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Date: 9月 6th, 2025
Cate: audio wednesday

Siemens Eurodyn + Decca DK30(その2)

野口晴哉氏が、いくつものスペアを所有されていて、
今回の会で鳴らしたデッカのリボン型トゥイーターもそうだ。
オイロダインの横で鳴っているペアの他に、あと四本ある。
これを眺めていると、オイロダインには出されていたのに、ウェストレックス・ロンドンの方には──、という疑問がわく。

なぜオイロダインにだけデッカなのか、
ウェストレックス・ロンドンにも予定されていたのか。

野口晴哉氏のスピーカーは、劇場用スピーカーの流れを汲むモノが多い。
というかほとんどがそうだ。
そうでないのはQUADとスタックスのコンデンサー型くらい。

オーディオ雑誌の記事でしか知らない人は、野口晴哉氏はワイドレンジ指向ではない、と思っていても仕方ない。
けれどデッカのリボン型トゥイーターがあるし、JBLの075、2405もある。

実はこれだけでなく、屋根裏にはエレクトロボイスの30Wが二本ある。
言うまでもなく30Wは、その型番からわかるように30インチ(76cm)口径のウーファーだ。

この30Wを、どう使われるつもりだったのか。
たぶん、ここに取り付けられるはずだったのでは──、と思うところはある。
そこだとして、30Wは、どのスピーカーとの組合せとなったのか。

ヴァイタヴォックスのCN191のスピーカーの位置からして違う。
594Aのシステムか、オイロダインか、ウェストレックス・ロンドンなのか。

可能性が高いのは、オイロダインなのではないだろうか。

Date: 9月 5th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十一夜(オイロダインで聴くワーグナー)

今月のaudio wednesdayも暑かった。先月ほどではなかったけれど、暑さは残っていた。
来月はもう10月だから、さすがに暑いということはないはず。涼しいはず。

だからワーグナーだけの会にする予定だ。
シーメンスのオイロダインで、最初から最後までワーグナーだけをかける。

人によっては退屈な時間となるし、苦痛に近くなるかもしれず、辛抱の三時間となるだろう。

ワーグナーは、最初から面白おかしく、楽しく聴ける音楽をつくっていない。
それでも聴き続けることで、美しい旋律に心奪われることが起こる。

そんなワーグナーの音楽を、終始退屈な音楽にしてしまうスピーカー(音)もある。
ゆえにオイロダインで、ワーグナーを遠ざけてきた人に聴いてもらいたいだけでなく、ワーグナーの音楽をわかっている(つもり)の人も、含めて、だ。

Date: 9月 4th, 2025
Cate: audio wednesday

Siemens Eurodyn + Decca DK30(その1)

昨晩(9月3日)のaudio wednesdayは、シーメンスのオイロダインを鳴らした。

野口晴哉氏のリスニングルームには、ウェスターン・エレクトリックの594Aを中心としたシステムの他に、
今回のオイロダイン、ウェストレックス・ロンドンの2080Fと2090Gのシステム、
ヴァイタヴォックスのCN191、ウェスターン・エレクトリックの757A(モノーラル)、そのレプリカがある。

いまは他のところに移動されているが、QUADのESLの、昔のリスニングルームの写真を見ると、置いてあったのがわかる。

スタックスのコンデンサー型スピーカーとイヤースピーカー(ヘッドフォン)もある。

野口晴哉氏にとって、メインのスピーカーは、どれだったのか。おそらく594Aのシステムなのだろうが、
594Aを手に入れられたのは、亡くなられた年の1月だから、
試行錯誤の途中だったのかもしれない。

野口晴哉氏のリスニングルームの裏側、天井裏は倉庫になっている。
そこには、これまで使ってこられたオーディオ機器が置かれているだけでなく、
スピーカーユニットのスペアが、けっこうな数、保管されている。

箱に収まっているモノ(しかも箱は中身と関係なかったりする)も多数あり、
全てを確認しているわけではないが、驚くのはオイロダインだ。

オイロダイン本体が、裏に六台ある。
壁に取り付けられて鳴っているオイロダインを含めて八台、所有されていたわけだ。
音響レンズも元箱に入ったまま保管されている。

これらを見つけた時、昂奮した。
スケールが違いすぎる。
それだけでなく、野口晴哉氏は、オイロダインが一番好きだったのかもしれないと思っていた。

Date: 9月 3rd, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –今後の予定

10月のaudio wednesdayも、シーメンスのオイロダインを鳴らす予定でいる。
11月は、ヴァイタヴォックスのCN191を考えている。

12月は、まだ確定ではないが、ポーランド・ジャズをテーマとした会の予定。

最近、Googleアプリが、ポーランド・ジャズに関する記事を表示してくる。
Googleで、ジャズに関することを検索したのは、あまりないのに、なぜ? と思いつつも、
きっかけはこんなことでもいいわけで、ポーランド・ジャズをテーマにやるのも面白い、と思うようになった。

思ったところで、私はジャズは詳しくないし、ポーランド・ジャズという括りがつくと、無知と言っていい。
けれど、ポーランド・ジャズに詳しい人を知っている。

この人にDJをやってもらえば、いい。
10月、11月はスケジュール的に無理だけど、12月ならば、という返事だった。

なので確定しているわけではないが、12月はポーランド・ジャズの会となる予定。

Date: 9月 2nd, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十夜(Siemens Eurodynを鳴らす・いよいよ明日)

明日(9月3日)のaudio wednesdayは、シーメンスのオイロダインを鳴らす。

野口晴哉氏はオイロダインにデッカのリボン型トゥイーター、DK30(音響レンズ付き)を足されていた。
ネットワークはデッカ純正のCO/1/8(カットオフ周波数2.5kHz)ではなく、
JBLのN8000を使われていた。

つまりDK30を8kHzで使われていたことになる。
オイロダインは昨年の5月から、audio wednesday以外で何度か鳴らしている。
DK30への結線は外している。

理由は、オイロダインとのクロスオーバー周波数に疑問があること、
N8000のメインテナンスまで時間的に余裕がなかったことだ。

オイロダイン単体で、当然だけれども、いい感じでなってくれる。
最新のスピーカーではないため、高域が十分過ぎるところまで再生してくれるわけではないが、
オイロダインはそのままの2ウェイでこそ、オイロダインであって、
DK30の必要性をそれほど感じていなかった。

けれど8月の会で、オイロダインと同じような構成のウェストレックス・ロンドンに、
エラックのリボン型トゥイーターをつけた音を聴いて、
オイロダイン+DK30の音も聴いてみる必要があると思うようになった。

だからといってJBLのN8000がDK30に合うとは思いにくい。
今回はN8000の倍ほどのカットオフ周波数でDK30を鳴らしてみる。

Speaker System: Siemens Eurodyn + Decca DK30
Control Amplifier: Marantz Model 7

Power Amplifier: Accuphase A20V

Analogue Disc Player: Garrard 301 + SME 3012R
Phono Cartridge: EMT TSD15, Neumann DST

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 9月 1st, 2025
Cate: アナログディスク再生

Westrex 10Aのこと(その9)

(その8)圧電型カートリッジについて書いている。
今日、Facebookに、京セラのセラミック圧電型スーパートゥイーターの投稿が表示された。

クラウドファンディングの告知である。
京セラもクラウドファンディングの会社もフォローしていないし、しかも約一週間前の投稿でもある。

(その8)が三日前だから、なんともタイミングがいい。
最後まで、その投稿を読む。

圧電型ということもあったが、
それ以上に京セラのスーパートゥイーターはピストニックモーションではなく、ベンディングウェーヴ型でもあることが、
私にとっては非常に興味をそそられると同時に、
やはり圧電型カートリッジの最新の音を、ぜひ聴いてみたくなる。

今回のクラウドファンディングが成功し、次はカートリッジをやってくれたら──、とちょっとだけ期待したくなる。

Date: 8月 31st, 2025
Cate: ワイドレンジ

ワイドレンジ考(その87)

(その85)、(その86)で、タンノイのKingdomとJBLの4350について触れている。

いまタンノイにもJBLにも、この両機種と同格のスピーカーシステムがない。
それぞれにフラッグシップモデルは存在している。
それらのスピーカーが、Kingdomや4350と比較して、音についてあれこれ書きたいのではなく、
これらのスピーカーを見た瞬間、
やってくれたなタンノイ、やってくれたなJBL、
そんな感情が湧いてくるのかこないのか、そのことだけである。

製品の規模は同じか、より上であっても、
全体の印象としておとなしくなっているというか、
少なくとも「やってくれたな」とワクワクする面は薄れてきている。

これも世代からくるものかもしれない。
4350、Kingdomを知らない若い世代は、
私があまりワクワクしないスピーカーにワクワクしていてもおかしくない。

私にとって「やってくれたな」は、どこか血湧き肉躍る──、
そこへとつながっているわけで、
そんなことを求めない人には、私とは違ったワクワクや「やってくれたな」があるだけのこと。

Date: 8月 31st, 2025
Cate: ディスク/ブック

Alice Ader(その7)

2026年2月に二度目の来日をするアリス・アデール。
2月10日の王子ホールに続いて、
14日、横浜のフィリアホールでも演奏する。

14日のプログラムは、バッハとシューベルト。
10日、14日、どちらも楽しみだが、シューベルトはとても楽しみ。

Date: 8月 30th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十夜(Siemens Eurodynを鳴らす)

9月2日までは猛暑日と予報されているが、
audio wednesdayの3日は、真夏日でとどまってくれそうである。

3日も猛暑日の予報だったら、エアコンありの空間でやる予定だったが、
真夏日なので、野口晴哉氏のリスニングルームのシーメンスのオイロダインを鳴らす。

今回は2月に続いてアナログディスクのみで鳴らす。
カートリッジはEMTのTSD15だけでなく、
野口晴哉氏のコレクションの中にあったノイマンのDSTも予定している。

ただしDSTは、まだ試していないので、もしかすると音が鳴らないことも十分考えられる。
その場合はTSD15で、きちんと鳴ってくれればDSTをメインと考えている。

2月の会同様、リクエストに応じる。
ただしDSTの針圧は5gなので、その点を了承していただける方のみとなる。

Date: 8月 29th, 2025
Cate: アナログディスク再生
1 msg

Westrex 10Aのこと(その8)

ウェストレックスの10A、ノイマンのDST。
これらのダイレクトカップリングのカートリッジの音を思い出すと、
私の頭の中に時々浮かぶのは、圧電型カートリッジの可能性である。

私が小さいころ、いわゆるステレオがある家庭は少なかった。
ステレオがない家庭にあるレコード再生のための機器は、
卓上型プレーヤー、ポータブルプレーヤーと呼ばれていたモノである。

フルレンジのスピーカーが搭載されていて、ターンテーブルプラッターは、シングル盤サイズ。
手軽に持ち運びできるように蓋を閉じると持ち手がある。
ケースはプラスティック製。

オーディオマニアからすれば、いい音が出てくるはずはない、と、それで終ってしまうであろう作り。

中学生のころ、中を見たことがある。アンプ部は、小さい基板一枚で構成されていた。
モノーラル再生のみなので、基板にはOPアンプ(それも一つ)だった。

どうみてもイコライザー回路はない。
MM型、MC型といった速度比例型ではなく、振幅比例型の圧電型カートリッジを採用しているため、アンプはこれ以上は無理というほどに簡略化されている。

本格的な音は、鳴ってこないが、声だけは活き活きと鳴っていた、と記憶にある。
当時の圧電型カートリッジは高性能は期待できないレベルとはいえ、この発電方式ならではの良さは少なからずあったのではないのか。
そんなことを時々思うことがある。

そんな時代と現代とでは、いろんな素子が改良されて良いモノになっている。
圧電型カートリッジは、可能性はどうなのか。
圧電型カートリッジは、ダイレクトカップリングに向く。当時は破損しやすかったため、カンチレバーが必要だったが、現代の圧電素子ならば、どうだろうか。

Date: 8月 28th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Alice Ader(その6)

アリス・アデールが、2026年、再び日本で演奏会を開く。
2月10日、王子ホールで、ショパンとモンポウのプログラム

2024年2月の初来日。招聘元のブログを読んで、また来てくれそうな予感はあった。
なので驚きこそないが、嬉しさは、やっぱり大きい。

今回の来日は、王子ホールでの一日だけなのか、それとも他のホールでも行うのか。
いまのところはっきりとしないが、一日だけでも、再びアリス・アデールが聴ける。

Date: 8月 27th, 2025
Cate: ディスク/ブック

宿題としての一枚(その16)

2023年1月からaudio wednesdayを再開し、今月6日の会で、二十回。

7月、8月は野口晴哉氏のスピーカー、ウェストレックス・ロンドンを鳴らした。
audio wednesdayで野口晴哉氏のスピーカーを鳴らしたのは、これが初めてではない。

昨年はウェストレックスの757Aと、そのレプリカを鳴らしているし、
audio wednesday以外でも、シーメンスのオイロダイン、
ウェスターン・エレクトリックの594Aを中心としたシステムも鳴らしている。

鳴らす度に、野口晴哉氏からの「宿題の一枚」は、なんなのか、と思う。
野口晴哉氏が、どういうレコードを所有されていたのかは、
レコード棚をけっこう見ているので、なんとなくは把握できている。

それでも「宿題としての一枚」となると、漠然とし過ぎている。

カザルスの無伴奏は、最初から、そうと意識していた。
けれどこれ以外は、なんだろうか。
いつか、これだ、と気づく日が訪れるのか。

Date: 8月 26th, 2025
Cate: 「本」

オーディオの「本」(万世書房の閉店)

秋葉原のラジオセンターにある万世書房が、12月後半に閉店する。
閉店の話は、数ヵ月前に耳にしていたが、正式に発表されたことではないので書かずにいたが、
今日、万世書房のX(旧twitter)で公式発表されている。

電気・電子関係の専門書店は、昔はもう一軒あった。
万世書房だけになって、ずいぶん経つ。
書店売りをやめたラジオ技術も、ここに行けば買えた。

そういえば石丸電気のレコードだけを扱っていた店舗も、
オーディオと音楽関係だけの本のコーナーがあった。

万世書房は、昭和26年(1951年)の開店とある。

秋葉原という街が、この頃からはずいぶんと変っている。
私が東京で暮らすようになってからでも、大きく変化しているのだから、
万世書房の閉店は、初心者が相談できる書店の閉鎖でもある。
ラジオデパートにあった、もう一軒の書店もそうだが、
電子部品も扱っている、小さな店では、そういう光景を何度も目にしている。

Date: 8月 25th, 2025
Cate: 進歩・進化

メーカーとしての旬(その10)

KEFには勢いがある。
このことに同意される人もいれば、そんなことはない、と否定すら人もいる。

否定する人の中には、
KEFのスピーカーシステムを強く推すオーディオ評論家がいないことを指摘する人がいるかもしれない。

確かにいない。
そこそこの評価をしている人はいても、強く推している人はいない。

ここが、いまのKEFの勢いのすごいところだ、と私は思っている。
つまりオーディオ評論家の評価とはほぼ関係なく売れている、といえる。

これをオーディオ評論家、オーディオ雑誌の編集者は、どう受け止めているのか。
危機感を感じているのか、そうでないのか。

影響力の低下。
そんなふうに受け止めているオーディオ評論家、編集者はいるのだろうか。

Date: 8月 24th, 2025
Cate: 進歩・進化

メーカーとしての旬(その9)

来年の秋で、「五味オーディオ教室」で出逢って50年になる。
この五十年間で、ずっと続いているメーカー、新しく誕生したメーカー、消えていったメーカーが、当然ある。

勢いのあったメーカーもあるし、旬といえる時期を迎えていたメーカーもある。
そんな移り変りを見てきて、いま、勢いのあるメーカーはどこだろうか、と思うと、
その答は人によって違ってくるのはわかった上で、KEFではないか、という気がしている。

KEFのショールームは以前有楽町にあった。
ビルの建替えのため、いま青山に移転している。

その青山にあるKEFギャラリーを見ると、売れているんだろな、と思う。

オーディオ雑誌ではKEFよりも高く評価されるスピーカーシステムはけっこうあるし、
低い評価を受けているとは言わないものの、ステレオサウンドでの扱いは、ちょっと素っ気ないな、と感じたりもする。

そんなオーディオ雑誌の扱いは、あまり影響していないのかもしれない。
もっと別のところでの評価があるのか。

不動産に詳しいわけではないが、青山のギャラリーの開設費用、月々の維持費は、
私が想像しているよりもかかっているのではないか。

あの場所で、あの規模を維持しているということは、KEFのスピーカーが売れているから。それ以外の理由はないはず。

1980年代、BOSEのスピーカーは本当に売れていた。同じような感じで、KEFもそうなのだろうか。