モニタースピーカー論(APM8とAPM6・その2)
エスプリ(ソニー)のAPM8は、
ステレオサウンド 53号の新製品紹介で初登場し、
54号の特集「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」にも登場している。
新製品紹介では井上先生、山中先生によって評価され、
54号の特集では、黒田先生、菅野先生、瀬川先生によって試聴されている。
黒田先生は、試聴記の冒頭に《このスピーカーには、完全に脱帽する》と書かれている。
試聴記の最後はこう結ばれている。
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いつの日かここでそのように口走ったことを後悔するのがわかっていて、これをパーフェクトだといってしまいたい誘惑に抗しきれない。すばらしいスピーカーだ。
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この特集の冒頭に「スピーカーテストを振り返って」という座談会が載っている。
編集部から、今回聴いた46機種のスピーカーの中で、
一台を自宅に持ち帰るとすればどれを選ぶかという質問がある。
ここでも黒田先生は《迷うことなくエスプリAPM8です」と答えられている。
菅野先生、瀬川先生の評価も高い。
ふたりとも一本100万円という価格がひっかかって、推選、特選機種とはされていない。
瀬川先生も菅野先生も価格が半値であったら10点をつけるといわれていてる。
さらに菅野先生は、
《今回のテストで、最も印象づけられたスピーカーなのです》とつけ加えられている。
瀬川先生は《あらゆる変化にこれほど正確に鋭敏に反応するスピーカーはないですね」といわれ、
試聴記にあるように《レベルコントロールの0.5dBの変化にも反応する!》、
こんなスピーカーは他にはない、とまでいわれている。
APM8がきわめて優秀なスピーカーシステムであることが伝わってくる。
そしてAPM8は、スタジオモニターとしての性能をもっているとも感じていた。