Archive for category ディスク/ブック

Date: 3月 16th, 2022
Cate: ディスク/ブック

きみの朝

昨晩、e-onkyoのサイトを眺めていたら、
邦楽のシングルランキングに、岸田智史の「きみの朝」が入っていた。

「きみの朝」が流行っていたころは高校生だった。
いまはテレビのない生活を送っているけれど、当時は実家暮らしでテレビもあった。

「きみの朝」はテレビの音楽番組から流れてくるのを何度か聴いている。
でもシングル盤を買って聴こうとは思わなかった。
それでもe-onkyoでランキングに入っているのを見て、ひさしぶりに聴きたくなった。

「きみの朝」は、だから昨晩ほぼ四十年ぶりに聴いた。
TIDALにあったからだ。
MQA Studio(44.1kHz)で聴ける。

懐しいなぁ、という思いから聴いたわけなのだが、
音がよくて、ちょっと驚いてしまった。

最初、最近録音しなおしたのか、新しい録音なのか、と思ったほど、
いい感じで鳴ってくれる。

「きみの朝」が収録されているのは“Morning”というアルバムなのだから、
流行っていた当時の録音である。

きっかけはどうであれ、「きみの朝」を聴いてよかった。

Date: 3月 7th, 2022
Cate: ディスク/ブック

Ses Enregistrement 1930 – 1956

“Ses Enregistrement 1930 – 1956”は、
イヴ・ナットの録音を集めた15枚組のCDボックスである。
2006年に発売になっている。

TIDALを使うようになって、わりとすぐにイヴ・ナットは検索している。
2019年11月のことである。
けれど、その時、“Ses Enregistrement 1930 – 1956”はMQAで聴けなかった。
私の記憶違い、見落しの可能性もあるが、MQAではなかった、と記憶している。

さきほどふと見てみたら、MQA(44.1kHz)で聴けるようになっている。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタも、もちろん含まれている。

イヴ・ナットのベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集は、
菅野先生の愛聴盤でもあった。

イヴ・ナットに師事していたフランスのピアニスト、ジャン=ベルナール・ポミエの全集も、
ナット以来の愛聴盤となった、とステレオサウンド別冊「音の世紀」で書かれていた。
     *
ドイツ系の演奏も嫌いではないが、ベートーヴェンの音楽に共感するフランス系の演奏家とのケミカライズが好きなのだ。ベートーヴェンの音楽に内在する美しさが浮き彫りになり、重厚な構成感に、流麗さと爽快さが加わる魅力とでも言えばよいか?
     *
ポミエのベートーヴェンもMQA(44.1kHz)で聴ける。

Date: 3月 6th, 2022
Cate: ディスク/ブック

内田光子のベートーヴェンのピアノ・ソナタ

3月4日夜、金子三勇士の「Freude」をTIDALで聴いた。
夜遅かったのでヘッドフォンで聴いていた。

リスト編曲によるベートーヴェンの交響曲第九番の四楽章がおさめられている。
これを聴き終ったあと、もう寝るつもりだった。

TIDALは、好きな演奏家をリストにできる。
金子三勇士は、Miyuji Kanekoである。

私のリストではその上に、Mitsuko Uchidaが表示される。
内田光子が、金子三勇士のすぐ上にある。

聴くつもりはなかったのに、ついMitsuko Uchidaのところをクリックしてしまう。
そこにはベートーヴェンのピアノ・ソナタのアルバムも表示される。

第三十一番の一楽章だけ聴こう、と思った。
結局、全楽章を聴いて、三十二番も聴いていた。

一年三ヵ月ぶりに聴く内田光子のベートーヴェンのピアノ・ソナタ。
前にも増して、素晴らしいベートーヴェンの音楽として聴こえてくる。

2006年に発売されている。
出てすぐに買って聴いている。
その時から、素晴らしいベートーヴェンだと感じていた。

それから十六年。
その感動は薄れたり、失われたりすることなく、増しているし濃くなっている。

「人は歳をとればとるほど自由になる」
内田光子は、あるインタヴューでそう語っていた。

私もすこしは自由になっているのだろう。
こんなにも内田光子のベートーヴェンが素晴らしく聴こえるのだから。

Date: 3月 5th, 2022
Cate: ディスク/ブック

Bach: 6 Sonaten und Partiten für Violine solo(その12)

さきほどTIDALを眺めていたら、
ヨハンナ・マルツィのアルバムが増えていた。

ブラームス、メンデルスゾーンの協奏曲とシューベルト作品集である。
どちらもMQA Studio(192kHz)で聴ける。

ならばとe-onkyoを見てみると、
マルツィのバッハの無伴奏はflacだけで、MQAはない。

なぜこんなことになっているのか。
まったくわからない。

Date: 3月 4th, 2022
Cate: ディスク/ブック

Bach: 6 Sonaten und Partiten für Violine solo(その11)

さきほどe-onkyoのサイトをみてみたら、
ヨハンナ・マルツィのアルバムが増えている。

2月25日配信のバッハの無伴奏にくわえて、
ブラームスとメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、
シューベルトのヴァイオリン作品集の二枚の配信が始まっている。

この二枚は、MQA Studio(192kHz)で聴ける。
けれどバッハの無伴奏に関しては、flac(192kHz)のみである。
MQA Studioでの配信がない。

TIDALは、というと、今日現在、
ブラームス、メンデルスゾーンの協奏曲、シューベルトの作品集はない。

今回のEMI録音の2022年リマスターに関しては、バッハの無伴奏のみである。
けれど、このバッハは(その10)で書いているように、MQA Studio(192kHz)である。

なんらかの権利関係でそうなっているのか。
MQAで積極的に聴いていこうと思っていると、
TIDALだけでなくe-onkyoの存在も無視できない。

Date: 3月 2nd, 2022
Cate: ディスク/ブック

Freude

3月4日に、金子三勇士の「Freude(フロイデ)」が発売になる。
発売されていないのだから、まだ聴いていない。

でもウワサは聞いていて、ものすごくいい録音らしい。

ピアノの録音といえば、
菅野先生のところで聴いたプレトニョフのシューマンは、ほんとうにすごかった。

それまでの優秀録音のピアノの音とは一線を画していた。
けれど、プレトニョフのシューマンを聴いた人の多くがそう認めていたわけでもなかった。

私の自分のシステムでのみ聴いていたら、
誰かのシステムでしか聴いていなかったら、
これほどすごい録音とは感じなかったはずだ。

菅野先生のところで聴いて、その凄さを認識できたといっていい。

「Freude」が、そのへんどうなのかは、いまのところわからない。
プレトニョフのシューマンと同じ方向での素晴らしさだったら、
意外にも高い評価は得られない可能性もあろう。

TIDALでも聴けるようになるのだろうか。
MQAで聴けるのだろうか。

Date: 2月 25th, 2022
Cate: ディスク/ブック

Bach: 6 Sonaten und Partiten für Violine solo(その10)

ヨハンナ・マルツィのEMIへの録音が、
2022年リマスターで発売になるというニュースがあったのは、わりと最近のこと。

192kHz、24ビットでのリマスター、とあった。
とうぜんMQAでの配信も始まる──、そう確信していても、
こればかりは実際に始まってみないことには、
ふくらみきった希望という風船は、いつしかしぼんでいくこともある。

今日、TIDALで聴いた。
ヨハンナ・マルツィのバッハの無伴奏が、
MQA Studio(192kHz、24ビット)で聴ける。

3月になれば、EMIへの他の録音も聴けることになるであろう。
もしそうならなくてもマルツィのバッハの無伴奏は聴ける。

これまでマルツィを、それほど熱心に聴いてきたわけではない。
一部の熱狂的な聴き手のように、マルツィを聴いてきたわけではない。

そんな私でも、今回のマルツィのバッハがMQAで聴けるようになったのは、
素直に喜んでいる。

Date: 2月 10th, 2022
Cate: ディスク/ブック

五味オーディオ教室

13歳の秋、「五味オーディオ教室」と出逢った。
それから四十五年と数ヵ月。

「五味オーディオ教室」との出逢いで、
オーディオという世界があることを知った。
オーディオという世界の奥深さを知った。

それだけではない。
私にとっていまでも「五味オーディオ教室」が大事なのは、
「五味オーディオ教室」から五味康祐という一人の人間の情熱を感じとれたからだ。

Date: 2月 6th, 2022
Cate: ディスク/ブック

少年の日の思い出

ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」。
読んだ記憶がある、という人は多いだろう。

私も、その一人で、読んだ記憶がある──、
けれどすぐには詳細まで思い出せたわけではなかった。

iPhoneで検索して、「少年の日の思い出」のあらすじを読んで、
そういえばそういう内容だったなぁ、と思い出した程度でしかない。

中学生のころに一度読んでいる。
それきりである。
まだ「五味オーディオ教室」と出逢う前のころだ。

なぜだかふいに「少年の日の思い出」が頭に浮かんだ。
「ぼく」とエーミール、二人の蝶(蛾)のコレクション。

詳細は省く。
読んだ記憶のある人が多いはずだし、
手元に本がなくても、検索してあらすじを読めば、
あぁ、そうだった──、と思い出す人が少なくないと思うからだ。

「少年の日の思い出」は、「ぼく」とエーミールがなにかのきっかけで仲直りするわけではない。
並の小説家ならば、そういう結末にしたのかもしれないが、
「少年の日の思い出」は、「ぼく」が自身のコレクションを押し潰していく。

うまくいいあらわせないのだが、
オーディオ、レコード・コレクションに関しても、
「少年の日の思い出」と近いこと・同じことがあってもおかしくない──、
そう思うだけでなく、
「五味オーディオ教室』と出逢ったあとに「少年の日の思い出」を読んでいれば、
というおもいを、いま感じている。

Date: 2月 4th, 2022
Cate: ディスク/ブック
1 msg

内田光子のディアベリ変奏曲(その1)

4月8日に、内田光子の「ディアベリ変奏曲」が発売になる、というニュース。
六年ぶりのアルバムである。

個人的には、内田光子のバッハを聴きたいのだが、
内田光子の新たな演奏、
しかも70を超えてからの最初の演奏(録音)が聴けるのは、やはり嬉しい。

日本盤はMQA-CDなのも、嬉しいかぎりだ。

Date: 2月 4th, 2022
Cate: ディスク/ブック

THE BERLIN CONCERT(その2)

二匹目のドジョウといえる“THE BERLIN CONCERT”。
今回ジョン・ウィリアムズは、
ウィーン・フィルハーモニーではなくベルリン・フィルハーモニーを振っている。

スター・ウォーズの「帝国のマーチ」も、今回の“THE BERLIN CONCERT”にもある。
ウィーンもベルリンも、どちらも素晴らしい演奏といえるけれど、
スター・ウォーズを一作目から映画館で観てきた世代の私にとって、
今回のベルリンとの「帝国のマーチ」のほうをとる。

演奏のうまさが上とかではなく、
ダース・ベイダーが登場してきそうな感じが、ベルリンとのほうが濃い。

スター・ウォーズという作品に、なんの思い入れのない人ならば、
ウィーンとのほうがいい、というかもしれない。

けれど私はそうじゃないし、友人のAさんもそうじゃない。
Aさんも、私と同じ感想だとのこと。

ちなみに私はTIDALで聴いている。
MQA(192kHz)で聴いている。

Date: 2月 2nd, 2022
Cate: Glenn Gould, ディスク/ブック

Gould 90(その1)

今年は2022年。
グレン・グールドの生誕90年で、没後40年。

ソニー・クラシカルは、なにか出してくるのだろうか。
それとも2032年の生誕100年、没後50年までおあずけとなるのだろうか。

何も出てこないような気もするけれど、
それでもまぁいいや、と思えるのは、TIDALでMQA Studioで聴けるようになったからだ。

そのTIDALだが、第一四半期に日本でのサービス開始となる、らしい。

Date: 1月 28th, 2022
Cate: Pablo Casals, ディスク/ブック

カザルスのモーツァルト(その8)

カザルスの演奏は、ソニー・クラシカルからも出ているおかげで、
TIDALでMQA Studioで聴ける。
といっても、これまで発売されたすべての録音が聴けるわけではない。

モーツァルトの交響曲がない。
CD(アメリカ盤)は持っているし、リッピングしているから聴けるのだが、
やはりMQA Studioで聴いてみたい。どうしても聴きたい。

TIDALでMQA Studioで聴けるようになるのかどうかは、
いまのところわからない。

カザルスによる剛毅な音楽は、
太い血管を血がたっぷりと、そして勢いよく通っているからなのだろう。
そんな感じを受ける。

そんな演奏を毛嫌いする人がいるのは知っている。
優美さに欠ける──、そんなことをいう人もいる。
野暮とすらいう人もいる。

それはそれでいいけれど、剛毅な音楽だからこその音楽の優しさを、
そういう人は知らないのか。

Date: 1月 5th, 2022
Cate: ディスク/ブック

ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集(その8)

昨年末の数日、ケント・ナガノのベートーヴェンの交響曲を集中して聴いていた。
ソニー・クラシカルから出ていたのは知っていたけれど、これまで聴いてこなかった。

TIDALにあるから、今回聴いた。
MQA Studio(44.1kHz)で聴ける。

オーケストラはピアノ協奏曲と同じ、モントリオール交響楽団である。
たまたま目についた四番から聴き始めた。

すぐに気づくのはライヴ録音だということ。
第一楽章の冒頭、聴いていて確認していた。
ケント・ナガノの指揮だということを。

なぜかというと、クライバーの演奏を思わせたからであり、
しかも観衆のざわめきも、クライバーの四番の演奏を思わせるところがあって、
それらがたまたま重なっての錯覚でもあった。

いい演奏だと私は思っている。
そう思ったからこそ、残りの交響曲も聴いたわけだ。

それでも、聴きながら、なんなんだろう……、とも感じていた。
だから聴き終ってから、児玉麻里とのピアノ協奏曲の一番と二番を続けて聴いた。

やはり素晴らしい演奏である。
菅野先生が「まさしくベートーヴェンなんだよ」いわれていたように、
ベートーヴェンの音楽が、そこで響いている。

ケント・ナガノによる交響曲がベートーヴェンの音楽ではない、といいたいのではなく、
ピアノ協奏曲で感じたものが、交響曲では足りない、もしくは欠けている気がする。

動的平衡の音の構築物であってこそ、私にとっての「まさしくベートーヴェン」である、
と以前書いた。
ここのところが、ひっかかっている。

菅野先生のところで聴いたのなら、「まさしくベートーヴェン」と感じたのかもしれないし、
そうでないかもしれない。

それでも、私のところでも児玉麻里とのピアノ協奏曲は、やはり素晴らしいのだから、
しかもオーケストラも同じということは、
ケント・ナガノによるピアノ協奏曲における動的平衡の音の構築物には、
児玉麻里の存在があったから、としかいいようがない。

Date: 12月 15th, 2021
Cate: ディスク/ブック

バーンスタインのブラームス第一番

TIDALで音楽を聴くようになってから、
クラシックに関しては、同じ曲を、別の演奏家で聴くことがものすごく増えた。

いままでもこういった聴き較べはしていたといえばそうなのだが、
それほど積極的ではなかった。

なのにTIDALでは、そうとうにやっている。
12月はブラームスの交響曲第一番を、ほぼ毎日聴いていた。

バーンスタイン/ウィーンフィルハーモニーを聴いたのがきっかけだった。
この録音を、発売当時に聴いて、バーンスタインに夢中になった。

ドイツ・グラモフォンではブラームスの前に、
同じウィーンフィルハーモニーとによるベートーヴェンの交響曲全集があった。

高く評価されているのは、知っていた。
聴いてみたい、という気持はったけれど、すぐには手を出すことはなかった。

なのにブラームスに関しては、発売されてすぐに買って聴いた。
いまも聴いているわけだから、その時も、素晴らしい演奏だ、と感じていた。

特に四楽章を聴いて、バーンスタインって、こんなに素晴らしい指揮者だったのか──、
お前の認識不足だよ、といわれようが、そう感じたことを、いまもはっきりと憶えている。

素晴らしいだけではなく、美しいのだ。
オーケストラがウィーンだから、ということもあるのはわかっている。

今回久しぶりにバーンスタインのブラームスを聴いて、あらためてそう感じて、
それがきっかけで、他の指揮者のブラームスの一番を次々と聴いていくことになった。

いままで聴いてきた指揮者だけでなく、初めての演奏(録音)もけっこうあった。
いいな、と感じた演奏を聴き終ったあとには、
バーンスタインをまた聴いていた。

そんなことを飽きもせず、12月の半分を過ごしていた。
結論は、やっぱりバーンスタインのブラームスはいい、ということ。
それも四楽章の美しさは、私にとって格別だ、ということ。

三十数年前に感じたことを確認しただけ、ともいえる。