Date: 3月 27th, 2026
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その22)

(その21)へのコメントがfacebookであった。
池田勇氏が、朝倉昭氏とスピーカーはダイヤトーンなんかのロクハンでいい、と話をした──ということを言われていたのをどこかで読んだ記憶がある、というコメントだった。

池田勇氏も朝倉昭氏もカートリッジメーカーの創業者であり、エンジニアである。

この二人がスピーカーはロクハンのフルレンジでいい、と発言されているのであれば、なかなかに興味深い。

カートリッジとスピーカーは、どちらも変換器(トランスデューサー)だ。
動作原理もフレミングの法則に基づき、片方は音の入口、もう片方は音の出口だ。

なのにカートリッジは小さく軽い。
スピーカーは、特に最近は大きく重くなっている。

スピーカーは小さくなければならないとは考えていないものの、
アナログディスクのころからオーディオをやってきている者からすると、カートリッジとスピーカーの規模の違いの大きさには、釈然としないといえば、そうである。

スピーカーは部屋の空気を相手にするものだから、部屋の大きさが違ってくれば、それに応じて──という面もある。

そこが同じ変換器でもカートリッジとスピーカーの明らかな違いではあっても、ロクハンのフルレンジでも音は鳴る。

1977年ごろ、ウイン・ラボラトリーズというカートリッジメーカーがあった。
SDT1という同社のカートリッジは、速度比例型ではなく振幅比例型あったし、出力レベルも相当に高いモノだった。

このカートリッジならば、そこそこ出力音圧レベルの高いスピーカーならば、ダイレクトに接続しても、そこそこ鳴ったと思う。

同じ出力音圧レベルのスピーカーよりもロクハンのフルレンジの方が、スムーズに鳴ってくれるとも思う。

Date: 3月 27th, 2026
Cate: バランス

Xというオーディオの本質(その11)

Xという文字を両天秤として捉えていると、
Xを描く線の一本は自己肯定の音(必ずしもポジティヴなわけではない)であり、
交叉するもう一本は自己否定の音(決してネガティヴなだけではない)である。

Date: 3月 26th, 2026
Cate: アナログディスク再生, 老い

アナログプレーヤーのセッティングの実例と老い(その19)

レコードのレーベルにヒゲをつけるかけ方をしている人がいる、と書いた。

先日、これもソーシャルメディアで流れてきた動画でも、そうだった。
外国人男性で、かなり高価なアナログプレーヤーを使っている。
盤面に針を降ろす時は慎重に丁寧にやっているふうだけど、
その前のターンテーブルプラッターにディスクをのせる時、
無頓着にセンタースピンドルの先端で、レーベル面を擦っている。

その外国人の男性がいくくくらいなのかははっきりしないが、三十代から四十代くらいに見えた。

ヒゲに関しては、世代も国の違いも関係ないようだ。ヒゲに無頓着な人は私よりも上の世代にもいるのを知っている。

ヒゲに無頓着な人が、アナログディスクの音を語る──。

Date: 3月 26th, 2026
Cate: オーディオ評論

オーディオ評論をどう読むか(その14)

少し前にソーシャルメディアを眺めていたら、オーディオ評論家A氏は、オーディオ評論家B氏の後継者的位置にいる、という投稿が表示された。

A氏とB氏とでは、B氏の方がオーディオ評論家歴はかなり長い。だから後継者的位置という表現が、そこでは使われていたのだが、
これを読んで、そんなふうに考える人がいるのか──、としか私は思えなかった。

どこをどう捉えれば、A氏がB氏の後継者というふうになるのか。
A氏とB氏のあいだに共通したものを感じたことは、ほぼない。

この投稿をした人は、そう感じる理由を述べてなかった。
オーディオ関係者でもなかったと感じた。

ということは、一読者として、A氏とB氏の書かれたものを読んで、A氏はB氏の後継者的位置と感じたのだろう。

私は度々人それぞれと書いてきてるが、ここでもそう言うしかないのか、と思っている。

人の感じ方は皆違って当然だから、そう感じたとしてもそれはその人の感じ方だから、あれこれ言うことではない。
それはわかった上で、この人以外にも、そう感じている人がいるのかが気になる。

Date: 3月 25th, 2026
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その21)

釣りの世界では、「フナに始まりフナに終わる」と言われている。
釣りを趣味としない私でも知っているくらい、昔から言われているし、今もそのようである。

釣りをやったことはこれまで二回だけの私だから、「フナに始まりフナに終わる」、このことについて書こうとは思っていない。

ただ、これをオーディオの世界にもってくるとしたら、フナは何になるのか。

蓄音器(それもアコースティック蓄音器)なのか、
真空管なのか、それとも「アナログ」となるのか。

何になるのか。私は、ここでのテーマであるフルレンジユニットが、まず浮ぶ。
「フルレンジに始まりフルレンジに終わる」がまず頭に浮かぶけれど、
ここでのフルレンジとは、どういうフルレンジユニットなのか。

このこともすんなり浮かぶ。ロクハン(6.5インチ口径)のフルレンジユニットであり、
トゥイーターとの同軸型はここには含まれない。

ダブルコーンでもシングルコーン、どちらでもいいし、センターキャップに金属ドームを採用していてもいい。
シングルボイスコイルであれば、いい。

では振動板の材質は? となると紙にこだわる気はないが、紙が、やはり一番にくる。

口径は4インチでも8インチ、10インチでもいいでは、と言われらば、あえて反論はしないけれど、私は、ここでは6.5インチ口径のシングルボイスコイルのフルレンジユニットが、釣りのフナに当たると感じている。

私が中学生の頃に買ったラジカセは、6.5インチ口径のフルレンジユニットが入っていた。
2ウェイのラジカセが出始めていたように記憶しているが、購入した(できた)のは、フルレンジユニット一発ラジカセだった。

Date: 3月 24th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(チューナー篇・余談)

こうやってチューナーのことを書いていて、もしここに挙げた機種を全て手に入れられるようなことが起ったとして、どう楽しむのか。

先ほどAliExpressを眺めていたら、FMトランスミッターを見つけた。
車載用のモノが多いが、小型ながら据置型もある。入力はアナログの他にUSBも備えているので、デジタル入力にも対応している。

そういえば昔、テクニクスからSL-FM1というアナログプレーヤーが出ていた。
32,800円の普及クラスなのだが、型番が示すようにFMトランスミッターを搭載していた。
しかも乾電池(単一乾電池六本使用)でも動作可能だった。

どんな人が買うのだろうか、どんな使い方をするのか──、
なぜテクニクスはこんな製品を出したのだろうかと、やや冷めた目で見ていた。

でも今になって、FMトランスミッターを使って手持ちのチューナー、
パイオニアのExclusive F3とオーレックスのST720から音を出せる状態にしておくのもいいなぁ、と思っている。

Date: 3月 23rd, 2026
Cate: 真空管アンプ

直熱三極管(その3)

たぶんこれから先も2A3を使ったアンプの音を聴くことはないと思っている。
そんな2A3なのだが、一時期、二本だけ持っていたことがある。貰った2A3だった。

未使用の程度の良い2A3だったのに、手にとって眺めても、こんなアンプを作ってみようかな、というイメージが全く湧いてこなかった。

しばらく所有していたけれど、欲しいという人がいたので譲った。
それきり2A3を見ることはなく四十年近く経った。

これを書きながら2A3をもし手に入れたら──と想像しようとしても、これといって浮かんでこない。

2A3という真空管がいいとか悪いとか、そんなこととは全く無関係なところで、2A3には縁がないのも……と思う。

2A3はRCAが開発した直熱三極管。
300Bはウェスターン・エレクトリックが開発した直熱三極管。

RCAかウェスターン・エレクトリックか。
2A3に興味をもてないのは、このことが深く関係していると思っているのだが、
ここにきてRCAの直熱三極管が気になってきている。

少し前に別項で触れた45がそうだし、今回手に入れた3A5もそうだ。

Date: 3月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ

直熱三極管(その2)

真空管について、全く知らないわけではなかった。
私が通っていた小学校の各教室には、ラジオがあった。
古いラジオで、真空管式だった。
私が幼い頃は、テレビもそうだった。

なのでオーディオに関心を持つ前から真空管は、身近といえばそうだった。

とはいえ真空管について詳しく知っていたわけではない。
傍熱管と直熱管があるのも知らなかった。

直熱管を知ったのはオーディオからである。
最初に知った直熱三極管は、2A3だった。
ウェスターン・エレクトリックの300BやシーメンスのEdを知るのは、もう少し後のことだ。

2A3を知ったとはいえ、傍熱管よりも直熱管の方が音がいいみたいだ──、その程度だった。

私が中学生、高校生だったころのラジオ技術や無線と実験の誌面に2A3は、よく登場していた。
いまとは違い、300Bはあまり登場していなかった。

あの頃、直熱三極管といえば2A3が、もっともポピュラーな存在だったけれど、
なぜか2A3を使ったアンプを聴く機会は、これまで一度もなかった。

Date: 3月 21st, 2026
Cate: ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その33)

ここでは主にアルテックの604-8Gを中心としたワイドレンジ再生を目指したスピーカーの構成について書いている。

JBLの4343の成功に刺激されたのか、アルテックからも4ウェイのシステム、6041が登場した。

604-8Gを中心にサブウーファーとトゥイーターを加えている。急拵えの印象を残したまま登場したかのように感じたものの、
音は聴いてみたいと思わせてくれたが、もうこの頃のアルテックはJBLのライバル的位置からはかなり後退しつつあったこともあり、
聴くことはできなかっただけでなく、個人宅でもお目にかかったことがない。

604-8Gを手に入れて、あれこれシステムの構成を考えていると、6041の存在を完全に忘れてしまうことはできなく、
6041ならぬ6043(4341が4343になったように)という型番を勝手につけて考えてしまう。

サイズを全く無視してしまえば、追加するウーファーの口径は18インチ(ダブル使用)、さらには24インチあたりを考えるが、
あまりにも大きくなりすぎるので、いまの私の住宅環境では無理な構想でしかない。

現実的なサイズとなると、15インチ口径でf0が604-8Gよりも低いユニットとの組合せかと、なる。

でも昨秋ごろから、何も604-8Gと同口径か大口径のユニットを持ってくることにとらわれず、
12インチ、10インチ口径のユニットを複数使用するのもいい結果に結びつくのではないか、と考えを改めた。

604-8Gは古い設計のスピーカーユニット。そこに新しい設計のスピーカーユニットを組み合わせる。そこでは口径について捉われることもないのではないか。

どんなユニット(ウーファー)と組み合わせらかによって、得られる結果は違ってくるのはわかっている。
必ずしもうまくいくという保証は、どこにもないが、やってみる価値はあると感じている。

Date: 3月 20th, 2026
Cate: Digital Integration

Digital Integration(roonのこと・その8)

roonには、roon独自のデータベースが構築されていて、そこには演奏家、作曲家、編曲家といった音楽そのものに関する情報以外にも、
録音エンジニア、マスタリングエンジニアなど制作に関わる人たちの情報もあって、エンジニアの名前でアルバムを検索できる。

さらにはジャケットのデザイナー、メイク/ヘアリストといった情報が含まれている場合もある。

つまりさまざまな項目での検索ができる。
けれど……と私が個人的にroonに望むことは、使用楽器による検索だ。

ピアノひとつとっても、スタインウェイがあり、ベーゼンドルファー、ヤマハ、カワイ、ブリュトナーなど、多くのピアノが存在する。

スタインウェイのピアノでの録音が多いが、たとえばミハイル・プレトニョフは、モーツァルトのピアノソナタではブリュトナーを弾いていたし、最近ではカワイのフラッグシップモデルのシゲル・カワイを弾いている。

プレトニョフ以外でカワイのピアノの人はいるのか、アルバムはあるのか──、そういった聴き方をしようとしても、
いまのところroonには、そういったデータベースは構築されていない。

まずはピアノでやってほしいと思っているのだが、叶うだろうか……。

Date: 3月 20th, 2026
Cate: 岩崎千明, 老い

老いとオーディオ(2027年と2028年)

今は2026年3月。
あと一年と少しで、岩崎先生が亡くなられて五十年になる。
さらに一年と九ヵ月足らずで、岩崎先生の百回目の誕生日を迎える。

没後五十年と生誕百年が、やってくる。

Date: 3月 19th, 2026
Cate: スピーカーの述懐

スピーカーの述懐(その73)

ルドルフ・ゼルキンが言っている。
“One should not play music; one should let the music play itself.”
(音楽を演奏すべきではない。音楽に自ら奏でさせるべきだ。)

スピーカーの鳴らし方も同じではないか。

Date: 3月 18th, 2026
Cate: 真空管アンプ

直熱三極管(その1)

オーディオマニアとして、無視できないキーワードがいくつかある。

方式や回路、部品や材質といった、いわば側面的、部分的な要素によって音が決まるわけではないことは、もちろん承知の上で、
それでも心惹かれてしまうキーワードといえるものがある。

それは人によって、世代によっても違ってくるものだろう。
私にとってのそういったキーワードが、他の人にとってはことさらを関心を抱くことさえないものだったりする。

そういうものだとわかった上で、私が惹かれてしまうのは、管球式OTLアンプがあり、直熱三極管がまず挙げられる。

つい先日、ヤフオク!でRCAの3A5という真空管を落札した。
新品を十本まとめての出品だった。

高くなりそうだったら諦めるということで、最初からこのぐらいで落札できたらいいな、と思う金額で入札した。
結果、その金額の七割くらいで落札できた。

3A5という真空管について詳しく知りたい人は検索してみてほしい。

3A5は電圧増幅用の直熱三極管だ。そんな真空管を手に入れて、どんなアンプを作りたいのか、具体的なことは何も決めたなかった。

十本落札できたら、こんなアンプも組めるなぁといったぼんやりした案はいくつかある。そのうちのどれかを作ることになるだろうが、
準備を進めるうちに気が変って、案そのものが変更になるかも──と自分でも思う。

Date: 3月 17th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(チューナー篇・その21)

アンプとチューナーにおけるデザインのペア性について忘れないうちに書いておきたいのは、薄型のチューナーのことだ。

マークレビンソンのJC2の登場は、国産アンプへいくつかの影響を与えたといえる。
まずアンプの薄型化である。

ヤマハのC2は、JC2の登場がなければ違ったスタイリングになっていたかもしれないし、JC2がなくとも、あのスタイルだったのかもしれないが、それでも、その登場は少し遅れたのかもしれない。

JC2はトーンコントロールを始め、いくつかのファンクションを、音質向上のためという名目で省いているが、
C2はトーンコントロールもしっかりと備えた上で薄型に仕上げているのは、ヤマハらしい。

C2の上級機のCIは、改良モデルが登場することはなかった。
C2はC2a、C2xと改良モデルが続いたロングセラーモデルだが、
ペアとなるパワーアンプのB2は最初から存在していたが、チューナーはなかった。

T2はしばらく登場しなかった。T2は薄型チューナーの先駆けでもあった。

このころ国産各社から薄型のチューナーが登場した。
パイオニアのF26、テクニクスのST9038Tなどがあった。

それ以前から、やや薄型のチューナーとしてラックスのT110があったが、10cmを切る薄さと比較すると、私の中では薄型チューナーの先駆けと感じるのは、上に挙げた三機種あたりからだ。

T2は新鮮に感じていた。C2とペアになるチューナーなんだ、と受け止めていたし、薄型のすっきりした印象は、チューナーは性能的にもサイズ的にも、こういう薄型チューナーで満足できる方がいいんじゃないか──、そんなふうに思わせた。

Date: 3月 16th, 2026
Cate: BBCモニター, LS3/5A

BBCモニター考(LS3/5Aのこと・その33)

そういえば──と思い出すのは、五年前、大滝詠一の“A LONG VACATION”の金蒸着CDが三十万円を超える値がついてヤフオク!で落札されたことだ。

1980年代の終りごろから金蒸着CDがいくつかのレコード会社から出た。通常のアルミ蒸着CDよりも少し高かったけれど、
むちゃくちゃ高価だったわけではない。
五千円しなかったと記憶しているが、そのぐらいだったはず。

それが未開封とはいえ三十万円以上で落札。

ロジャースのLS3/5Aが登場したとき、ペアで十五万円だった。その後、少しずつ値が上がり、1980年代半ば頃には、ペアで十六万円を超えていた。
それが六十万円を超えて取り引きされるようになった。

新品未開封のCDか中古のスピーカーという違いはある。
当時の価格を知る者からすると、適正価格とはいったいどういうことなのか、と考える。

特に製造中止になったモノの適正価格は──と考えながらも、インターネットオークションがここまで普及してしまうと、
考えるのは無駄なことのようにも思える。

そんなことをぼんやり考えながら、ステレオサウンド 237号のベストバイのページを開く。
ペアで40万円以上80万円未満のスピーカーシステムのところを見る。

グッドマンのLS3/5Aの落札価格と同じ価格帯であるわけだが、
ベストバイに選ばれているスピーカーのどれらを買うことになったら、私ならどれを選ぶだろうか。

どれだろう──、と他人事みたいにページを眺めていて、世の中に、これだけのスピーカーシステムとグッドマンのLS3/5Aしか存在してないのであれば、
LS3/5Aを選ぶかもしれない──と思ったりした。

これは極端な設問であって、まったく現実的ではないし、
個人的にLS3/5Aの現在の相場は少しおかしいと感じていても、
魅力的なスピーカーシステムということでは、選択肢に加わってくる。

そこでまた適正価格とは──を考えてみるのだが、はっきりとしたことは何も浮かばない。