Date: 5月 17th, 2026
Cate: アナログディスク再生, 世代

アナログディスク再生の一歩目(その7)

トーレンスの“Reference”を、熊本のオーディオ店で聴くまで聴いていたアナログプレーヤーは、マイクロの糸ドライヴ以外は全て国産のダイレクトドライヴ型だった。
それに価格的にも、それほど高価なモノはなかった。

だから、EMTの930stや927Dstについて書かれたものを何度もくり返し読んでは、その音、その再生レベルの高さといったことを想像していた。

そこにいきなり聴く機会が訪れた“Reference”。しかも瀬川先生が鳴らされる。

アナログプレーヤーで音が変るのはわかっていても、ここまで変るのか、という衝撃。
“Reference”の前に、930stでも聴いたことがあったならば、その衝撃はいくぶんか弱くなっていたかもしれないが、いきなりの“Reference”の音は、アナログプレーヤーは、もうこれしかない! と思い込むほどの凄さだった。

この時の“Reference”の音(凄さ)も、私にとっては「アナログ再生の一歩目」ともいえる。
ここまで鳴る──、そういう凄さを聴けたのだから。

Date: 5月 16th, 2026
Cate: スピーカーの述懐

スピーカーの述懐(その74)

聴き込む、という。
このレコードは聴き込んだ──、といったりするが、この「聴き込む」には、いつも少しばかり抵抗感を覚える。

スピーカーでいえば、このスピーカーを鳴らし込んだ、となる。
こう言って、自慢げな人もいる。

この「鳴らし込む」も、あまり好きではない。

鳴らし抜く、と私は言いたい。

Date: 5月 15th, 2026
Cate: 複雑な幼稚性

ゲスの壁(その8)

特定のオーディオブランドの信者的な人になってしまうということは、言葉は悪いが、そのブランドの家畜化とも思っている。

信者的な人みなが、そのブランドの家畜とまでは思っていないが、ソーシャルメディアを介して、信者的な人たちがつながり、インターネット上ではあっても集団となっていくのは、本人たちには、そんな意識はないのだろうが、傍らから見ると、家畜化と私はみる。

それでも本人たちがシアワセと感じているのであれば、それはそれでいいというしかない。

規模は大きくなくても、集団化して家畜を所有しているブランドは、安泰なのだろう。

Date: 5月 15th, 2026
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その29)

2020年に「218(version 9)+α=WONDER DAC」というタイトルでいくつか書いている。

現在、ぴあ分室に常備されているメリディアンの218は、大阪のMさんの私物で、今年になって私が手を加えて、218(version 9)に仕上げている。

今回、私が手を加えた218は、218(version 10)といっていいほどに変った。もう少し詰めていく必要も感じたので、まだ218(version 10)と言い切れるほどではないが、あと少し手を加えることで、自信をもって218(version 10)と言い切れる予感がある。

Date: 5月 14th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その13)

B&Oのオーディオ機器といえば、私の世代、上の世代だとアナログプレーヤーのBeogramシリーズを、まず思いうかべるだろう。
全てのBeogramがリニアトラッキングアームだったわけではないが、Beogramイコール・リニアトラッキングアームのプレーヤーといっていいほど、
あのかっこよさ、洗練さには多くの人が惹かれただろうし、Beogramの似合う空間が欲しいとも思ったことだろう。

Beocordシリーズはテープデッキである。カセットデッキだけでなく、それ以前はオープンリールデッキもあった。

オープンリールデッキのBeocordは写真でしか知らない。
Beocord 5000は、一度実機を見て触れてみたいと思うものの、Beocord 1200、1600、2000あたりはそれほどではなかったりする。

なので私にとってのBeocordはカセットデッキであり、なぜかオープンリールデッキと同じ型番のBeogram 5000に、まず惹かれた。そして、おおっ、と思ったのはBeocord 6000、8000、9000である。

Beogram 8000の前にBeogram 1900や、さらにその前のBeogram 1700、2000には、それほど心ときめなかった。

Date: 5月 14th, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十八夜

6月のaudio wednesdayは、3日開催。
さらに手を加えたメリディアンの218を聴いてもらう予定。

Date: 5月 14th, 2026
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その28)

4月のaudio wednesdayに持っていく予定だった、もう一段階の手を加えた218は、材料の厚みの問題であまりうまく仕上がらず、5月に持っていくことにした。

つまり昨晩、持っていった。
日曜日に、もっと適した材料があることに気づき、検索してみると、けっこう良質なモノが手に入ることがわかったけれど、
水曜日(13日)には間に合わないので、今回は4月から予定していた材料を使う。

この結果が良かったら、日曜日に見つけた材料を注文し6月のaudio wednesdayに持っていこう、と決めていた。

昨晩といっても、数時間前なのだが、結果は、手を加えた私が驚く一面を見せて(聴かせて)くれた。

なので6月のaudio wednesdayには、もう一段階進めた218を聴いてもらう予定だ。

Date: 5月 13th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その8)

マランツのModel 9kがやって来て、改めて考えることがある。マランツの管球式パワーアンプ、Model 2、5、8Bとの違いについて、である。

これまでも写真や実機を見てきているし、回路図もそう。いくつかの記事も読んでいる。それでも、なぜなのか、と思う点はある。

Model 9にはフロントパネルがついている。このことは、誰でもすぐにわかる違いだ。

私が、なぜなのか、と主に思っている点は、
入力レベルコントロールが付いたこと、極性切替スイッチが付いたことだ。

Model 2、5、8Bには付いていない。それがModel 9にだけはある。何か必要性があって付けたのだろうか。
これといった答は浮かばない。

となるとフロントパネルを付けたからではないか、と思えてくる。
マランツの、この時代のデザインは基本的に左右対称であり、わずかに、そのバランスをくずしていることは、古くから岩崎先生、瀬川先生が指摘されている。

Model 9も基本的に左右対称のフロントパネルをもつ。だからこそだ、入力レベルコントロールのノブがなかったら、左右対称ではなくなってしまう。

フロントパネル下部左右両端の丸いノブ、これが片方だけだったり、ない姿を想像してみると、案外そうなのかも、と思えてくる。

Date: 5月 12th, 2026
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(韓国、中国は……・その14)

八年ほど前からAliExpressのことを、何度か取り上げている。

AliExpressのアプリで、あれこれ検索すると、おすすめの商品を表示してくれる。
私はほとんどオーディオ関係を検索しているから、おすすめの商品も、当然オーディオがほとんど。

この一年、AliExpressが取り扱っているオーディオは、はっきりと変化していると感じている。
いい方向というよりも、面白い方向に変化しつつある。

こんなモノ(いい意味で)まで売っているのか、と思う商品が増えてきている。
アクセサリーや補修パーツなどが充実している。今年、数点購入しているし、購入予定のモノも、まだある。

日本だと探すだけでも時間がかかりそうなモノが、すぐに見つかったりする。
最近ではテープデッキのヘッドも、けっこうな数(種類)見かけるようになった。

秋葉原が、オーディオマニアにとっては寂しくなりつつある。オーディオに関係する部品を取り扱っている個人店が閉店している。
これからも閉店していく部品店は出てくる。

そのかわりとなりつつあるのがAliExpressだと、私は感じている。

AliExpressで取り扱っているモノ全てが、よく出来た商品ではないだろうが、少なくとも私が購入したモノは、満足している。

中国だから、とか、中国製だから、とか、そんなことを言っている人は、ずっと言い続けていればいい。

この十年くらいか、日本製は凄い、素晴らしいと賞賛する本を書店で見かけるようになった。
これらの本に携わっているライター、編集者は、本当にそう思っているのか。

日本製にも素晴らしいモノはある。オーディオに関係する部品でもあるけれど、五十年ほどオーディオをやっている私の目には、
日本製部品、工具のお粗末さも、また知っている。

いいモノもある、ひどいモノもある。それは日本製でも中国製でも、そうである。

Date: 5月 12th, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十七夜(いよいよ明日)

明日(5月13日)は、audio wednesday。
昨年12月から渋谷で行うようになって、初めて参加される方が、いらっしゃる。

明日も、初めての方が来られる予定。

2011年2月から始めて十五年もやっていると、新しい人は、なかなか来られないのか──、そんなふうに思うこともあっただけに、
「参加したい」というメールが届くと素直に嬉しくなる。

しかも明日来られる方は、瀬川先生の文章がきっかけで、オーディオに目覚めた、とのこと。

十数年やってきても、それぞれの回ごとに楽しみがある。

Date: 5月 11th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その7)

マランツのModel 9kがやって来たのをきっかけに、検索してみると、ここまで神格化されているのかと驚く。

Model 7をはじめマランツの管球式アンプは名器として扱われている。それは私がオーディオに興味をもった頃もそうだった。

それでも神格化されてはいなかった、とふり返って思う。

私のところにやって来たのは、キット版のModel 9kだから、オリジナルであるとか、初期のモデルだとか、部品がオリジナルとは違っているとか、
そういうところからは、ある程度離れたところにいる、といっていいだろう。

Model 9kは、オリジナルと比較すると、いかほどの価値もない、とオリジナルを所有している人の何割かは、そんなふうに思っているかもしれない。

Model 9は1960年に登場している。六十年以上が経っている。
きちんと鳴っていると思われている個体でも、いろんなところにガタがきていると考えた方がいい。

きちんとしたメンテナンスが必要であっても、オリジナルのModel 9を所有している人は、部品の調達だけでも大変なはず。

オリジナルであることに価値を見出している人は、本当に大変だと思う。
その点、私はかなり気楽なものだ。日本マランツの企画によって生まれたキットだけに、オリジナル通りにしなければならないというプレッシャーのようなものはない。

マランツの管球式アンプは、確かによく出来ている。でも神格化までするのはどうだろうか。
趣味のことだから、神格化するしないも個人自由といえなくもない。

それでも神格化してしまうということは、その人自身が信者となってしまうことでもある。

神格化した方が、オーディオを商売としている人にとっては楽につながる面もある。

マランツの管球式アンプは、筐体構造に欠点がないわけではない。こんなことを書くと、信者からは、おまえはマランツの凄さがわかっていない。
わかっていないから、Model 9kがやって来た──、そんなことを言われるかもしれないが、
神格化している人は、筐体構造に、何も疑問を持たないのか。

世の中に欠点のないモノが存在するだろうか。

私は、私のところにやって来たModel 9kでいくつかのことを試してみる。
幸いなことにModel 9はモノーラルアンプだから、まず片チャンネルだけに試して比較するということができる。

オリジナルという呪縛からは遠いところで、私はModel 9kに手を入れる。

Date: 5月 10th, 2026
Cate: ちいさな結論

ちいさな結論(五十年目の結論)

「五味オーディオ教室」で出逢い、オーディオと過ごしてきた、この五十年。
オーディオは、一人きりになれる。このことを目指してきた。それが、私のちいさな結論だ。

Date: 5月 9th, 2026
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(ソニーの場合・その5)

昭和のころから、ソニータイマーと言われていた。ソニーの製品は保証期間が切れると故障するから、そんなふうに言われていた。

これは本当なのだろうか。
私が使っていたソニー製品はCDプレーヤーだが、故障や不具合はなかった。

実家ではソニーのテレビ、ビデオデッキ(βデッキ)を使っていたけれど、故障したことはなかった。

わずかなサンプルでしかないが、ソニータイマーがあるようには感じていない。

それに昭和の頃、平成になってもしばらくはソニーのアフターサービスは定評があった。

友人は秋葉原にあったサービスセンターに、ビデオデッキのパーツを買いに行っている。こんなパーツまで売ってくれるのかと関心した。

そのソニーが、いまでは修理拒否なのか──と思うし、なぜそうなったのかとも思う。

変化しない人も組織もないわけで、良くも悪くも変化していく。ソニーも例外ではなく、悪い方向に変化しただけ、と決めつけられるのか。

十年以上前になるが、竹中平蔵が正社員はなくせばいい的なことを言っている。
これがなかったら、今もソニーのアフターサービスは変らなかったのかもしれない。

今回の修理拒否の件は、そんなことまで思い出させた。

Date: 5月 9th, 2026
Cate: 真空管アンプ

やって来たのはOTL2だった(その4)

別項「シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で)」でも書いているが、
BOSEの901をマッキントッシュのMC275で鳴らした音は、いまでももう一度聴きたいと思わせるほど、印象に残っている。

そういう音は他にもあった。もう一度、あの組合せの音を聴きたいと思っていても、十年、二十年、三十年……と経つと、
それほど聴きたいとはならなくなってくる。

過去に聴いた音は、聴き手の記憶のなかで美化されていくのも事実だが、色褪せてくるのも、また事実のようだ。

フッターマンのOTL2がやって来て、真っ先に鳴らしてみたい、その音を聴いてみたいと思ったのは、BOSEの901だった。

もちろんジャーマン・フィジックスも鳴らしてみたいし、タンノイのコーネッタも、どんな音で鳴ってくれるのか、楽しみなのだが、
それ以上に901との組合せは、どんなふうに鳴ってくれるのか、なかなか想像できないでいる。

BOSEはボストン、フッターマンはニューヨーク。どちらもアメリカ東海岸である。

OTL2の手入れはまだ始めていない。マランツのModel 9kに必要な部品を、いま集めているところなので、それからになる。

秋になったら、901との組合せが音を鳴らし始める(はずだ)。

Date: 5月 8th, 2026
Cate: 真空管アンプ

直熱三極管(その7)

いまから五十年前、私が「五味オーディオ教室」と出逢った1976年。そのころ、真空管アンプは本当に少なかった。

無線と実験、ラジオ技術、初歩のラジオには真空管アンプの製作記事が常に掲載されていても、既製品の真空管アンプは風前の灯に近かった。

そのことがあって、真空管アンプは自分で作るモノと思うようになっていった。

それがいまでは多くの真空管アンプが市場に出回っている。それぞれのアンプにそれぞれの謳い文句がある。
回路的なこと、使用部品のことなどが語られている。

使用部品で意外と語られないのがソケットについてである。
真空管アンプでソケットは、非常に重要な部品である。
どんなに優れた真空管を用いても、ソケットの品質が劣っていては、アンプの信頼性に関わる。

昭和のころは、いいソケットがけっこうあった。私のところにやって来たマランツのModel 9kも、ソケットはEBYが使われている。

Model 9k全てがEBYのソケットなわけではないようだ。Googleで画像検索してみると、明らかにEBYではないソケットの例もあった。

直熱三極管用のUXソケットだが、往年のアメリカ製のソケットは、かなり入手困難である。日本製と中国製のモノならば、今でも入手可能だ。

使ったことのないソケットについてあれこれ言うのは控えたいのだが、なぜ金メッキを施すのか、と思う。