モニタースピーカー論(APM8とAPM6・その1)
ソニーのもうひとつのオーディオブランドであったエスプリ。
エスプリ・ブランドの最初のスピーカーシステムは、APM8だった。
1978年に登場したこのスピーカーシステムは、
当時日本のメーカーで流行ともいえた平面振動板が採用されている。
しかも当時日本で驚異的な売上げであったJBLの4343をはっきりと意識していた構成であった。
4ウェイで、外形寸法も4343とほぼ同じといえる。
だから、当時の私は、エスプリ(ソニー)によるスタジオモニターというふうに捉えていた。
けれど、エスプリからは二年後にAPM6が登場した。
こちは2ウェイ。価格はAPM8の100万円(一本)に対し、50万円と、
ユニットの数も半分ならば価格もちょうど半分となっている。
もちろんAPM6もアルミハニカムを採用した平面振動板のユニットである。
こんなふうに書いていると、APM8の弟分として開発されたのがAPM6というふうに受けとめられるかもしれない。
けれどAPM8は、型番の末尾に何もつかなかった。
APM6にはMonitorとついている。
APM6の正式型番はAPM-6 Monitorである。
APM6とAPM8の違いは、Monitorがつくのかつかないのか、
ユニットの数が二つなのか四つなのか、という違いの他に、
エンクロージュアの考え方に大きな違いがある。