Date: 7月 26th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(番外・ステレオサウンドの表紙)

9月発売の号で、ステレオサウンドは創刊60周年となり、240号。
その数だけの表紙がある。

どれがベストなのかは人それぞれだろうから、あえて書かないが、私が好きな表紙は42号と43号だ。

42号の表紙は、ヤマハのプリメインアンプCA2000とラックスのターンテーブルPD121、43号の表紙は、セレッションのスピーカーシステムUL6とAGIのコントロールアンプ511である。

43号の表紙を見て、いい組合せかも、と思ったことを、いまも憶えている。
組合せといってもコントロールアンプとスピーカーシステムだけだが、43号の半年前に出たコンポーネントステレオの世界’77で、AGIの511とQUADのパワーアンプ405の組合せが、いい結果を生んでいることを知っている。

だから自然と、表紙に写ってこそないが、パワーアンプはQUADの405と想像する。

511、405、UL6。いい組合せだ。UL6に対してアンプを奢りすぎている感はあるが、一度は聴いてみたい組合せだ。

アナログプレーヤーは、511、405、UL6、どれも大きくないから、デュアルのプレーヤーが似合う。

42号の表紙は、アナログプレーヤーとプリメインアンプだから、スピーカーシステムを想像した。日本製でまとめるならば、あれかな、これもいいな、と。国産ということにこだわらなければ──、そんなことを想いながら見ていた。

Date: 7月 26th, 2026
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その29)

その4)で、ドイツのゾンネシャインというバッテリーメーカーのことを、ほんのちょっとだけ書いている。

1970年代、ゾンネシャインのバッテリーは音がいいと、当時読んでいたオーディオ雑誌に書いてあった。試してみたいと思ったけれど、どこで買えるのかがわからなかった。それでもゾンネシャインの名前だけは記憶していた。

ゾンネシャインで検索すると、このドイツの会社はいまもバッテリーメーカーとしてある。

Sonnenschein。
カタカナ表記は、ゾンネシャインの他にゾンネンシャイン、ゾネシャインがある。

現在の輸入元、岡田商事の表記では、ゾネシャインである。

100年以上の歴史を持つとある。

あの頃は、ゾンネシャインの名前を憶えるしかなかったけれど、いまはこうして簡単に調べられる。

中学生、高校生だった私が、インターネットとiPhoneを持っていたら、あの頃以上にオーディオ漬けの日々を送っていたことだろう。

Date: 7月 25th, 2026
Cate: ディスク/ブック

アッカルドのロッシーニ:弦楽のためのソナタ集

サルヴァトーレ・アッカルドによるロッシーニの「弦楽のためのソナタ集」は、ステレオサウンドにいたころ、よく聴いた。
といっても、自分でディスクを買って聴いていたのではなく、試聴レコードの一枚として、何度となく聴いていた。

耳にタコができるほどではなかったが、同じところをくり返し聴いていた。
試聴レコードとして使われていたのだから、録音は良かった。演奏も良かったし、当時、レコード雑誌でも高い評価をつけられていたと記憶している。

聴いている人は、だからけっこう多いだろう。でも、私はアッカルドの、このディスクは買わなかった。CDになった時も、CDになったんだ、くらいの感想しか待てずに、そのままだった。

思い出したように聴くようになったのは、ストリーミングがあるからだ。ストリーミングでのジャケットは、廉価盤CDのジャケットだから、当時のアルバムとは違って、そっけない。

でも、そんなことは、音が鳴ってきた瞬間、昔のジャケットが浮かんできた。あのころは、まだLPだったから、試聴室のアナログプレーヤーの置き台に立てかけてあった。

試聴によく使うLPは、置き台に立てかけてあった。ジャケットからディスクを取り出して、プレーヤーのターンテーブルプラッターにおく。そんなことを、よく聴いたなぁということとともに思い出した。

あの頃はロッシーニは、あまり聴かなかった。いまもたいしてかわらなくて、あまり聴かない。そんな私でも、アッカルドによる「弦楽のためのソナタ集」は、ふと聴きたくなることがあるし、聴き始めると、時間があれば最後まで聴いている。

あの頃は、最後まで聴くことは一度もなかった。ストリーミングをやってなかったならば、ストリーミングで配信されていなかったら、聴き直すこともなかっただろう。

Date: 7月 24th, 2026
Cate: きく

聴いているという感覚、鳴らしているという感覚(その2)

自身の音を良くしていくために、オーディオマニアならば、数えきれないほどの比較試聴をしている。

アンプの比較試聴、スピーカーの比較試聴といった、大きな比較試聴もあれば、ケーブルをかえてみての比較試聴もあるし、ほんのわずかスピーカーの設置位置をかえてみての比較試聴もある。

そのたびごとに、どちらがいい音なのか、自分にとって好ましい音なのかを判断して、どちらかを選ぶ。

常に、こっちがいい、と判断がつくとは限らない。こっちもいいけど、あっちも捨てがたい魅力を持っている、と迷うこともある。

どちらも手元に置けることもあれば、予算的、スペース的にどちらかを選択しなければならない場合もある。

とにかくそうやって、時には失敗したかも──と思うことを含めて、音は少しずつ良くなっていくもの。

ここで思うのは、その時々の比較試聴では、文字通り比較しているわけだが、オーディオマニアは過去の自身の音と、現在鳴っている自身の音とを、本当に比較しているのか、という疑問を持つ人、持たない人がいるような気がする。

Date: 7月 23rd, 2026
Cate: ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その35)

アルテックの604-8Gをおさめるエンクロージュアは、どんなタイプがいいのか。

アルテックが出していてエンクロージュアこそが最高と、すんなり思えれば楽といえばそうなのだが、そうではない、という声も私の中からはわいてくる。

では、どんなエンクロージュアを求めているのか。これがわりとフラフラしている。
以前は、ステレオサウンド 51号で記事となっているジェンセンのエンクロージュアが、いいように思っていた。

いまもいいように思っているが、同時に平面バッフルへのおもいも捨てきれないし、他にもいくつか考えている案がある。

同じ同軸型ユニットのタンノイは、絶対にフロントショートホーン付きエンクロージュアでなければ、と信じて、コーネッタを鳴らしているわけだが、アルテックの604シリーズとなると、フロントショートホーンが合うとは思えない。

フロントショートホーンのエンクロージュアにおさめた604の音は聴いたことがない。もしかするといい結果が得られるのかもしれないのだが、私の直感は、いい結果は得られない、と囁く。

何がいいんだろうか、とあれこれ考えるのが楽しいんであって、いずれ何らかのエンクロージュアにおさめたとしても、あのエンクロージュアにしたら──、と考え続けるだろう。

ここ数日考えているのは、グッドマンのARUである。604-8GをARU付きエンクロージュアにおさめたら、どうなるのか。

Date: 7月 23rd, 2026
Cate: ジャーナリズム

オーディオの想像力の欠如が生むもの(その90)

オーディオの想像力の欠如しているほど、特別扱いを求めるようだ。

Date: 7月 22nd, 2026
Cate: ラック

ラックのこと(その16)

ヤマハのGTR1Bを二台使っている。それぞれのGTR1Bの上部(天板の上)には、GASのTHAEDRAとアキュフェーズのDC330を置いている。

GTR1Bの棚板は使っていない。GTR1Bの中にも何も置いていないから、GTR1Bは収納のためのラックではなく、置き台としてのラックでしかない。

例えばTHAEDRAをGTR1Bの天板ではなく、中に置くとしよう。それで音が変化しなければいいのだが、現実には、好ましくない方向へと変化する。

棚板を設置して、そこに置くと、より好ましくない方向へと変化する。

わずかな違いといえばそうともいえるけど、無視できない違いだし、天板に置いても、GTR1Bの中に別のオーディオ機器を置けば、ここでも好ましくない方向へと変化する。

置き台としてのGTR1Bの使い方だが、GTR1Bが、今時の非常に高価なラックと比較すると安価だから──、が理由ではない。

どんなに高価なラックであったとしても、数段の収納棚にオーディオ機器を置けば、同じように音は変化していく。

(その15)に、そのラックに収納する複数のオーディオ機器のさまざまな相互干渉を抑えるということに留意していると思えない、と書いた。

一つのラックに収納されたオーディオ機器は、それぞれに相互干渉を引き起こす。振動面だけでなく、いくつもの面でそうである。

これらの相互干渉を完全に抑えることはまず不可能であっても、極力抑えようとする工夫は絶対に必要であるにも関わらず、いったいどれだけのラックがそうであるだろうか。

Date: 7月 21st, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十九夜

5月で休止しているaudio wednesdayですが、定期的に集まる場として続けてほしいという声がありましたので、8月12日にやります。

音を鳴らせるわけではないので、どこかに集まって食事をしながら、オーディオ、音、音楽について話せる場としてのaudio wednesdayです。

参加希望の方は、8月10日までに私宛に連絡ください。

Date: 7月 21st, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その13)

テレフンケンのMagnetophon10の再生アンプは、V87という。録音アンプがV86で、どちらもモノーラル構成。

V87が、郵便でスウェーデンから届いた。梱包された状態を見て、こんなに大きいのか、とまず思った。V87のことは、その時までほとんど知らなかったこともあって、ここで最初の驚き。

梱包をとく。ここでモノーラル構成だということを知る。もちろん二台入っていた。

大きさはW52×H10×D27cmくらいで、重量は約10kg。もちろん一台のサイズだ。

この規模と造りならば、EMTの927Dstのイコライザーアンプとしてふさわしい、と納得した。

私が手に入れた頃は、こういうモノはあまり注目されていなかったのか、数万円ぐらいだった。

大きくて邪魔になるから、捨てるよりも誰かが欲しいというのなら──、そんな感覚の処分だったのだろう。

Date: 7月 20th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その12)

往年のEMTのアナログプレーヤーは、カートリッジ、トーンアーム、ターンテーブル、そしてイコライザーアンプを含めてのプレーヤーシステムだった。

管球時代は、モノーラルの139、ステレオの139st、トランジスター時代になって155st、OPアンプの153stが搭載されていた。

930stも927Dstもイコライザーアンプは同じである。
高さこそあるものの、業務用のプレーヤーシステムとして比較的コンパクトにまとめられている930stも、はるか大きな927Dstも、155stであることに特に不満はなかったものの、それでも──、というおもいは、時として頭をもたげる。

155stを含めての927Dstであり、その音はすごい。それでも927Dstに見合った規模のイコライザーアンプだったら、いったいどんな音がするのか──。

927Dstを手に入れてからは、それを想像してしまう。そんな時に、テレフンケンのMagnetophon10の再生アンプがある、という話が来た。どんなモノなのかは詳細は、その時点ではほとんど知らなかった。管球式で、けっこう大きいぐらい程度の知識しかなかったが、価格は安い。

これならば買ってみよう、と決めた。
これを買って、927Dst用の再生イコライザーアンプにしよう、と決めたからだ。

Date: 7月 19th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(自転車篇)

7月は、ツール・ド・フランス。
一週間後が最終ステージとなるが、今年の総合優勝(マイヨ・ジョーヌ)は、もう決まったといえる。

私がツール・ド・フランスのテレビ放送を見たのは、1993年が初めてだった。フジテレビが深夜にダイジェスト版をやっていた。

自転車雑誌を買うようになったのは、1994年夏からだった。ツール・ド・フランスの特集号だった。

初めて手にする雑誌は、知らないことの方が多い。記事だけでなく広告も隅々まで読んでいた。

いまも憶えているのは、フランスのメーカー、LOOKの広告だった。KG196という、カーボンモノコックのフレームのカラー広告で、そのカッコよさの衝撃は大きすぎた。

いまでもKG196のことを思い出しては検索して、このくらいで買えるのか(もちろん中古)とあれこれ妄想するほど大きかった。

KG196はその後、KG296、KG396と改良されていったけれど、私にとってはやはりKG196が、いまでも一番カッコよく見えてしまう。

自転車としての性能は、いまのカーボンフレームの方がずっと軽量だし、乗って速いはず。
KG196は、完成車重量はフレームのサイズにもよるが、9kg台後半で、今どきの軽量ロードバイクよりも3kgほど重い。

それにカーボンのグレードも違うのだから、競技用のフレームとしては、三十年前のモノということになってしまうのはわかった上で、やっぱりKG196はいいなぁ、と思う。

Date: 7月 19th, 2026
Cate: 「オーディオ」考

オーディオへの献身(その3)

二日前に書いた『「音は人なり」を、いまいちど考える(その30)』は、「オーディオへの献身」を考えてのことだと、さっき気づいた。

Date: 7月 18th, 2026
Cate: Maria Callas

マリア・カラスは「古典」になってしまったのか(その6)

来年(2027年)は、マリア・カラス没後五十年。

マリア・カラスは日本でも高く評価されていたし、人気も高かったのに……、と思ってしまうのは、2020年に予定されていた“Callas in Concert – The Hologram Tour”が、コロナ禍で、延期ではなく中止になってしまったことが一つ。

それから2024年に公開された映画「Maria」が、日本では公開されないどころか、Netflixでも配信されていない。
アンジェリーナ・ジョリーが七ヵ月に及ぶ声楽のトレーニングを受けてマリア・カラスを演じた作品は、日本でも話題になっていた。

なのに、何も伝わってこなくなっている。映画館での公開はもう期待できないと思っているが、なぜNetflixは日本で配信しないのか。その理由も伝わってこない。

来年に期待できるのか。

Date: 7月 17th, 2026
Cate: 「オーディオ」考

「音は人なり」を、いまいちど考える(その30)

五年前に、別項で書いたことを思い出している。

2008年だったか。
菅野先生が「痴呆症になった時の音に興味がある」といわれた。
老人性痴呆症になったときに、自分はどういう音を出すのか。それにいちばん興味がある、ということを話された。

痴呆症になってしまったら、音の判断もできなくなるだろうから、実際には無理な話だからこそ、この時の菅野先生の話は、いまも思い出しては、考えてしまう。

「音は人なり」という。
何度も、私自身、そのことについて書いてきている。「音は人なり」は、いろんな面を持っている。
時に「音は人なり」は、押しつけになってしまわないだろうか。

オーディオの勉強をして、いろんな音を聴いて、いろんな工夫をして音を出していく。
お金の工面もして、高価なオーディオ機器も手に入れたりする。

そういう行為を、何十年も重ねていけば、
経験が、知識が、ノウハウが、その人のなかに積み上っていくし、オーディオ機器もより良いモノへとなっていく。

でも、それは極まった、といえるのだろうか。

極まった時、「音は人なり」という押しつけは消えていくのではないだろうか。

五年前に、実のところ、そういったものすべてを捨て去って、つまり空っぽになって出てくる音こそが、ほんとうの「音は人なり」なのではないか、と書いた。

空(カラ)になった音──。
そこでの「音は人なり」もあるのではないか。

押しつけは消え、無私の境地となった音。
そんな音が聴ける日がくるのか、と考え目指すことが、すでにそこから外れていってしまうのかもしれないと思いつつも、
無私こそ「音は人なり」とも思えてしまう。

Date: 7月 16th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(番外・何を録音していたのか)

facebookに、1970年代の生録ブーム、その時の熱狂ぶりを伝える写真が公開されていた。

無線と実験編集部による投稿で、ティアック主催の生録会のようだ。ステージ上には数えるのが面倒なほどのマイクロフォンとスタンドがあり、客席側には、こちらも数えるのがイヤになるほどのオープンリールデッキが並んでいる。

モノクロの不鮮明な写真であっても、東京や大阪といった大都市では、こういう生録の機会があって、そこには多くのオーディオマニアが参加していたことの熱気というか、熱狂ぶり(といいたくなる)があった、と感じる。

オープンリールデッキで録音するのは、こういった生録、それからライヴ録音、もしくはライヴの生中継のFM放送のエアチェックがそうなのだろうが、あえて番外として書いているのは、ルボックスのA700のことがあるからだ。

HI-FI STEREO GUIDE(1977年度版)を見ていて当時気づいて、少しばかり驚いたのは、A700にはフォノ入力端子があることだった。

A700は、A77(315,000円)、HS77(365,000円)の上級機であり、1981年登場のPR99(650,000円)まではフラッグシップモデルでもあった。

そのA700には、マイクロフォン入力、ライン入力だけでなく、A77やHS77にはないフォノ入力がある。

普及クラスのオープンリールデッキにフォノ入力があるのはわからないでもないが、なぜA700にあるのか。
いまHI-FI STEREO GUIDE(1977年度版)を読み返しても、フォノ入力を持つオープンリールデッキはなさそうだ(見落としがあるかもしれない)。

A700を持っている人ならば、同等クラスのコントロールアンプかプリメインアンプは持っているはず。だからフォノ入力は要らないと思う。

A700に直接アナログプレーヤーを接続してダビングする人がいたのか、それをルボックスは考慮して付けているのか。

A700の回路図を見ると、フォノイコライザーアンプ部には、再生アンプ、録音アンプと同じOPアンプが使われている。

A700に使われているのは、TBA931という14ピンのデュアルOPアンプで、すでに製造中止でかなり入手困難なモノ。