Archive for category テーマ

Date: 5月 7th, 2018
Cate: 「本」

雑誌の楽しみ方(書店の楽しみ・その3)

数週間前に山下書店の渋谷店が閉店になることを書いたばかりなのに、
今日は、六本木の青山ブックセンターが閉店になる、というニュースだ。

最後に六本木の青山ブックセンターに行ったのは、一年近く前。
それも青山ブックセンターが目的ではなく、
ほかの用で六本木に行ったついでに寄っただけなのだから、
6月25日に閉店する、というニュースを知っても、とても残念だ、という気持があるわけではない。

それに青山本店は今後も営業していくのだから。
それなのにこんなことを書いているのは、
今回のニュースで初めて知ったのだが、
青山ブックセンターの六本木店がオープンしたのは1980年。
AXISビルが1981年で、WAVEが1983年にオープンしている。

私がステレオサウンドで働くようになったのが1982年1月。
それ以前の六本木を知っているわけではない。
私が知っている六本木は、1982年からの六本木である。

このころ六本木は少し変っていったのではないだろうか。
いまは、すごく変っているけれど。

青山ブックセンター、AXIS、WAVE。
この三つは、六本木で働きはじめた田舎出身の私には、
六本木を象徴する存在のようでもあった。

最初にWAVEが消えていった。
もうじき青山ブックセンターも消える。

だから、ちょっとだけ寂しい気持はある。

Date: 5月 7th, 2018
Cate: オーディオの「美」

音の悪食(その6)

だからといって、23時すぎまでの約四時間、
そういう音をずっと鳴らしているわけでは、もちろんない。

しばらく鳴らしていて、どうにかスピーカーが目覚めてきたかな、と感じてから、
チューニングを開始する。
それまで鳴らしているときにも、まったくいじらないわけではない。
でも、それは私にとってはセッティングであって、チューニングという意識はない。

とことん調整したいと思うのであれば、ある一曲を何度も何度もくり返し鳴らす(聴く)。
私一人ならば、二時間でも三時間でも、同じ曲だけをひたすら聴いて調整していく。

でも、こんなことをやると、多くの人は飽きてしまったり、しんどい、と感じるようだ。
でも、一度、そういうこともやってみたい、とは考えている。

常連の人のなかには、宮﨑マジックという人もいれば、
tweakだ、といってくれる人もいる。

最初に鳴ってきた音がどんなであれ、時間内にまとめていく。
そうでなければ、常連の人たちが毎回来てくれるわけがない。

なんらかの発見が、それぞれの人にきっとあるわけで、
だからこそ毎回来てくれている、と私は勝手に思っている。

ただし、その発見は最後までいてくれて(聴いてくれて)の結果である。
途中で帰られるのは、その人の自由であり、
そのことについて何もいわない。
けれど短い時間で帰ってしまえば、何の発見もなしになることだけは、はっきりといえる。

audio wednesdayの音出しは、オーディオ店の試聴とも、
オーディオショウでの各ブースでの試聴とも、その点では違う。

このことの理解なしにaudio wednesdayに来られても、つまらないだけかもしれない。

Date: 5月 7th, 2018
Cate: High Fidelity

ハイ・フィデリティ再考(ふたつの絵から考える・その5)

数日前、実に興味深い記事があった。
このセレブたち15人の写真は、実は「本物」ではない』、
リンク先の記事をぜひ読んでほしい。
読むのが面倒という人でも、そこの写真だけは見てほしい。

マダム・タッソー館の蝋人形を撮影した写真が、15枚公開されている。
黙って見せられたら、本人を撮影した写真だ、と誰もが思うであろう。

マダム・タッソー館の蝋人形の実物を見たことはない。
間近で見れば、どれほど本人に似せてつくられていても、なんらの違和感を覚えるであろうが、
そこに写真が介在することで、まず見分けがつかなくなるとは、
こちらの想像をこえていた。

この項で書いてきた造花を蝋人形に、
絵を写真に置き換えた実例が、すでにあったわけだ。

Date: 5月 6th, 2018
Cate:

オーディオと青の関係(野上眞宏 写真展「BLUE:Tokyo 1968-1972」)

ここでのテーマとは直接な関係はない、と思われるだろうが、
私としては、必ずしもそうとは思っていないので、この項で書くことにした。

5月19日(土)から5月30日(水)まで、
BIOTOP(ビオトープ)で、野上眞宏さんの写真展が開催される。
東京だけでなく、6月15日(金)から6月26日(火)までは大阪のBIOTOPでも開催される。

「BLUE:Tokyo 1968-1972」のBLUEは、
野上さんの愛聴盤であるジョニ・ミッチェルのアルバム名からとられている、とのこと。

日本語の青春の「青」と、英語のblueがもつ憂鬱の意味を合せての「BLUE:Tokyo 1968-1972」である。

6月1日には、「BLUE:Tokyo 1968-1972」の写真集も刊行される。

Date: 5月 6th, 2018
Cate: オーディオの「美」

音の悪食(その5)

そういう状況での音出しだから、耳障りなだけの音、
ひとことで表現するならばそんな音がしてくることがある。

そんなときどうするか。
適当にごまかす方向に逃げるのか。
もろもろのアラが気にならないように、音量もグンと下げて、
アンプやCDプレーヤー、さらにはケーブルも交換して──、というやり方もある。

けれど喫茶茶会記はオーディオ店でもオーディオ雑誌の試聴室でもないから、
アンプやCDプレーヤー(最近はCDプレーヤーは選べるようになった)、
ケーブルの選択肢はほとんどない。

それに音量を、耳障りにならないくらいまで下げて鳴らしていては、
いつまで経っても、その状態から抜け出した音を出せない。

耳障りな音がどんなにしようと、音量を上げる。
音量を上げても耳障りにならないようなソースをかけるのではなく、
あえて、反対の傾向にある音楽を鳴らす。

そうやってスピーカーを、すこしでも短い時間で目覚めさせたいからである。
そんな鳴らし方をしていると、長島先生と同じことをやっている、
と自分でも思っている。

──そんな言い訳めいたことは書くくらいなら、
前日からきちんとセッティングしろ、とか、もっと早い時間からやれば、といわれても、
それがやれれば私としても助かるわけだが、現実にはスケジュールの都合で無理。

今回も前回も、16時ごろまで何かのリハーサルが入っていて、
早くに着いたからといって、即セッティングにかかれるわけではない。

なので書いておく。
audio wednesdayは19時開始だが、場合によっては耳障りな音を、
大音量で鳴らしている。
最初から、整った、耳障りな音がまったくしない、そんな音を聴きたい方、
いわば音の美食家には、聴くに耐えぬ音を聴かせることになる。

けれど、そんな音を23時すぎまで聴かせているわけではない。

Date: 5月 6th, 2018
Cate: オーディオの「美」

音の悪食(その4)

スピーカーを原状復帰させる。
何も、私と同じレベルのセッティングを期待しているわけではない。
ただ、もう少し丁寧に扱ってほしい、とは毎回思っている。

でもオーディオにまったく関心のない人にとっては、
私のセッティングも、彼らによる原状復帰も同じレベルにとらえているのだろう。

それでもいいじゃないか、と思うようにはしているが、
毎回とまではいわないが、細かなモノが紛失していっている。
フェルトなど、オーディオに関心のない人にとっては、ゴミくらいにしか思えないのだろうが、
フェルトが一枚あるのとないのとでは、音ははっきりと違う。

それから何度か書いているCR方法。
ウーファー、ドライバー、トゥイーター、それぞれのユニットに取り付けている。
ウーファーはエンクロージュアに取り付けているから問題ないが、
ドライバーとトゥイーターはエンクロージュアの上に置かれているだけだから、
CR方法のコンデンサーと抵抗は露出している。

これが毎回なぜか力が加えられている跡がある。
なぜ、コンデンサーと抵抗を動かす必要があるんだろうか、と思いながら、
その度に、どちらかに偏っているリード線を直していた。

年内にはリード線が切れるかな、と思っていたが、
意外に早く、今回片チャンネルのドライバーに接続している分が切れていた。

喫茶茶会記が秋葉原にあれば、すぐに代りの部品を買いに行けるけれど、
そんな時間はない。片チャンネルだけ、というわけにもいかないから、
今回はドライバーのCR方法は外した。
それにフェルトも数枚なくなっていた。

つまり二ヵ月前と同じセッティングは、無理な状況に置かれていた。
そうやって鳴ってきた最初の音は、予想した通りの冴えない感じの音だった。

Date: 5月 6th, 2018
Cate: オーディオの「美」

音の悪食(その3)

二ヵ月ぶりの音出しは、昨年末にも一度あった。
2017年11月のaudio wednesdayは、音出しができず、飲み会になった。
12月は、だから二ヵ月ぶりの音出しだった。

このときも感じたのは、二ヵ月という期間は、はっきりとブランクということだった。
今回もそうだった。

それに加えて今回は、スピーカーの状態があまりいいとはいえなかった。
喫茶茶会記では、通常はキャスター付きの台車の上に置かれている。
音出しのスペースは、オーディオのためだけにあるのではなく、
演劇や、その他のライヴにも使われるスペースであるため、
スピーカーは邪魔モノとしてあつかわれることもある。

比較的きちんと元に近い状態に戻されているときもあれば、
ひどいなぁ……、と思う戻し方も場合も、意外とある。
原状復帰とは言い難く、そういうときはゼロからのセッティングというよりも、
マイナスからのセッティングに感じてしまう。

今回もそうだった。
ホーンは斜めを向いていたし、
全体的な雰囲気もひどく扱われたんだろうなぁ、と感じていた。

これは愚痴ではなく、むしろ、そういう状況であればこそ、
得られるものが、私にはあるわけだ。
それでも、やはり時間は必要となってくる。

二ヵ月のブランクと、ひどい原状復帰が重なってのスタートゆえに、
いつもよりも、その時間はより必要となってくる。

こういうことは、個人のシステムではまずないことだ。
多目的に使われているスペースでの音出しだからこそ、
毎月一回経験できることであって、面倒だなと思うことはあるにはあるが、
腕は磨かれていく。

Date: 5月 6th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その2)

私がこれまで読んできたオーディオ関係の本で、
並列型と直列型ネットワークの音について記述してあったのは、ほんの数例で、
ラジオ技術での石塚峻氏、それから無線と実験の金田明彦氏くらいである。

石塚峻氏は並列型よりも直列型を評価されていたと記憶している。
金田明彦氏は、6dBスロープのネットワークにおいて、
直列型よりも並列型のほうが音質的に優っている、と書かれている。

私がこれまで試してきた並列型と直列型の比較、
それも6dBスロープにおいてのみの結果では、直列型を、いまのところとる。

今回のaudio wednesdayでは、
喫茶茶会記の標準仕様であるコイズミ無線の12dBネットワークから、
6dB並列型、それから6dB直列型へと変えていった。

とはいっても、厳密な意味での比較試聴ではない。
コイズミ無線のネットワークは、コア入りのコイルであり、
コンデンサーも私がよく使うASCのものではない。

6dBのネットワークでは、ASCのコンデンサーに空芯コイルを使っている。
この時点で、音が違ってくるわけで、
厳密な比較試聴ということでは、6dBスロープにおける並列型と直列型ということになる。

それに来られた方にも黙っていたが、
6dBスロープでは、ウーファーとドライバーのカットオフ周波数が、
コイズミ無線のネットワークとは違っている。
クロスオーバー周波数も、だから800Hzではなく、少し上の方へ移動している。

それでもコイズミ無線(12dBスロープ)から6dBスロープ並列型に変えると、
私の耳には6dBスロープのネットワークが、やはり好ましく聴こえる。

Date: 5月 5th, 2018
Cate: 「オーディオ」考

オーディオはすべての道に通ず

オーディオはすべての道に通ず、と本気で思っている。

すべての道はローマに通ず、といわれる。
すべての道はオーディオに通ず、ではなく、
オーディオはすべての道に通ず、が、ここまでオーディオをやってきた者の、
ゆるがない実感である。

Date: 5月 4th, 2018
Cate: ディスク/ブック

FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO(その1)

“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”。
タイトルをいわれてもピンとこない人でも、
スーパーギタートリオのライヴ盤といえば、通じる。

“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”を初めて聴いたときのことは、
別項で何度か書いている。
とにかく驚いた。

その驚きは、いまも続いている。
これまでに何度聴いたのかわからぬほど聴いているにも関らず、
聴けば、やはり凄い、と驚く。

“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”は通して聴くこともあれば、
冒頭の「地中海の舞踏/広い河」だけを聴くことも多い。

「地中海の舞踏/広い河」に関しては、細部まで憶えている、といっていい。
なのに、聴けば必ず凄い、と感じ、驚く。

audio wednesdayで音を鳴らすようになって、一度このディスクを鳴らしている。
5月2日のaudio wednesdayでも、鳴らした。

2016年に鳴らしたときはCDだった。
今回はSACDである。

2016年のときは、スピーカーが少し違っていた。
ドライバーはJBLの2441にホーンは2397だった。
今回はアルテックのドライバーにホーンの組合せ。

2397は木製、アルテックの811Bは金属製。
ホーンの形状も違うけれど、今回はホーンの材質の違いを、
それからJBLとアルテックのドライバーの構造上の違いを、
はっきりと聴いて感じられたような結果となったのは、
SACDだから、ということも関係しているように思われる。

Date: 5月 3rd, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その1)

3月のaudio wednesdayのテーマであった「ネットワークの試み」。
3月はアルテックのドライバーのダイアフラムの交換、
4月はアンプのトラブルで二回連続で先延ばしになってしまった。

5月2日のaudio wednesdayでやっとの「ネットワークの試み」。
フルレンジのスピーカー以外、
どんなスピーカーであれ、マルチウェイならばディヴァイディングネットワークが必要となる。

スピーカー側にあるLC型ネットワークもあれば、
マルチアンプでのネットワークもある。

スピーカー自作のおもしろさは、ネットワークにある、といっても過言ではない。
もちろんユニットの選定、エンクロージュアの製作などもそうだけれども、
ある程度ユニットが決り、エンクロージュアが完成したあと、
時間をじっくりとかけて調整していくのはネットワークである。

クロスオーバー周波数をどのあたりに設定するのか、
スロープ特性はどうするのか、
ネットワークの方式は、
パーツの選択、その配置と取付方法……等々、
ちょっとした変更で、そうとうに音が変化することだってある。

そのネットワークだが、たいていの場合、並列型といわれる方式が使われる。
メーカー製のスピーカーシステムでも、直列型ネットワークを採用しているのはわずかだし、
スピーカーの自作記事、スピーカーの教科書的書籍でも、
直列型に関しては、取り上げられていないか、簡単な紹介程度であったりする。

並列型と直列型の回路図を見ると、並列型の方がよさそうに思える。
直列型は、その名のとおり、ユニットを直列に接続する。

高校のときに、直列型ネットワークがあるのを知った。
けれどユニットを直列接続している図を見て、
いい音がしそうには思えなかった。

Date: 5月 3rd, 2018
Cate: audio wednesday

第89回audio wednesdayのお知らせ

6月のaudio wednesdayは、6日。
4月についで、今年二度目のぞろ目の日。

別項でこれから書く予定でいるが、
昨晩の会(テーマは「ネットワークの試み」)で、
直列型ネットワークの、これまで試していなかった結線方法で音を出した。

好結果と好感触が得られた。
なので次回からは、この直列型ネットワークと結線方法で、やっていく。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。
19時開始です。

Date: 5月 3rd, 2018
Cate: オーディオの「美」

音の悪食(その2)

昨晩のaudio wednesdayに二人組の方が来られた。
一時間ほどで帰られたから、昨晩の音にあまりいい印象をもたれたわけではない。

音量が大きすぎ、
左右が逆じゃないか、
モノーラル的、
ひどい音、といった感想をもたれたようである。

左右は逆ではないし、ステレオで鳴っている。
音量は大きい。

喫茶茶会記がジャズ喫茶だから、ということも音の大きさに関係してくるけれど、
すべてのディスクで音が大きいわけではない。

ただ最初の一時間ほどは、意図的に大きな音で鳴らすようにはしている。
audio wednesdayは、毎月第一水曜日だから、月一回だけ、
だいたい23時ごろまでやっているから、音を出している時間は四〜五時間ほど。

一ヵ月のあいだ、これだけの時間しか鳴らしていないわけだ。
もちろん、通常は喫茶茶会記のスピーカーとして音を鳴らしているわけだが、
それは店主・福地さんの音(鳴らし方)であり、私の鳴らし方ではない。

毎月第一水曜日の夕方に喫茶茶会記に着いて、
スピーカー、アンプ、CDプレーヤーをセッティングしていく。
最初の音が出るのは、たいてい18時すぎであり、
ほぼ毎回、一ヵ月という時間を感じてもいる。

福地さんの鳴らし方を否定するわけではないが、
やはり私の鳴らし方とは違う、と、最初の音を聴いて感じるわけだ。

一ヵ月ぶりだね、私の鳴らし方に慣れてくれよ、
もっと早く戻ってこいよ、という気持がある。

しかも今回は、前回(4月の会)がアンプのトラブルで音を出せなかったから、
丸二ヵ月の、私にとっての空白がある。

Date: 5月 2nd, 2018
Cate: 境界線

境界線(その13)

毎月第一水曜日に四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記で、
audio wednesdayをやっている。

昨年、スピーカーのネットワークを改造した。
喫茶茶会記で使われているネットワークは、
コイズミ無線の製品で、800Hzのクロスオーバー周波数という仕様。

改造前まではスピーカーエンクロージュアのすぐ後に置かれていた。
改造後は、アンプ(マッキントッシュのMA7900)の真後ろに置いている。

配置場所の変更理由は、改造によって、アースの共通インピーダンスを極力排除したためで、
ネットワークからアンプへのアース線の数が通常の配線よりも増えている。

この部分を長くしてしまうと、
まずスピーカーケーブルの引き回しがそうとうにめんどうになる。
しかもスピーカーケーブルにかかる費用も増えてしまう。
それに複数になったアース線は、無意味に長くしたくない。

これらの理由で、スピーカー側からアンプ側に移動したわけだが、
そうなってくる、これまで書いてきた、それぞれの領域という面ではどうなるのか。

スピーカー側にネットワークがある場合は、
スピーカーの入力端子まで、つまりスピーカーケーブルを含めてが、
パワーアンプの領域だと定義した。

だが、ネットワークがアンプの真後ろにあって、アースの共通インピーダンスをなくすようにすれば、
どう捉えるのか。
これまで通り、スピーカーまでと考えれば、
アンプの真後ろにあるネットワークへの配線(10数cmほど)までが、
パワーアンプの領域であって、ネットワークの基板以降、
つまりネットワークからスピーカーユニットまでのケーブル(数mになる)は、
スピーカー側の領域となるのか、といえば、
ここではネットワークを含めて、ネットワークからユニットまでのケーブルまでが、
パワーアンプの領域と考える。

Date: 5月 1st, 2018
Cate: アナログディスク再生

シュアーの撤退

シュアーが、今夏、カートリッジから撤退する、というニュースは、
SNSでも拡散されているから、もう目にされていることだろう。

ひとつの時代が終った、
困る……、
これからどうすればいいのか……、
そんな感想も、ニュースの拡散とともに目に入ってくる。

個人的には、撤退は自然な流れだと感じた。
シュアーのイヤフォン部門への力のいれようと比較すると、
カートリッジに関しては、ただ継続しているだけ──、そんなふうに感じていたからだ。

イヤフォンではコンデンサー型の意欲的なモデルも開発している。
実は、もしかするとカートリッジでコンデンサー型モデルを出してくるかも……、
とほんの少しだけ期待していたけれど、可能性は完全にゼロになってしまった。

私はシュアーのカートリッジには夢中になれるモノがひとつもなかった。
V15シリーズにしても、TypeIIIもTypeIVも、
それから上級機のUitra500も、じっくり聴く機会があったけれど、欲しいとはまったく思わなかった。

イヤフォンはSE535が出たばかりのころ、知り合いが「これ聴いてみて」といって聴かせてくれた。
シュアーのイヤフォンということで、実のところ期待はしていなかった。
けれど、シュアーの製品で、初めて欲しい、と思うほどだった。

イヤフォンでこれだけのモノがつくれるのだから、
カートリッジもイヤフォンと同じくらいに本気で取り組んでくれれば、
シュアーのカートリッジで、欲しいと思えるモノが登場したかもしれない。

シュアーは冷静に市場を捉えていたのだろう。

SHURE、昔はシュアと表記されていた。
私がオーディオに興味をもったころはシュアーだった。
いまはシュアである。