Date: 4月 28th, 2026
Cate: 複雑な幼稚性

ゲスの壁(その7)

オーディオマニアには聴き方の癖が、人それぞれある。
全く癖のない聴き方をしている人がいないとは言わないまでも、少数だと感じている。

聴き方の癖があるのが悪いといいたいのではなく、その聴き方の癖を意識しているのかどうか。

癖だから意識していないのかもしれないが、それでも聴き方の癖があるんじゃないだろうか──、
と一度もおもわずに、長いことオーディオをやってきた人はいるのだろうか。

そんな人はいない、と言いたいところだが、実際は意外に多いような気がしている。

長くオーディオをやっていて、その聴き方の癖を取り除くどころか、さらに拗らせて偏らせている人も少なくないとしたら……。

聴き方だけではない。オーディオへのアプローチ、思考の癖もある。それらの癖を取り除くのか、それともより偏らせるのか。

それも人それぞれだったりする。偏らせて拗らせていくのも、癖なのだろう。

Date: 4月 27th, 2026
Cate: 新製品

McIntosh MAC7200

ここ十年くらいのマッキントッシュの新製品には、首を傾げたくなることが多かった。
それは私だけの感想なのかもしれないとは思いつつも、ゴードン・ガウというリーダーを失ってずいぶん経つと、こんなふうになってしまうのか……が、偽らざる感想だ。

一時期は、マッキントッシュのウェブサイトを定期的に見ていた。今度はどんな新製品を出してきたのか──、そこにはいい意味での期待を持って、ではなかった。

そんなこともやめてしまって数年。久しぶりにマッキントッシュのウェブサイトを見たら、MAC7200を見つけた。

プリメインアンプのMA7200ではなく、MAC7200である。古くからのオーディオならば、この型番を見て、すぐにレシーバーだと気づく。

私もその一人なのだが、それでも、この時代にレシーバーの新製品? と思う。

マッキントッシュはチューナーの新製品も、いまだに出してくるメーカーだから、その可能性はあったといえるけれど、
それでもレシーバーの新製品を出してきたとなると、今度はいい意味で驚かされた。

1970年代、マッキントッシュのレシーバー、MACシリーズは、日本でも発売されていた。とはいえ、パネルフェイスを見てもわかるし、オートフォーマーを搭載していないことからもわかるように、
マッキントッシュのラインナップとしては普及機だった。

それにMACと型番につくことから、マックとも呼ばれていて、マッキントッシュとして、そう呼ばれたくない、という話を、ずっと以前に聞いている。

その型番を復活させているが、当時のMACシリーズとは違い、MA7200をベースにしているから、パネルフェイスは同じ。
もちろんオートフォーマーも搭載していることからもわかるように、以前のMACシリーズとは違う。

SPDIFとUSBのデジタル入力を持ち、フォノ入力もMM型、MC型に対応し、FM、AMも受信できる。

日本での発売は可能性としては低いだろうが、MAC7200の登場は、私にとってはマッキントッシュを見直すきっかけになるかもしれない。

Date: 4月 27th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その9)

こうやってカセットデッキのことを振り返って書いていると、気づくのは、チューナよりもカセットデッキには関心があまりなかったことだ。

いいなぁと思っていたカセットデッキは、いくつかある。思い出すままにあげていくと、
テクニクスのRS-M88、ラックスの5K50Mなどがそうだけど、どうしても手に入れたいという気持は持てなかったことに改めて気づく。

そんな私でもスチューダーのカセットデッキが、今でも欲しいと思うのは、
(その2)で引用した瀬川先生の文章がなせるわざといえる。
なのにルボックスではなくスチューダーなのかといえば、CDプレーヤーで、ルボックスとスチューダーの音の違いを聴いて知っていたからだ。

ルボックスからB225が登場し、その音を聴いた時は唸ってしまった。CDからも、こういう音が出るのか、と。
しばらくしてB225のスチューダー版A725が登場した。

B225をベースにさちモデルなのに、そこにはコンシューマー用とプロ用機器の違いが、やはりある。

B225はD/Aコンバーターに、フィリップスのTDA1540を採用していた。14ビット仕様だった。
16ビット仕様のTDA1541が出て、B225はB226へとヴァージョンアップした。

スチューダーのA725もA727へとアップした。ここにもルボックスとスチューダーの違いは、やはりあった。

だからカセットデッキもルボックスのB710ではなくて、スチューダーのA710が欲しい。

Date: 4月 26th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その8)

ナカミチのカセットデッキに熱くなれなかった私は、カセットデッキ(カセットテープ)そのものに熱くなれなかっただけかもしれない。

いま所有しているカセットデッキは、ヤフオク!で落札したヤマハのK1dのみ。
ヤマハのK1は、いいなぁと思っていたけれど、憧れの機種だったわけではない。
K1dは、型番末尾のdが示すようにdbx対応である。

1970年代の終りごろ、オーディオメーカー各社から、いくつかのノイズリダクション方式が登場した。

それまでノイズリダクションといえばドルビーしかなかったところに、どれがいいのか迷う(わからない)ほどに、ノイズリダクションが出てきた。

カセットデッキに搭載されもしたし、外付けのタイプも多かった。
ドルビーもそれまでのBタイプだけでなくCタイプも出してきた。

個人的にはdbxに関心があった。この頃、dbxは勢いがあったように感じていたし、ドルビーの牙城を崩すかも──、そんなことも思ったりしたが、ドルビーは強かった。

dbxに関心があったのは、菅野先生録音のオーディオラボからdbxを採用したプログラムソースが出ていたことが大きい。

ステレオサウンド 60号掲載の菅野先生のリスニングルームの棚には、K1dがあったことも、理由として大きい。

欲しいと強い気持があって落札したわけではなかった。カセットデッキが一台欲しいと思ってヤフオク!を眺めていたら、
たまたまK1dが出品されていて、応札する人も現れずすんなり手に入れることができた。

Date: 4月 25th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その5)

やって来たマランツのModel 9kは、フロントパネル左端下部にあるgainのツマミ(ノブ)が、二台ともなかった。

どうするか。eBayで、“Marantz knob”で検索してみた。けっこう数がヒットする。
Model 7のオリジナルというモノもあった。これを二つ購入しようかと思ったが、
写真を見る限り、シルバー仕上げである。

Model 9kだから、ことさらオリジナルであること、それに近いことを最優先で求めているわけではないが、
このツマミが写真通りだったら、フロントパネル右端下部のツマミと色合いが違ってくる。

それもなんとなくしまらない感じになってしまう。だからといって四つのツマミ全てを交換すると、結構な金額になってしまう。

ツマミがなくても動作に支障はないけれど、そのままにしておくわけにはいかない。

AliExpressに、近いツマミはないのかと検索してみたら、かなり近いモノが見つかった。直径も同じで、内部までしっかりとアルミ製。

eBayでヒットしたツマミの多くは、外側はアルミ製でも内側がプラスチックだったりする。それしかなければ仕方なく使うが、Model 9kにその手の、いわば上げ底的ツマミは使いたくない。

AliExpressで見つけたツマミは、写真通りのものならば、かなりいい感じのはず。それに安価(eBayで見つけたツマミの五分の一)。

出来の悪いモノだったら、eBayで注文することにして、これを四つ購入してみることにした。

先ほど届いた。直径も厚みもぴったり。ツマミがフロントパネルの色合いと違ってくるけど、これはこれで悪くない。

中国製のツマミをマランツのアンプに取り付けるなんて──、そういう人は、このツマミを見て、中国製だとわかるのか。

それにしても今回購入したツマミは、マランツに使われていたツマミのレプリカに思える。

Date: 4月 24th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その4)

フッターマンのOTL2、マランツのModel 9kが立て続けにやって来て、私のところにはトランジスター式を含めてパワーアンプが七台になった。

コントロールアンプは二台。
パワーアンプと同数のコントロールアンプまでは欲していないけど、管球式コントロールアンプが一台あってもいいな、と思い始めてしまった。

Model 9kがあるからModel 7kとは思わない。今より二十若かったら、7kを手に入れて手を加えようと思うのだが、
いま7kを手に入れて、部品を集めて手を加えようとは、なかなかならない。

オリジナルのModel 7は高くなりすぎたし、プレシジョン・フィデリティのC4はいいかもしれないと思っているが、あまり売れなかったのか、中古店で見かけたことがない。

カウンターポイントだったら、SA5ではなくSA1がいいなぁ──、そんなことをあれこれ妄想しているだけでも楽しいのがオーディオなんだけれども、
現在としてどうにかするとなると、自作するのもいいかな、となる。

大がかりな管球式コントロールアンプじゃなくていい。部品点数も多くしたくない。
どのアンプの回路を元にしようか。

思いついたのが、デッカ・デコラのコントロールアンプである。
是枝重治氏が、ラジオ技術の2005年9月号でEL 34の三極管接続のパワーアンプの製作記事を発表されている。

デコラのパワーアンプである。記事には、デコラのコントロールアンプの回路図が載っている。

なんとなくなのだが、これが良さそうだ、と感じた。

Date: 4月 24th, 2026
Cate: 複雑な幼稚性

ゲスの壁(その6)

特定のオーディオブランドの信者的な人は、オーディオマニアなのだろうか、と疑問に感じる。

自分(もしくは自分たち)だけが、本当に優れた音、モノを知っている──、そう思い込んでいるとしか思えないのだが、
信者的な人からすれば、自分たちだけが真実を知っている。
その真実を、まだ知らない多くの人たちに知らせなければ──、という使命感があるのかもしれない。

そうなるとオーディオマニアというより活動家といった方がいい。
それも行き過ぎると、活動家ではなく活動屋に成り下がってしまうようだ。

Date: 4月 23rd, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その7)

スカリー(Scully)のオープンリールデッキ、280Bもそうだった。
菅野先生がオーディオラボでの録音に使われていた280Bも、ナカミチのカセットデッキのように、
280Bで録音したテープは、280Bで再生すればいい音なのだが、同クラスの他社のオープンリールデッキで再生すると冴えない音になってしまう、と菅野先生から聞いたことがある。

実際、どのくらい違うのか、音を聴いたわけではないが、オクタヴィアレコードからオーディオラボのSACDが発売になった時の話を聞いている。

オーディオラボのマスターテープの保管場所がようやくわかり、千葉のあるところまで行かれたとのこと。テープの保管状態は良かったそうで、急いで東京に持ち帰り、再生してみたところ、冴えない音だったそうだ。

いろいろ試してみてもダメで、菅野先生に相談しに行ったところ、返ってきたのは、スカリーで録音したテープは、スカリーで再生しなければならない、ということだった。

とはいえ、その時点で菅野先生のところにも280Bはない。スチューダーやアンペックスほどメジャーなデッキではなかったこともあり、探すのも大変だった、とのこと。

やっと、あるレコード会社の倉庫に眠っている一台が見つかり、再生してみると、昨日録音したかのような生き生きとした音が鳴ってきたそうだ。

こういう例もある。なのでナカミチの、こういう面を批判する気はほとんどないが、
オープンリールテープと違い、カセットテープは誰かとやりとりすることも少なくないはず。

自分で録音したテープを誰かに渡す。その逆もある。そんな場合、どうだったのだろうか。
自分で録音したテープは自分で聴く──、それだけであればナカミチのデッキは優れた機械だろうが、カセットテープの性質を考えると、それでいいのか、と思うところはある。

スカリーの280Bは自己完結していた機器なのだろう。ナカミチのカセットデッキも、そうなのか。

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ
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管球式OTLアンプのこと(その5)

それでは思い入れのある、愛着を感じている真空管でOTLアンプを作ることは無理なのか、といえば、そうでもない。

300Bを10パラレルのSEPP構成にすることで、出力インピーダンスは実用になる値にまで低くなるし、
出力も動作点をどのあたりに設定するかにもよるが、100W前後は得られる。

回路的には、300BのOTLアンプは可能である。
問題はアンプの規模だ。

10パラレルのSEPPだから、片チャンネルあたり20本の300B、両チャンネルで40本。
これだけの300Bを揃えるとなると、金額的にかなり高額になるし、特性を揃えた300Bとなると、さらに手間と費用もかさむ。

10パラレルのSEPPとなると電源部も大掛かりとなる。電源トランスは特注となり、相当に大型なのだから、これを支えるシャーシーも大きく丈夫なモノが必要となる。

ならば、こういう構成はどうだろうか。
10パラレルのSEPPではなく1ペア減らしての9パラレルのSEPPとする。

さらに三分割する。つまり3パラレルのSEPPのOTLアンプを三台(片チャンネル分)作り、
それぞれのアンプの出力を合成することで、実質9パラレルのSEPPアンプとなる。

3パラレルのSEPPアンプならば、モノーラル構成にすれば、300Bは一台あたり6本となり、電源部も電源トランスを特注することなく対応できる。
シャーシーも、それほど大型化するわけでもない。

その分、アンプの台数は増えるものの、実際にアンプを組むことを考えると三分割は、現実的な解決策だ。

300Bが20本(もしくは18本)分のアンプのシャーシーの大きさと重さを想像してほしい。
そのアンプを裏返ししたりする必要があるわけで、これは一人でできる作業の枠を超えている。

こんなことを考えたりするけれど、予算がもしあったとしても作るかと問われたら、38本の300Bが発する熱量を思うと、やらないと答える。

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: ケーブル

ケーブルはいつごろから、なぜ太くなっていったのか(その24)

細いケーブルが、思わぬ好結果をもたらしてくれたわけだが、今回の例だけで、太いケーブルよりも細いケーブルがどんな場合でもきい結果となるとまでは考えていない。

ケーブルの音は導体の太さだけで決定されるわけではなく、外皮の材質や作り、導体の純度やその他の要素がが絡み合った結果なのだから、細くなければならないとまでは言えない。

それでも、細いとなんとなく頼りないという先入観を捨てることにはなった。

考えてみればスピーカーユニットのボイスコイルは細い。
真空管パワーアンプの出力トランスの巻線だって太くはない。
プリント基板のパターンにしても、太いケーブル並ではない。

それでもスピーカーケーブルに太いモノを持ってくることで、いい結果が得られることも体験している。

とにかくまず聴いてみることだ。

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その3)

Model 9kに最初からついてくるEL34(6CA7)は、どこのメーカーなのか。
私のところにやって来たModel 9kにはRCAの、いわゆる太管が挿さっている。ほとんど使われていなかったようだ。

ステレオサウンド 49号の写真には、内部だけでなく部品一式のものもある。こちらも不鮮明なのだが、GEの太管の箱があるのがわかる。

画像検索して表示される9kではテレフンケンのことも多い。真空管だから、作った人が挿し替えていることもあるが、なんとなくではあるが、元々はGEかRCAの太管だったような気がする。

内部を見て、最初に感じる違いは、やはりコンデンサーである。
オリジナルの9は、よく知られるとおりGOOD-ALL製。9kで使われているのは、イギリスのPLESSEY製のフィルムコンデンサーで、品質はともかくとして、オリジナルのGOOD-ALLと比較して、とにかく細い。

そのため内部をパッと見た印象がややスカスカに感じてしまうし、なんとなく頼りない感じすら受ける。
音を聴けば印象は変るかもしれないが、代わりとなるコンデンサーも用意する。

こんなことをあれこれ考えているのが楽しい。

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その2)

マランツのModel 9に関することは、以前からかなり知っているつもりだった。
それでもModel 9kがやって来て、底板を開けて内部を見ていくと、発見はいくつもある。

Model 7k、Model 9kのことは、ステレオサウンド 49号の記事で知った。内部の写真も載っているが、モノクロで小さく不鮮明なので、細部まではわかるような写真ではない。

そんな写真でも、Model 7やModel 9の内部を見る機会があった後に見れば、得られる情報は49号を最初に読んだからとはずいぶんと違ってくる。

それにいまはインターネットで画像検索がすぐにできる。オリジナルのModel 9、キットのModel 9k、レプリカのModel 9SEの内部をカラー画像で見ることができる。

そうするとずいぶんとそれそのモデルでも違いがあることがわかる。
オリジナルは相当に古いわけだから、多くの個体がメンテナンスがされているだろうし、9kにしても発売は1978年だから、これも古い。
それにキットだから、作る人によっては自分で部品を変更していることも十分ある。

今回9kの内部を画像検索してみると、けっこう違いがあるのがわかる。どういう理由で違うのかまでははっきりしないが、49号のぼんやりした写真と比較しても、違う。

私のところにやって来たModel 9kの作りは丁寧だ。オーディオメーカーのエンジニアの方が組み立てられたというのは、本当だな、と思える仕上がり。

このまま音を出しても問題なさそうな状態なのだが、まだ鳴らしていない。
残念なことにフェイズ切替とローカットフィルターのトグルスイッチが経年変化によって、壊れかけているからだ。

でも幸いなことに、Model 9kに使われているトグルスイッチは、いまも現行製品で、新品が手に入る。アメリカの会社だからなのだろうか。

iPhoneでModel 9kの実機の内部と画像検索の結果を比較できるし、使用部品も検索できて、注文までできる。

Date: 4月 21st, 2026
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプのバイアス調整のこと

フッターマンのOTL2、マランツのModel 9kが続けてやって来た。
フッターマンはOTLアンプ、Model 9kは出力トランスを持つという大きな違いがあるが、どちらも出力管のバイアス調整をユーザーが行う点では共通している。

昔からバイアス調整は、そう簡単ではない、といわれ続けている。最初はよくても、しばらくするとズレくるから、こまめなチェックと調整が必要になると。

確かにそういう面はあるけれど、昔から疑問なのは、バイアス調整用のポテンショメーターに、カーボン型を使うことだ。

固定抵抗もそうなのだが、カーボン抵抗の温度係数は概ね −200〜−800ppm/℃程度。他の抵抗体に比べて劣っている。
つまり真空管アンプのシャーシー内の温度が上昇していくと、抵抗値が変動する。
抵抗値が変動すれば、バイアスも当然ズレてくる。

それだけでなく、細かいことを指摘すれば均一性の欠如がある。カーボン皮膜は抵抗体全体が同じ温度特性を持つわけではないため、調整した位置(接点位置)によっても温度係数に微妙な違いが生じているとみていい。

レベルコントロールのように、常に音量設定をして頻繁に動かす使い方ではまだしも、バイアス調整は、いわば半固定的な使い方のため、接点位置による不均一性は、そのまま温度ドリフトとして現れると考えていいはずだ。

カーボン型ポテンショメーターをバイアス調整に使うことによって、バイアス調整を面倒なことにしている、と私は考えている。

カーボン型よりも導電性プラスチック型、さらには巻線型を使えば温度係数は小さいのだから、適している。

もっといえば同じ品種のポテンショメーターでもワット数が大きいほど温度係数も小さくなる。

Date: 4月 20th, 2026
Cate: 真空管アンプ

管球式OTLアンプのこと(その4)

別項で何度も触れているように、私が真空管アンプで、素直にカッコいいと感じたのは、
伊藤先生が無線と実験で発表されたシーメンスの直熱三極管Edの固定バイアスのプッシュプルアンプが初めてだった。

同時にEdにも一目惚れした。
それだけにEdには思い入れがたっぷりあったにもかかわらず、伊藤先生の、西日暮里にあった仕事場で聴くことが叶ったEdのシングルアンプの音には、がっかりした。

伊藤先生は、300Bのシングルアンプも聴かせてくれた。
度肝を抜かれた。そのくらいEdと300Bとでは、違っていた。

Edは美しい球なんだけど、音は……、と伊藤先生の言葉ははっきりいまでも憶えている。

それでもいつかはEdのアンプも作ってみたいな、と思っていたら、Edの価格の値上りのすごいこと。
すでに製造中止になっていたのだから、仕方ないとはいえ、音のことを思うと手が出なかった。
するとまた値は上がっていった。手が出せないほどに。

Edは美しい球だし、300Bは立派な球だと思う。

それからEL156は、カッティング用アンプに採用されていた真空管という記事を読んで、すごいなと興味を持ったし、
もっとポピュラーな球のEL34、EL84、KT88なども、それからラジオ球と呼ばれる真空管のいくつかも好きな真空管だ。

出力管だけで音が決まるわけではないものの、それでも管球式パワーアンプにおける出力管の存在は大きい。

私は真空管そのもののマニアではないから、珍しい真空管でアンプを作ってみようという気はない。
これまで聴く機会のあった管球式パワーアンプで気に入った音を出してくれたモノに搭載されていた出力管が気に入っている。

愛着を多少なりとも感じている真空管あるのかないのか。管球式OTLアンプには、そのことを感じないし、
6LF6をはじめ管球式OTLアンプに採用される出力管に、私は思い入れとか愛着は感じていない。

その音は気に入っているのだから、少なくとも6LF6には、少しばかり愛着を感じてもよさそうなのに……、と自分でも思うのだが、やっぱりない。

Date: 4月 19th, 2026
Cate: ALTEC

ALTEC A4(その7)

火曜日(14日)は秋葉原に行き、いくつか部品を買っていた。
翌水曜日はaudio wednesday。
木曜日はすでに書いているように、夕方からアルテックのA4のセッティング。
金曜日は、そのセッティングの続き。

そして今日、日曜日はA4を鳴らす日だった。

ステレオサウンドで働いていた頃、ホットクラブといジャズ好きの人たちの集まりがあると聞いたことがある。
といっても、本当に聞いただけで、名称をかろうじて覚えていたぐらいでしかなかった。

ホット・クラブ・オブ・ジャパンが正式な名称で、1947年設立で、ジャズに関わる多くの人たちが参加されている(いた)。

毎月一回、月例会をやっているとのは別の会、違う雰囲気で、音楽のジャンルを広げて楽しもうという趣旨のほっと・サンダーを行うことになり、今回の開催である。

四十人ほどの方が来られた。
そこで鳴るA4。
感想を聞いたわけではないが、満足されていたと勝手に思っている。

今はまだセッティングの段階。これからもっと詰めていってからのチューニングにうつる。