジタル入力がディスプレイに表示されるのだと思っていた。