Date: 8月 14th, 2026
Cate: アナログディスク再生

トーンアームに関するいくつかのこと(リニアトラッキング型・その1)

1970年代後半から1980年ごろは、リニアトラッキング型トーンアームを搭載したアナログプレーヤーが、いくつかあった、と書くよりもいくつもあった、と、書いた方がいいかもしれない──、そう思わせるほど、あった。

まずB&OのBeogramがあった。リニアトラッキング型トーンアームに、あのデザイン。手元に置きたいプレーヤーだった。

ヤマハからは、PX1が出た。続けてPX2、P750も出た。パイオニアからはPL-L1が出て、普及モデルのPL-L5もリニアトラッキング型だった。

テクニクスはレコードジャケットサイズのプレーヤー、SL10でリニアトラッキング型を採用している。

マカラのプレーヤーもあったし、ルボックスからもB790が登場した。

ダイヤトーンからは縦型のアナログプレーヤー、LT5VC、LT5Vがあったし、これらよりも少し前には、ハーマンカードンからは、Rabco ST7とRabco ST6があったし、私がオーディオに興味をもつ以前のモデルとして、マランツからModel 12があった。

1980年代に入ると、海外からリニアトラッキング型トーンアームが、単体として登場してきた。
それらのいくつかはステレオサウンド 87号で取り上げている。

この記事、「スーパーアナログプレーヤー徹底比較 いま話題のリニアトラッキング型トーンアームとフローティング型プレーヤーの組合せは、新しいアナログ再生の楽しさを提示してくれるか。」は私の担当だった。

ここで取り上げているモデルは、全て輸入元のスタッフによってセッティングをやってもらった。

なので、試聴はすんなりトラブルなく進むと思っていたら、そうではなかった。試聴の時には、輸入元の人はいないため、私が調整するしかない。
マニュアルがあったわけでもなく、実物を見て、どこを調整するのかを判断しての作業となった。

Date: 8月 13th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来た(その3)

8月2日にやって来たDB1+DB2だが、まだ電源は入れていない。ほぼ五十年ほど前に製造されたモノだからだ。

電源部のDB2の内部を見ると、修理の跡はない。インターネットで画像検索して表示されるそのものだ。

平滑コンデンサーは、写真のままのモノだ。最低でも、この電解コンデンサーだけは交換してから、と考えている。

DB2の平滑コンデンサーは、2200uF/75V。直径が約35mmで、高さは約50mm。
交換用の電解コンデンサーをDigiKeyで検索すると、かなり表示される。日本製にするかEU製か、やはりアメリカ製か。迷っている。

迷うのは楽しいんだけれども、迷いすぎていると時間だけが経っていくだけ。そろそろ決めて注文。それから部品交換。

あと一つ。DB2で交換するのは誤差増幅部に使われている半固定抵抗。こちらはあまり信頼性が高くなさそうなモノが使われているだけに、同時に交換する。

Date: 8月 12th, 2026
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(韓国、中国は……・その15)

AliExpressを眺めていると、部品もけっこう表示される。抵抗やコンデンサーといった受動素子だけでなく、トランジスターやOPアンプといった能動素子もけっこう多くなってきた。

昨年はV-FETがあった。製造中止になってかなり経つから、どこか死蔵されていたのが、業者によって掘り起こされたのだろう。

もちろんそっくりなニセモノという可能性もあるが、写真を見る限りは本物のようだった。さほど高価でもなかったから試しに買ってみてもいいかなぁ、と思いつつも、私も死蔵することになりそうだから見送った。

数ヵ月間は見かけたが、売り切れてしまったようだ。

最近、気になっているのは、AliExpressで購入できる中国製の部品だ。

中国製の部品なんて──、と私も最近まで思っていた。けれど、ここにきてから少し考えは変ってきている。

私が中学生のころ、オーディオ雑誌に、MILスペックの部品というのが載るようになった。

米軍MIL規格(United States Military Standard)のことで、アメリカ軍が必要とする様々な物資の調達に使われる規格を総称した表現である。MILスペックは非公式な名称でもあったが、一般的な電子部品とはレベルの違うモノだという印象が、MILスペックとつくだけで感じられた。

中国の軍事事情に詳しいわけではないが、中国にもMILスペックに相当するものがあっても不思議ではない。ロケットも打ち上げているし、人型ロボットも進んでいるようだ。これらに使われている電子部品は、どのレベルで、どこが製造しているのか。

中国のロケットや軍事用機器に、アメリカやヨーロッパの部品が使われているのか。

一ヵ月ほど前に、金属箔抵抗を検索していた。1970年後半、ヴィシェイの金属箔抵抗を、無線と実験の記事で知った。かなり高価な抵抗だった。

少し遅れてアルファ・エレクトロニクスからも登場した、と記憶している。こちらも高価だったが、ヴィシェイよりも安価だった。

検索の結果、ヴィシェイ、アルファ・エレクトロニクスも表示されたが、同時にRJ711という抵抗も表示される。
中国製の金属箔抵抗である。

Date: 8月 11th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その11)

フォノ入力にフェライトビーズの使用には、好ましくないと思う人もいる。私もそうだけれど、DB1+DB2の行き方もありだなと、最近では思うようになってきている。

ようするに聴いて、その音が良ければいい。そこに帰着する。

フェライトビーズだけでなく、ノイズフィルターの類を全て否定する考えもわからなくはないが、現実のオーディオ機器が置かれている環境を考慮すれば、
全面否定はあり得ないが、私の考えである。

AC電源に、最近ではDC成分が加わることが、特に冬場は多くある。
電源トランスにDCが流れると、必ず唸る。この振動は、音場感をいとも簡単に壊してしまう。

DCサプレッサーを入れればDCの混入は防げるが、そんなモノを電源ラインに入れるのはけしからん、音が悪くなるだけだ、という人もいる。

確かにDCサプレッサーを入れれば、音は好ましくない方に変化するが、それはDCが混入していない場合での話であって、
DC混入がひどければDCサプレッサーを入れてのも有効である。

DCサプレッサーを入れるデメリットと、DC混入を防げることのメリットを、どう判断するかは、鳴らす人次第であって、決めつける方ではないはずだ。

電源に全くノイズがない、携帯電話やテレビなどの電波も完全に遮断できる環境であれば、ノイズフィルターなんて──、と言い切れるが、現実はそうではない。

以前、別項で書いているが、1980年代から90年代の海外製のアンプのいくつかは、東京では周りの環境の影響を受けてバズが発生するモノがあった。

1981年に出たステレオサウンド別冊「81世界の最新セパレートアンプ総テスト」では、測定項目に電源にパルス性ノイズを加えて、アンプの出力がどうなるか、というのがあった。

一部のアンプでは、出力にパルス性ノイズがのっていた。1981年で、この測定は時代を読んでのものともいえる。

DBシステムズのアンプやスチューダーのA68の設計を否定するのは、その人の考え次第であるが、高周波ノイズがアンプの動作にどんな影響を与えるのかを、動作の安定化という点で考えてほしい。

Date: 8月 10th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その10)

回路図を見てわかることは、他にもある。
DB1+DB2の回路について、少しだけわかったのは、ステレオサウンド増刊「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」で、上杉先生は《高周波の妨害に完璧を期していること、も特徴といえる》と書かれている。

何をもって完璧といえるのかは、とりあえず措くとして、確かにDB1+DB2は、この時代のアンプとして数少ない高周波対策を積極的に行っている。

フォノ入力にはフェライトビーズが使われているし、pF単位の小容量のコンデンサーも多用されている。

個人的に感心したのは電源部。電源トランスの一次側にもフェライトビーズが使われているし、小容量のコンデンサーが一次側巻線に対して並列に使われている。
二次側巻線に対してもブリッジダイオードの中心に縦断するような形で使われている。

その電源トランスには、一次側シールドと二次側シールドがあり、一次側シールドはトランスの鉄芯とともにシャーシーグラウンドに接続されている。
二次側シールドは定電圧回路の制御トランジスターのコレクターと、抵抗を介して誤差増幅回路に接続されている。

以前、別項で定電圧回路の制御トランジスターは、コレクターを出力とした方がいいのではないか、と、その実例としてスペンドールのパワーアンプを挙げているが、DB2もそうなのだ。

DB2はすでに書いているように+33Vの定電圧回路の+側を設置することで-33Vの電源としているわけだが、通常、+側の定電圧回路の制御トランジスターはNPN型トランジスターを使い、エミッターが出力となる。
DB2ではPNPトランジスターを使い、コレクター出力としている。私はこれも高周波対策の一つだと捉えている。

DBシステムズと同時代のアンプのすべてのアンプの回路図を見たわけではないから断言はできないが、ここまでやっているアンプはわずかだと思っている。

コントロールアンプではないが、スチューダーのパワーアンプA68も、高周波対策は行っていて、ここがコンシューマー用モデルであるルボックスのA740とはっきりと違う点である。

Date: 8月 10th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その9)

DB1は差動回路を使っていないが、電源部のDB2の定電圧回路の誤差増幅部は差動回路になっている。

1970年代の終りごろに、無線と実験かラジオ技術で、差動回路は第三次歪を発生する、という記事があった。
測定データもあったと記憶している。

DB1+DB2は、カタログで高調波歪0.0008%を謳っていた。同時代の低歪のコントロールアンプといえば、ヤマハのC2が挙げられるが、カタログ発表値で比較すると、C2は0.003%とDBシステムズの方が低い。

ただしC2は7.75V出力時の値で、DB1+DB2は3V出力時なので、同条件の比較とはならないが、低歪率を誇っていたとはいえる。

DBシステムズの設計者、David Hathawayは差動回路の第三次歪を嫌ったのだろうか。

実際のところ、差動回路が第三次歪が多いのは事実だが、これは差動回路によって偶数次歪が打ち消されることによって、第三次歪が目立つ結果になってしまっているともいえる面がある。

DB1+DB2の内部写真は検索すればすぐに出てくる。アンプ本体のDB1の内部には、調整用の半固定抵抗がない。
電源のDB2には、出力電圧を調整するために半固定抵抗は一箇所だけ使われている。誤差増幅(差動回路)のところである。

もしかすると半固定抵抗を極力省きたかったのかもしれない。

Date: 8月 9th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その8)

JBLのSG520の回路図は、検索すればすぐに見つかるし、昔のステレオサウンドでも、無線と実験、ラジオ技術などでも掲載されている。

DBシステムズのDB1+DB2の回路図は検索すれば見つかるが、私が検索した範囲では定数が入っていないのしかなかった。

私のところにはDB1+DB2だけでなく、ヘッドアンプのDB4、トーンコントロールユニットのDB5、パワーアンプのDB6の回路図のコピーが揃っている。

DB1の回路図には手書きで修正が入っている。この手書きのところが、DB1Aへの改良点であるから、元はDB1の回路図だが、DB1Aの回路図でもある。
もちろんコンデンサーや抵抗の値も入っている。

いつかDB1+DB2を手に入れる日が来るかもしれないと、ずいぶん前に手に入れている。
回路図を手に入れてから、ずいぶんかかった。それでもDB1+DB2は、私の元にやって来た。

回路図があるから、DB1Aへと変更することもそれほど大変ではない。でもDB1のまま、使っていくと思う。

Date: 8月 8th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その7)

DBシステムズのDB1+DBにはペアとなるパワーアンプDB6がある。DB6は初段は差動回路になっている。こういうところもJBLのSG520とSE400Sのペアと共通している。

DBシステムズのアンプは、基本的にFETを使用していない。基本的に、としたのは、DB1の初段のカスコードにFETが使われているからだ。

そのため初段がFETの場合だと省ける入力コンデンサーがある。
1977年のアンプとしては、時代にやや逆行しているようにも見えるが、FETを使わずに全段バイポーラトランジスターというアンプも、その後に登場している。

1980年代の後半にドイツから登場したH&Sがそうである。かなり高価なフォノイコライザーアンプ、ラインアンプ、パワーアンプは、どれも高い解像力をもつと評価されていた。

DB1のアンプ部には、-33Vの電圧がかけられている。SG520は、-21V。DB1、SG520、どちらも定電圧回路を持つが、ここには違いがある。

SG520は-21Vの定電圧回路に対し、DB1は+33Vの定電圧回路を持つ。どういうことかというと、乾電池を思い浮かべてほしい。

乾電池の-の電極を接地すれば、+の電極は、1.5Vの乾電池ならば+1.5Vの電源となる。
反対に+の電極を接地すれば、-1.5Vの電源のなるのと同じで、DB1は電源のDB2からの +33V側を接地することで-33Vを得ている。

Date: 8月 7th, 2026
Cate: ディスク/ブック

So(その5)

ずっと以前のしんどかった時期に、「赤毛のアン」を読み返したくなった。衝動に近かった。近所の書店で、「赤毛のアン」の文庫本を買って、一気に読んでしまった。

「赤毛のアン」には、続編があるのは知っていただけで読んだことはなかった。書店には全てあったから、一冊ずつ買って読んだ。

何冊目かで「アンの友達」を読んだ。
「ロイド老淑女」が収められている。
読みながら泣いていたことを思い出す。ボロ泣きだった。なぜ、こんなに──、と思うほど読みながら泣いていた。

しんどい時期に“Don’t Give Up”を聴いても流れなかった涙だ。

Date: 8月 6th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来た(その2)

日曜日午後に届いたDBシステムズのDB1+DB2を、ここ数日眺めていると、ウッドキャビネットにおさめたままが、いい感じだな、と思うようになっている。

別項で、何度か書いているようにウッドパネルやウッドキャビネットを好まない。
マークレビンソンのLNP2に憧れながらも、ウッドケース(キャビネット)に入れない方がかっこいいのに……、と中学生のころから思っていた。

これも別項で書いているが、例外がないわけではなく、QUADのコントロールアンプ33とチューナーFM3を一緒におさめるスリーブは、中学生のころから、六十をこえたいまでも、いいと感じている。

それから、これも別項で書いているが、ダイナコの管球式プリメインアンプのSCA35も、以前、ハーマンインターナショナルの広告で見たウッドケースはいいと思っているが、
発熱を考慮すると、おさめないほうがいいと思うけど、それでもチープな印象のSCA35が、かわいらしく見えてくるから、気になる。

DB1+DB2の同じなのだ、と実物を前にして思っている。音に関してはウッドキャビネットに入れない方がいい。でも、発熱の問題もないし、このまま使っていくように思っている。

Date: 8月 5th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その6)

差動回路でも対称回路でもないのであれば、基本的なエミッター接地回路なのか。
当時、中学生の知識ではここまでだった。

仮にエミッター接地回路だとして、ステレオサウンド 42号で語られているような音が出せるのか。

回路だけで音が決まるわけではないことは、すでにわかっていたけれど、それでも……、と疑問は残る。

それから、それほど経たないうちにJBLのSG520の回路図を何かで見た。
SG520とペアとなるパワーアンプ、SE400Sは差動回路を採用しているが、SG520はそうではない。対称回路でもない。

その頃はまだSG520の音を聴く機会はなかったけれど、その音については、いくつか読んでいた。分解能に優れた音のコントロールアンプだとわかる。

エミッター接地回路でも、設計時代、コンストラクション、部品選定によって、そういう音が出せるのか──、と思いつつも、すぐにはSG520の回路のユニークさに気づかなかった。

パッと見は、大きな特徴はないように見えるけど、少し注意してみると、NPNトランジスターではなくPNPトランジスターが初段に使われていることがわかる。

えっ? と思いきちんとSG520の回路図を見る。
差動回路や対称回路では、正負二電源となる。エミッター接地回路だと正電源のみとなる。

SG520は正電源のみなのではなく、負電源のみなのに気づく。
DB1+DB2も、そうである。

Date: 8月 4th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その5)

ステレオサウンド 42号の新製品紹介で、井上先生と山中先生の対談を読めば、多くの人がDB1+DB2の音を聴いてみたい、と思っただろうと、私は勝手に思っている。
     *
山中 こうした機能本位の、考え方によっては非常に強烈でものすごいコンストラクションを見ると、製作者のはっきりしたポリシーが感じられますし、一本筋が通ってるユニークな製品である事は確かです。
 音そのものも、そうしたコンストラクションと非常に共通した点が多いように思えます。このアンプの音の特徴は、切れ込みの良さ、鋭い立ち上がり、低域の締まり具合にあって、たとえばAGIの非常に繊細な切れ込みに対して、もっと深さと鋭さをあわせて持った方向に掘り下げていったという印象です。
井上 AGIの方が音的にはやや古いタイプになってしまったのではないかという感じさえしてきますね。AGIが日本かみそりの切れ味を持っているとしたら、DBシステムズは両刃のカミソリの刃という感じでシャープさがあります。ですから、AGIの音が本当に好きな人にとっては、ちょっと抵抗が出てくるかもしれません。どちらも、同じ方向で追求していった音だと思いますが……。
山中 直截すぎるところがあるでしょう。切れ込みが本当に鋭いとさっきもいいましたけど、音の一つ一つが非常に尖鋭に聴こえてくるところは、今までのいかなるコントロールアンプからも得られなかったものですね。
     *
これを読んで聴きたいと思ったし、いったいどんな回路なのだろうかとも、あれこれ想像した。といっても当時中学三年生だった私の知識では、たいしたことは何もわからなかったが、それでも想像するのは楽しかった。

DB1+DB2の回路について、少しだけわかったのは、ステレオサウンド増刊「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」(1978年発行)によってである。
上杉先生がここのアンプの解説を担当されていて、DB1+DB2のところに《同社発表によると「差動アンプもコンプリメンタリー方式も使わぬカスコード・アンプによる構成」となっている》とある。

これだけの情報では、ほとんどわからないにも近いが、それでも差動回路を使っていないことだけはわかる。ならばどんな回路なのか。
この時代のアンプの大半は差動回路を採用していた。コンプリメンタリー(対称回路)でもないのならば、昔ながらの回路なのか。

DB1+DB2の回路は、JBLのSG520に近いことが、数年経ってわかった。

Date: 8月 3rd, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その4)

瀬川先生のオーディオ・ティーチインでは、試聴が終ったら、リクエストに応じてくれていた。

この時、パワーアンプの一台がパイオニアのExclusive M4だった。パイオニア純正の組合せ、Exclusive C3との音も良かったけれど、
Exclusive C3よりも繊細でもっと切れこみの鋭いコントロールアンプとだったら、どういう音になるのか──、それを聴きたかったから、DB1+DB2とExclusive M4の組合せを希望した。

瀬川先生も、いい組合せだと言ってくれた。アピアランス的にはアンバランスといえる組合せでも、鳴ってくる音は良かった。

ステレオサウンドの試聴室で聴いたDBR15Bの音よりも、私の耳には、この時の音のほうが、記憶として鮮明に残っている。

DBシステムズのアンプが、現在、どの程度の評価を得られるのか──、といえば、なかなか難しいところがある。
古いDB1+DB2だと五十年ほど、製造されてから経っている。

使用状況によって、経年劣化は違ってくる。修理がなされているのかどうかでも違ってくる。シリアルナンバーが近い個体であっても、同じ音を聴かせてくれる保証はほとんどない。

だから誰かに薦める気はない。

それでも落札したのは、当時の定価の十分の一以下だったことも大きいが、オーディオに興味を持って、この世界に入って今年で五十年。

さまざまな影響を受けてきた。その全てをふり返って確認していくことは無理でも、いくつかはやっていけるし、やっていきたい。

Date: 8月 3rd, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来た(その1)

昨日、出かける少し前に、届いた。
アンプ本体と電源部、二筐体ではあってもどちらもこがただから、梱包された状態でも、こんなものかと思うくらいでしかない。

帰宅後、梱包をとく。DB1+DB2を見るのは、どのくらいぶりだろうか。
ステレオサウンドにいたころ、DB1BとトーンコントロールユニットDB5を一枚のフロントパネルで結合させたDBR15Bは聴いている。

それ以前は、朝沼予史宏氏のリスニングルームで見ている(聴いている)から、ほぼ四十年ぶりぐらいとなる。

DBシステムズのDB1+DB2が、ステレオサウンドの新製品紹介に登場したのは42号(1977年3月発売)。その後、DB1A、DB1Bと改良モデルが出ている。

今回、私のところにやって来たのはDB1+DB2で、シリアルナンバーで判断すると、初期のモデルのようだ。
だとすると製造されてからほぼ五十年。

ウッドケースに一箇所、硬いものを落としてついたと思われる傷(へこみ)があるが、コンディションはいい方だ。

DB1の入出力端子は金メッキが施されていないこともあって、黒ずんでいることが割とあるが、端子は割ときれい。

個人出品ではなくストア出品だから、どんな人が使っていたのかは何の情報もないが、大事に使われていたように感じられる。

Date: 8月 2nd, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その3)

瀬川先生のオーディオ・ティーチインで、その回の時聴いたのは、マークレビンソンのLNP2、AGIの511、マッキントッシュのC32、パイオニアのExclusive C3などが用意されていた。

他にもあったような気がするするけれど、確実に聴いたと記憶にあるのは上に挙げた機種で、いま思うと、どの機種もはっきりとした個性を持っていた。

LNP2が一番いいと感じたけれど、好印象だったのは、511とDB1+DB2だった。
511はRFアンダープライゼスが輸入していた正規品ではなく、並行輸入のブラックモデルだったことは別項に書いているとおりで、この511の音は、聴いていて気持いいものだった。

DB1+DB2の音は、マークレビンソンと一緒に聴けたことも良かったと思っている。当時高校生だったから、二十万円以上するコントロールアンプは、欲しくてもすぐに手が届くわけでもなく、それでもマークレビンソンのコントロールアンプに通じる良さを持つアンプが、数分の一の価格で手に入る。

まさにプアマンズ・レビンソンであった。

固有名詞の前にプアマンズとつけることは、昔からよく使われていた。それでも受け取り側の意識は時代と伴い変化していき、私がステレオサウンドにいたころも、読者からプアマンズ◯◯という表現は、貧乏人のための、というひょうげんだから不快だという苦情があった。

高校生だった私は、アルバイトといえば新聞配達ぐらいしかなくて、社会人と比較すればプアマンだ。マークレビンソンのアンプが欲しくてもすぐには手が届かない。そんな私にとって、DB1+DB2は、マークレビンソンへの道の途中にしっかりと存在している音のアンプだった。

それだけの魅力だったら、いまこうしてヤフオク!で落札することはしなかった。確かにプアマンズ・レビンソンといえても、DB1+DB2はDBシステムズのアンプであり、
マークレビンソンのアンプを手に入れたとしても、そのまま使い続けたいという想いも抱かせた。