Date: 11月 7th, 2026
Cate: アナログディスク再生

トーンアームに関するいくつかのこと(リニアトラッキング型・その4)

あらかじめ断っておくが、リニアトラッキング型トーンアームを否定したいわけではない。一般的なスイング型トーンアームにも優れたモノとそうでないモノとがあり、リニアトラッキング型トーンアームにも優れたモノとそうでないモノとがある。

なのにリニアトラッキング型こそがトーンアームの理想型のように語られることに、いくつか言いたいことがあるだけだ。

リニアトラッキング型トーンアームに合うカートリッジは何か。
本来、使いたいカートリッジが先にあって、そのカートリッジの性能をきちんと発揮してくれるトーンアームを選ぶのだが、ここではあえて反対に、リニアトラッキング型に合うカートリッジは? を考えることで、リニアトラッキング型の問題点がはっきりしてくる。

私が考えるリニアトラッキング型トーンアームに合うカートリッジは、シュアーのV15 TypeIV以降のトップモデルである。
これらに共通しているのは、V15 TypeIVで採用されたダイナミックスタビライザーが搭載されていることだ。

Date: 11月 6th, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その22)

インターナショナルオーディオショウ初日の、今井商事のブースで、是枝重治氏は、カラヤンの「薔薇の騎士」をかけられた。
Qobuzには、カラヤンの「薔薇の騎士(EMI録音)」は、CDと同じスペック(44.1kHz、16ビット)の他に96kHz、24ビットがある。

最初に44.1kHz、それから96kHz。ここでの大人っての違いを聴きながら、私が思い出していたのは、五味先生の文章だった。
     *
 私は息をのんで聴き惚れた。ヴァイオリンのユニゾンだけは高音域で、のびきらぬ憾みはあるが、レコードがH氏のは国内盤だからプレスの微妙な差も影響しているか知れない。こればかりは英国盤で聴かないと確かなことは言えないが、それにしても、何という緻密な音だろう。
     *
五味先生の書かれたものを読んできた人ならば、どこからの引用なのか、すぐにわかる。
ステレオサウンド 47号から再開されたオーディオ巡礼で、ステレオサウンド社長(当時)の原田 勲氏のリスニングルームの回からだ。

ヴァイタヴォックスのCN191をマランツのModel 7とModel 9のペア、アナログプレーヤーはEMTの927Dstにフィデリティ・リサーチのFR7を取り付けて、というシステムである。

Qobuzでの44.1kHzでの「薔薇の騎士」は、《ヴァイオリンのユニゾンだけは高音域で、のびきらぬ憾みはある》ことを感じた。
96kHzでの「薔薇の騎士」では、そういう不満がもうない。そればかりか、《何という緻密な音だろう》と聴き入っていた。

Date: 11月 5th, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その21)

今井商事のヴァイタヴォックスのCN191のことに話をした戻す。
今井商事での是枝重治氏の回では、CDもアナログディスクはかけられていない。全ての曲がストリーミング(Qobuz)だった。

国際フォーラムのインターネットの回線のクォリティがそれほど良くないのか、時々音が途切れることもあったが、その音質に不満を抱いた人はいたのか。

是枝重治氏は、CN191にはストリーミングが合う、と話されていた。CN191という古典的なスピーカーには、アナログディスクこそ合う──、そう信じ込んでいる(思い込んでいる)人からすれば、ストリーミングなんて──、ということになるのだろうが、音が良ければ、いいじゃないか、と私は思っている。

どうしてもこだわりたい人は、納得いくまでこだわればいいことだし、ストリーミングでもいい音が聴けるのであればストリーミングでいい、むしろこちらの方がいい、という人は、ストリーミングで聴けばいいことだ。

それにストリーミングを積極的に活用している人の多くは、アナログディスクもCDも聴ける環境を持っているだろうし、どれか一つに絞る必要はないと考えている。

CN191にストリーミングは合わないのか。
それは一人ひとりが考えていけばいいことなのだご、まずはきちんとその音を聴いてから、ではないか、ということだけは言っておきたい。

今年のCN191の音を、どう感じどう評価したのかも、人それぞれ。いい音と感じた人で、まだストリーミングに取り組んでいない人は、試してみるのもいいのではないか。

Date: 11月 4th, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その20)

インターナショナルオーディオショウで、いくつかのハイエンドのオーディオ機器を見ていると、これらは現代アートとして認められたいのかな、と思ったりもした。

だからオーディオ機器として理解しよう、とか、スピーカーとして理解しよう、とか、そういうことではなく、現代アートとして接する(眺める)のがいいのでは──、と思っていた。

Date: 11月 4th, 2026
Cate: 1年の終りに……

2026年をふりかえって(その2)

「五味オーディオ教室」からオーディオが始まったといえる私にとって、1978年夏に出たステレオサウンド 47号を、書店で手にしてパラパラとページをめくった私は、さすがステレオサウンド!、と心の中で叫んでいた。

五味先生の「オーディオ巡礼」が再開していたからだ。ステレオサウンド以外のオーディオ雑誌は、田舎の書店で見かけるものは全て目を通していたが、やっぱりステレオサウンドだなぁ、と実感できるほど、私にとって「オーディオ巡礼」がカラーページで読めることは、格の違いのようにも感じていた。

それから月日が随分経って、私のオーディオ歴は五十年、ステレオサウンドは創刊六十年。

ないものねだり。
ステレオサウンド 240号を読んで思うのは、このことだった。

Date: 11月 3rd, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その19)

以前、別項でも書いているが、自分にとって、(大袈裟な表現になってしまうが)運命的な存在のスピーカーであれば、どんなにひどい状態で鳴っていたとしても、なんらかを感じるものだ、と瀬川先生が言われていた。

確かにそうである。
今年のインターナショナルオーディオショウでのJBLのSummit K2の音は、私にとってそういう存在とは感じられなかった。

このことは、そのスピーカーの優秀性とはほとんど関係ないところで、聴き手の心に響いてくるのかどうかである。

私にとっては、2002年のインターナショナルオーディオショウでのタイムロードのブースで鳴っていたジャーマン・フィジックスのUnicornが、そうだった。

私は、その時、そう感じた。だからといって、Unicornを聴いた全ての人がそう感じたわけではない。スピーカーとの出逢いは、本来そういうものであるはずだ。

Date: 11月 2nd, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その18)

今年のインターナショナルオーディオショウは、初日しか行けないことがわかっていた。だから、全てのブースをまわれないといっても、駆け足でできるだけ多くのブースを、とは考えていなかった。

あらかじめ各ブースの内容はチェックして、ここは行きたいと決めていても、実際にオーディオショウに行って、どこかのブースに入ると、鳴っている音をもっと聴きたいと思って、意外に長くていたりすることがある。
なので、予定通りにはまわれないことはわかっているから、今年は今井商事のヴァイタヴォックスのCN191の音だけはじっくり聴く、それだけは決めていて、後はそれぞれのブースに入ってから、次をどうするかであった。

JBLのSummitシリーズは聴きたかったから、ハーマンインターナショナルのブースには行った。ちょうどK2に入れ替えの時だった。

そこで鳴ってきた音について細かなことは書かないが、よく鳴っている、とは感じながらも、そのままずっと聴いていたい、とまでは感じなかった。

他のブースで聴きたい回の時間があるから、じっくり聴くことなくハーマンインターナショナルのブースを出た。

いままでも、他のブースに行きたいから、デモの途中で出ることはあるが、この時、もっと聴いていたいけど……、と感じながら出ていく場合、すんなり出ていける場合とがある。

今年のハーマンインターナショナルの音は、後ろ髪を引かれる思いは、私にはなかった。

だかといって、Summitシリーズに評価を下そうとはいう気持は全くない。ただ今年のインターナショナルオーディオショウでの音が、ただそうであったというだけのこと。

Date: 11月 1st, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その17)

今年のインターナショナルオーディオショウで、多くの注目を集めていたのは、B&WのD5シリーズとJBLのSummitシリーズだろう。

どちらのブースも当然とはいえ人がいっぱいで、聴いた、とはいえない感じだったので、音について細かなことは書かないが、B&Wの800シリーズは、数年置きに改良モデルが登場してくる。

しかもはっきりと改良されていることを音で感じさせてくれる。すごいことだと思いながら、B&Wのスピーカーを購入しようと考えている人は、このことをどう考えているのか──、そんなことを思ってしまう。

2009年のインターナショナルオーディオショウのマランツのブースで、805で比較試聴を行っていた。アルミダイアフラムとダイアモンドダイアフラムで、ある。

私は、この時、後方で聴いていたけれど、違いははっきりと音として出ていた。それから、今年でD5まで来た。
ダイアモンドダイアフラム搭載以前の800シリーズと比較したら、驚くほどの違いなのだろう。そのくらい、B&Wは、世代とともに改良していっている。

となると数年後に登場するD6は、D5よりも改良されたモデルに仕上がっている、と言い切ってもいいだろう。ならばD6まで、待とうという人もいるかもしれない。

二十年ほど前、Macについて相談されることが多かった。そのうちの何割かは、来年になったら、もっと性能がいいMacが出るんでしょ、ならば待った方がいいのでは? と言われたことがある。

確かに一年ほど待てば性能の良いモデルが出るけれど、そんなことを言っていたら、また一年待てば──、ということになり、いつまで経っても買えない(買わない)ことにもなる。

結局、欲しいと思って買えるのであれば買った方がいい、と答えていたが、B&Wのスピーカーに関しては、そのあたりどうなのだろうか。

最新のB&Wが最良のB&Wということで、次のモデルが出たら、その時はその時で、買えるならば買ってしまおう、となるのか。

800Dシリーズも、ずいぶんと高くなってきた。805Dはペアで六十万円ほどだったのが、D5になり二百万円を超える。801D5もかなり高額なスピーカーだし、801D6ともなると、その価格がどこまでになるのか。

私はB&Wのスピーカーの優秀なことは認めても、欲しいと思わないので、どうなんだろうか……とどこまでいっても他人事でしかないから、よけいに知りたい気持がある。

Date: 10月 31st, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第三十二夜

11月のaudio wednesdayはやらずに、12月のどこかで忘年会をかねてやる予定です。
水曜日ではなく、別の曜日かもしれません。

どこかに集まって食事をしながら、オーディオ、音、音楽について話せる場としてのaudio wednesdayです。

参加希望の方は、私宛に連絡ください。この日だったら都合がいいという希望もどうぞ。

Date: 10月 31st, 2026
Cate: 1年の終りに……

2026年をふりかえって(その1)

2020年は11月8日から、
2021年は11月1日から、
2022年は11月10日から、
2023年は11月1日から、
2024年は11月2日から、
2025年は11月2日から、それぞれこの項を書き始めている。

今年(2026年)は、今日(10月31日)から。

今年も、いろいろあった。残り二ヵ月も、何かありそうな予感だけはある。

別項でも書いているように、五十年前の、ちょうど今頃、私は「五味オーディオ教室」で出逢った。大袈裟でなく、人生を変えた一冊だ。

出逢ってなかったら、どんなオーディオマニアになっていただろうか。どんな人と知りあえただろうか。

Date: 10月 31st, 2026
Cate: 映画

クジラに落ちた男(余談の補足)

「ゴジラ-0.0」は11月3日公開だが、これはIMAXと通常のフォーマットでの公開。
Dolby Cinemaでの公開は11月13日から、である。

Date: 10月 30th, 2026
Cate: 映画

クジラに落ちた男(余談)

映画「クジラに落ちた男」をDolby Cinemaで観終って考えていたのは、11月3日公開の「ゴジラ-0.0」を、IMAXで観るか、Dolby Cinemaで観るか、だった。

昨日まではIMAXで観るつもりだった。日本映画初のFilmed for IMAX認定ということだから、IMAXで観るしかない、と思っていたのが、Dolby Cinemaの「黒」を味わってしまうと、こっちの方が、いいかもしれない──と思い始めた。

だったらIMAXとDolby Cinemaの両方で観れば、となるわけだが、どうしようかと迷っている。

以前、別の映画のところでも書いているが、上映館のフォーマットが映画の評価を少なからず変えてしまうと感じるようになってきた。

「ゴジラ-0.0」、たぶん通常のスクリーンによる上映でも楽しめるだろうが、一つの疑似体験としてとらえるならば、私にとって、よりのめり込めるフォーマットで観たい。

Date: 10月 30th, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その16)

(その11)で、アイレックスのブースでのリニアトラッキング型ターンアームについての説明は、いまなぜか忘れられているとしか思えないことを、きちんと説明していて、わかっている人は、やはりいるんだ、と思えた。

技術的な説明で、まったくその通りとうなずけることは、なかなかない。どこのブースでも、自社で取り扱っている製品にとってのいいこと(都合のいいこと)を言う。

それはアイレックスのブースでもそうなのだが、聞いていると都合のいい解釈だな、と思うことは常にある。それを批判したいわけではない。

オーディオショウとはいえ、いわば商売なのだから、そのへんは受け手がきちんと割り引いていれば済むことでもある。

今年のインターナショナルオーディオショウで、フェーズメーションのブースでのトランスのケーシング(シールド)についての説明も、わかっている人の、それもきちんと音を聴いている人の説明であった。

Date: 10月 29th, 2026
Cate: 映画

クジラに落ちた男

映画「クジラに落ちた男(原題:Whalefall)を観てきた。
映画館での予告編をみてから、できれば大きなスクリーンで観たいと思っていたものの、あまり人気がないようで、小さなスクリーンでの上映の方が多くなっている。

今年、大井町にTOHOシネマズができ、Dolby Cinemaが導入された。ここで、「クジラに落ちた男」を観てきた。

本編が始まる前の、Dolby Cinemaのデモが流れる。評判通りの「黒」だった。この時から、Dolby Cinemaと「クジラに落ちた男」の相性はいいのでは、と思い始めていた。

この映画の評価は分かれているようだ。私は面白いと思ったし、なにより後半のシーンで、マッコウクジラが深海に潜ってからは、Dolby Cinemaならではの表現力ではないだろうか、と思うほど美しかった。

ほとんど他の色がない深海でのシーン。他の映画館で観てないのだから比較しているわけではないが、ここまで美しいと感じることはないと思っている。

残念なことに、Dolby Cinemaでの上映は、今日で終了するようだ。

Date: 10月 29th, 2026
Cate: 604-8G, ALTEC

ALTEC 604-8G + Sansui EC10(その3)

JBLの2220Bの重量は7.7kg。アルテックの604-8Gは15.4kgと、2220Bのほぼ二倍。これだけの違いでもフロントバッフルへの加重、つまりテンション(ストレス)はずいぶん違うのだが、2220Bの奥行きは14.9cm、604-8Gは28.3cmと、これも二倍ほどある。

同じ重量であっても、奥行きの長短でフロントバッフルへの加重は違ってくるのに、重い604-8Gの方が奥行きが長いのだから、フロントバッフルだけで604-8Gを支えるのは、フロントバッフルの響きを相当に殺す(歪める)ことになるだけに、604-8Gの後方を、何らかの方法で支えることで、フロントバッフルへの負担を減らすことが重要となる。

同じことは、ホーンとドライバーの組合せでもいえる。JBLの375+537-500の組合せでは、ドライバーとホーン、金属製の脚を共締めしている。

375+537-500では、この部分の脚と音響レンズ後方の脚とで全体を支えている。375の重量は11kgを超える。これだけの重さのモノが、いわば宙ぶらりんとなっている。

375+537-500は前後の金属製の脚を含めての形に魅力があるとは思っているが、375の重量をなんらかの方法で軽く支えることで、音はずいぶんと変化する。

支えるといっても、強く突っ張ってしまうと必ずしもいい結果にはつながらないから、あくまでも軽く支えるくらいがいい。

四谷三丁目の喫茶茶会記でaudio wednesdayをやっていた時、アルテックのホーンとドライバーは、ここで述べたのと同じ考えで全体の重量を支えていた。

604-8Gでも、そうする。