オーディオと「ネットワーク」(SNS = SESか・その26)
ノアの方舟と大洪水。
この時の大洪水は、文字通りの水によるものだったけれど、いまの時代の大洪水は、情報の大洪水であり、いつか起こるのかもしれない。
生成AIが発端となって起こるのかもしれない。
そうなった時のノアの方舟は、何なのかだろうか。
ノアの方舟と大洪水。
この時の大洪水は、文字通りの水によるものだったけれど、いまの時代の大洪水は、情報の大洪水であり、いつか起こるのかもしれない。
生成AIが発端となって起こるのかもしれない。
そうなった時のノアの方舟は、何なのかだろうか。
ステレオサウンド別冊のHI-FI STEREO GUIDEを初めて買ったのは1977年だった。
その頃、ステレオサウンドは1,600円だった。HI-FI STEREO GUIDEは2,000円と、中学生には買いたくてもすぐには無理で、
しかも田舎の書店にはなくて、バスに乗って片道約一時間、熊本市内の書店で買っている。
田舎のバス代は、電車や都内のバスほど安くはないから、HI-FI STEREO GUIDEを毎号買うのは諦めていた。
そうやって買ったHI-FI STEREO GUIDEは、隅から隅まで読んだ。というか時間があれば眺めていた。
HI-FI STEREO GUIDEとは、カタログ誌。各ジャンルごとに、国内メーカー、海外メーカーの、日本で購入できる全製品が載っている。
モノクロの写真と価格、カタログスペック、海外メーカーならば、どの国なのかも掲載されていた。
とにかく眺めているだけで楽しかった。
気づくことがあった。
海外のオープンリールデッキの価格である。スチューダー、アンペックス、テレフンケンなどのプロ用機器メーカーのオープンリールデッキが高価なのは、意外でもなんでもないが、
フェログラフ、タンベルグ(タンバーグ)のオープンリールデッキが、かなり高価なのだ。
フェログラフのStudio8は1,950,000円、タンベルグのModel 11-1Pが680,000円、Model 10XDが695,000円だった。
フェログラフのスピーカーシステムのS1は153,000円(一本)、タンベルグのFasett Monitorが45,000円(一本)、Studio Monitorが265,000円(一本)なのに、オープンリールデッキだけが、やたら高価だった。
わずかな例でしかないが、ヨーロッパのオーディオメーカーのオープンリールデッキへの意気込みみたいなものが感じられるような気がしていた。
でも、なぜなのかは、その頃の私にはわからなかった。
(その5)に、コメントがあった。
*
その通りだと思います。なによりも若い人の多さに驚きました。まだまだ、オーディオは終わらないと確信しました。オーディオが衰退しないためには、年寄りの金持ちよりも若い人に関心をもってもらう必要があり、そういう点で、素晴らしいイベントでしたね。うれしかったです。
*
私と同じように感じられた人がいる。
OTOTENは、いい方向に進んでいるからこそ、気になったことも書いておく。
いくつかのブースではオーディオ評論家と呼ばれている人たちの時間帯がある。
その全てを見たわけではないが、私が見たいくつかのブースでは、オーディオ評論家の覇気の無さが気になった。
インターナショナルオーディオショウでは、来場者の平均年齢も高いためなのか、さほど気にならなかったけれど、
今年のOTOTENのように若い人が多く、活気が感じられるようになると、相対的に、オーディオ評論家の高齢ぶりが目立つようになるのか。
ティアックのブースで、若いスタッフの話ぶりを見た後だけに余計に、オーディオ評論家(高齢者)のぼそぼそした口調や、その他のことが気になる。
全てのオーディオ評論家がそうだったとはいわないし、思いたくもないが、残念なことに私が見た数人のオーディオ評論家(高齢者)は、そんな感じでしかなかった。
1970年代後半のオーディオ雑誌には、日本のオーディオマニアのリスニングルームだけではなく、時に海外のオーディオマニアのリスニングルーム訪問の記事もあった。
そんなに多くの例があったわけではないが、その頃の私が印象深く思ったことの一つに、ヨーロッパのオーディオマニアのテープデッキにかける率が高いことがある。
システムの価格的バランスも、スピーカーやアンプよりもはっきりテープデッキが高い。スピーカーもアンプもさほど高価なモノではなくても、
テープデッキに関してはプロ用機器に準じるクラスのモノだったりする例を、いくつか見ている。
テープデッキに限らず、オーディオシステムの上流、つまりアナログディスクプレーヤーにしてもチューナーにしても、ここのところに奢ることで、音はずいぶんと違ってくることは、オーディオマニアならば経験していることだろう。
予算に限りがあるならば、価格的にバランスのとれたシステムにするよりも、将来のグレードアップを考えれば、価格的バランスをくずしてでも、プレーヤーやテープデッキに予算をつぎ込みたくなる。
ヨーロッパのオーディオマニアも、そういう考えなのだろうか、と当時は思っていた。
そうなのもしれないし、違うのかもしれない。思うに、テープデッキを奢るのは、録音機器として捉えているからなのだろう。
今年のOTOTENで私が一番驚いたのは、IMAXのブースでのIMAX Enhanced対応ディスプレイだった。
そういえば青海の時もNHKのブースでの8Kのデモストレーションに一番驚いたことを思い出す。
100インチを超える大型スクリーンよりも、私はもっと気軽に見る気になるディスプレイの方を好ましく感じる。
今回のOTOTENで見たIMAX Enhanced対応ディスプレイは、このサイズで済むのか、と思ったし、それ以上にここまで見えるのか(表示できるのか)という驚きだった。
映画館でのIMAXも楽しいけれど、IMAX Enhanced対応ディスプレイでのIMAXは、少し違う楽しみ方を与えてくれそうだ。
今から十年ほど前は、青海で開催されていて、オーディオ・ホームシアター展といっていた。
晴海でのオーディオフェアを知る(体験している)者からすると、廃れてきたなぁ……と感じられた。
これから先もこの場所でやるとしても、いつまで続けられるのか……とも思っていた。
青海から現在の国際フォーラムに移りOTOTENとなった。そして新型コロナ禍で2020年と2021年は開催されず。
コロナ禍あけからOTOTENは変ってきたようだ。昨年も感じたことだが、若い人の来場者が多く、活気がある。
今年は昨年以上に感じられた。いいことだと思っている。
長いことオーディオをやっていて、いわゆるハイエンドオーディオ機器を所有している人からは、中途半端だとか、本格的なハイエンドオーディオを聴かせるべき、といった声があるようだが、そうだろうか。
秋にはインターナショナルオーディオショウがある。OTOTENはOTOTENの、インターナショナルオーディオショウはインターナショナルオーディオショウの楽しみ方があった方がいいわけで、
OTOTENはこのまま進んでほしい。
書店にいま並んでいるステレオ 7月号に「音大生オーディオ体験プロジェクト 第二回 ティアック試聴室で広がるコンポーネントの世界」という記事がある。
OTOTENでのティアックのブースで私が聴いていたのは、この記事の内容そのものであった。
どんな内容だったのかはステレオ 7月号を読んでほしい。
この記事、ティアックのブースでの内容、そんなこと知っている、という人はけっこういるだろうし、私もそこでの音の変化は、いろいろなところで体験しているから、目新しい発見があったわけではない。
けれど、そういったことは長年オーディオをやってきた人にとってはそうであっても、オーディオに関心を持ち始めてばかりの人にとっては、そうではない。
ティアックのブースでのいくつかの比較試聴は、音が良くなるとはこういうことなのかを実感できただろうし、コンポーネントの面白さも、きちんと伝えていた。
真面目なことを堅苦しくならずに、ティアックのスタッフの人たちはやっていた。
今日は、(その7)で触れているサンデー・ほっとの二回目だった。
システムに大きな変化はないが、一回目と今回では、アルテックのA4の設置が少し違う。といっても脚立に乗って上から見なければわからない箇所を変えている。
今回はaudio wednesdayの常連のHさんに声をかけた。Hさん曰く、A4を見るのも、もちろん聴くのも今日が初めて、とのこと。
古くからのオーディオマニアでもA7、A5は聴いたことがあるという人でも、A4は規模が別格なため、そうだろうと思う。
HさんはA7、A5は何度か聴いたことがあるが、今日聴いたA4は、これまで聴いたA7、A5の音からイメージするアルテックとは違う、とのことだった。
これは褒め言葉だし、そうだろうと思っていた。
サンデー・ほっとの三回目は8月開催。
今日(6月20日)、OTOTENに行ってきた。七時間弱、会場にいた。それでも全てのブースの音を聴くことは無理で、
さらにOTOTENでは一つのブースを複数の会社で使うところもあるため、聴きたいモノだけ絞っても、
七時間程度では、聴いていないブースもあるし、聴いていない音の方が多い。
そんな中で、今年、好印象だったのはティアックだった。
まず七階に行き、それこら下の階を順番にまわっていこう、それだけは決めていた。
六階についてまず右に向かった。最初のブースG605は「今いっぱいなんです」と断られたので、隣のブースへ。ここがティアックだった。
ドアが開いてて音楽が聴こえてくる。スタートレックが鳴っていた。それで入ったようなものだ。
鳴っていたスピーカーは、クリプシュのFORTE IVだった。
アンプその他はティアックの比較的小型のシリーズ。
実を言うと、これまでOTOTENでのティアックのブースは素通りしていた。なのでティアックが扱うようになってからのクリプシュを聴くのは、今回が初めて。
さほど高くないことは知っていたが、価格を調べて「安い」と思った。
ティアックのブースでは、高価なケーブルは一切使われていなかった。高価なアクセサリーの類もなかった。安価なケーブルが使われていただけだった。
今回のシステムの、ケーブルを含めたトータル金額は高価なケーブルよりも安かったりする。このことで好印象だったわけではない。
若いスタッフの方による進行が良かったからだ。
今日(6月19日)から開催のOTOTEN。
例年通りだと土曜日と日曜日の二日間なのだが、今年は金曜日をプレミアムデーとして、初の有料日を設けている。
有料となれば、入場者は無料の時よりも減るだろうし、そのことによって、じっくりと試聴の機会が得られるのは、誰もがわかっていたことであり、有料開催を望む人もいた。
どのくらいプレミアムデーに、人は集まったのか。がらがらだとゆっくり聴けるといえばそうなのだが、会場の熱気は薄れるだろう。
ほどほどに集まってくれればいいのだが、実際のところ、どうだったのか。
出展社の立場としても、これまでの二日間の開催よりも肉体的な負担は減るように思う。
これまで通りだと金曜日に搬入、設置して、日曜日の夕方には搬出作業が待っている。
これから先、どうなるのかは今のところなんともいえないが、今年のやり方が定着していくのもいいように感じている。
マイケル・ジャクソンの熱心な聴き手だったわけではない。持っているCDは一枚だけ。そんな聴き手でしかないけれど、
1993年のスーパーボウルのハーフタイムショーで、マイケル・ジャクソンがステージに登場して90秒ほど微動だにしなかったことは知っている。
熱心な聴き手ではない私は、なぜなのかは考えなかった。
それから二十数年が経ち、映画「マイケル」に登場する絵本「ピーターパン」を見て、そうだったのか、と思った。
ピーターパンが立っている挿絵。その影こそが、1993年のスーパーボウルでのマイケル・ジャクソンのシルエットそのものだった。
(その1)で、映画「サタデー・ナイト・フィーバー(Saturday Night Fever)」で、ダンスコンテストの会場となったディスコには、アルテックのA7が置いてあったことを書いた。
A7なのか、“MUSICAL SOUND LOUDSPEAKER SYSTEM”の名をもつ1236なのかは、はっきりしないが、アルテックなのは確かだ。
今日、「マイケル」を観てきた。ジャクソン5の遊園地でのライヴのシーンがある。ステージの両端には、やはりアルテックがある。
A7かA5なのか、それとも1236なのかはわからないのは、828エンクロージュアの上に、ホーンがのっていないからだ。
実際、この状態で鳴らされていたのかはわからないが、やっぱりアルテックなんだなぁ、となる。
この時代、アルテックの名は知らなくても、その音を聴いていたアメリカに住む人は多かったんだなぁ、とも思う。
パワートゥイーターというキーワードは、ステレオサウンド別冊HIGH TECHNIC SERIESの三冊目、「世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方」を読んでいくうえでも、重要というか、なかなか興味深いともいえる。
といっても当時はそこまでは思っていなかった。けれどくり返し読み、東京で暮らすようになり、ステレオサウンドで働いたことで、
接する音が大きく増えたことで、パワートゥイーターということの比重が増していった。
「世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方」では、リボン型トゥイーターが複数登場する。
当時、リボン型トゥイーターの代表的存在であったパイオニアのPT-R7はもちろん、
歴史的にはPT-R7よりも古くからあるデッカのトゥイーター、リボン型の一種ともいえるテクニクス独自のリーフ型トゥイーターの10TH1000、
そしてアメリカから登場したばかりのピラミッドのT1がある。
私は、ここに挙げた全てのリボン型トゥイーターを比較試聴した経験はないが、試聴記をくり返し読み、いくつかの機会で聴いている。
リボン型トゥイーターは、新しい製品が出るごとにパワートゥイーターへと進歩しているともいえる。
デッカよりもパイオニアが、力の提示においては優っているものの、それでもリボン型トゥイーターの一般的な印象の中での評価でしかない。
テクニクスは、そんなパイオニアよりも力の提示は優っている。ピラミッドのリボン型はさらに優っている。
JBLの往年のプリメインアンプのSA600を、優れたデザインという人は多い。私もそう言ってきたし、
SA600はプリメインアンプであり、さほど大きくもないから手元にあってほしい一台でもある。
なのに最近、SA600は優れたデザインなのか、という疑問も持ち始めている。
フロントパネルについてではなく、アンプ全体として、どうか、である。
SA600は、JBLのパワーアンプSE400Sの前面に、コントロールアンプのSG520的構成を持ってきたコンストラクションとなっているため、SA600のリアパネルはSE400Sそのものである。
となるとプリメインアンプとしての入出力端子はどこに設けられているかといえば、底板である。
もうずいぶん前のことだが、オーディオの仲間の一人がSA600を買った。もちろん中古なのだが、相当に程度のいいSA600だった。
彼は、これまたずいぶん前からSA600のデザインをべた褒めしていた。嬉しかったなのだろう、手に入れたその夜に電話があった。
見て触って、その音を聴いて興奮しているのが伝わってくる。興奮するのもわかる。
しばらく話したあと、彼が言う、SA600の端子がどこにあるか知ってますか、と。
底板でしょう、と即答する。即答されたことに彼は驚いていた。
こちらとしては驚かれたことに、少し驚いていた。
今週末はOTOTEN。
OTOTENで思い出すのは、2019年に出展していたESD ACOUSTICのことだ。
2017年創業のESD ACOUSTICは、中国のオーディオメーカーで、励磁型型のホーン型スピーカーシステムを鳴らしていた。
2019年ショウ雑感で触れているように、その時点では完成度はまだまだとというしかなかったが、これだけのモノをつくる意気込みは、いまの日本のオーディオメーカーにできるだろうか……、と思った。
2020年のOTOTENでの出展を期待していたが、新型コロナ禍でOTOTENそのものが開催されず、
その後、日本でESD ACOUSTICを扱うところは現れなかった。
ESD ACOUSTICは、先ほど開催されたウィーンでのオーディオショウに出展していた。あいかわらず励磁型のホーン型スピーカーでシステムを構成している。
ESD ACOUSTICがどんなふうに変っていっているのかは聴いてみたいけれど、今年のOTOTENにも出展しない。
400万ドルほどするらしいから、日本市場は眼中にないのかもしれない。