シュアーの撤退
シュアーが、今夏、カートリッジから撤退する、というニュースは、
SNSでも拡散されているから、もう目にされていることだろう。
ひとつの時代が終った、
困る……、
これからどうすればいいのか……、
そんな感想も、ニュースの拡散とともに目に入ってくる。
個人的には、撤退は自然な流れだと感じた。
シュアーのイヤフォン部門への力のいれようと比較すると、
カートリッジに関しては、ただ継続しているだけ──、そんなふうに感じていたからだ。
イヤフォンではコンデンサー型の意欲的なモデルも開発している。
実は、もしかするとカートリッジでコンデンサー型モデルを出してくるかも……、
とほんの少しだけ期待していたけれど、可能性は完全にゼロになってしまった。
私はシュアーのカートリッジには夢中になれるモノがひとつもなかった。
V15シリーズにしても、TypeIIIもTypeIVも、
それから上級機のUitra500も、じっくり聴く機会があったけれど、欲しいとはまったく思わなかった。
イヤフォンはSE535が出たばかりのころ、知り合いが「これ聴いてみて」といって聴かせてくれた。
シュアーのイヤフォンということで、実のところ期待はしていなかった。
けれど、シュアーの製品で、初めて欲しい、と思うほどだった。
イヤフォンでこれだけのモノがつくれるのだから、
カートリッジもイヤフォンと同じくらいに本気で取り組んでくれれば、
シュアーのカートリッジで、欲しいと思えるモノが登場したかもしれない。
シュアーは冷静に市場を捉えていたのだろう。
SHURE、昔はシュアと表記されていた。
私がオーディオに興味をもったころはシュアーだった。
いまはシュアである。