Date: 6月 14th, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その1)

今週末はOTOTEN。

OTOTENで思い出すのは、2019年に出展していたESD ACOUSTICのことだ。

2017年創業のESD ACOUSTICは、中国のオーディオメーカーで、励磁型型のホーン型スピーカーシステムを鳴らしていた。

2019年ショウ雑感で触れているように、その時点では完成度はまだまだとというしかなかったが、これだけのモノをつくる意気込みは、いまの日本のオーディオメーカーにできるだろうか……、と思った。

2020年のOTOTENでの出展を期待していたが、新型コロナ禍でOTOTENそのものが開催されず、
その後、日本でESD ACOUSTICを扱うところは現れなかった。

ESD ACOUSTICは、先ほど開催されたウィーンでのオーディオショウに出展していた。あいかわらず励磁型のホーン型スピーカーでシステムを構成している。

ESD ACOUSTICがどんなふうに変っていっているのかは聴いてみたいけれど、今年のOTOTENにも出展しない。
400万ドルほどするらしいから、日本市場は眼中にないのかもしれない。

Date: 6月 13th, 2026
Cate: アクセサリー

オーディオ・アクセサリーで引く補助線(その3)

5月のaudio wednesdayでは、あるアクセサリーを使って、いくつかのセッティングの音を聴いてもらった。

ディスクは一枚、一曲に固定して、アクセサリーの設置を少し変えては、をくり返し十回ほど聴いてもらった。

側で聴いていると、この人(私のこと)は、何をやっているのだろうか、と思われただろう。

何かを変えた場合、ほとんどの場合、どちらが良かった、好ましいですか、と訊ねているが、
この時はただ聴いてもらうだけだったから、そう思われても仕方ない。

十回ほど同じ曲を聴いてもらった後で、この日の始まりの頃にかけたディスクにする。

大きな音の変化だった。それから数枚のディスクを聴いて終了となったわけだが、
この日、私がくり返しやっていたことは、補助線を引いている感覚だった。

こればかりは自分で手を動かすからこそわかる感覚だろう。

Date: 6月 12th, 2026
Cate: ディスク/ブック

ジュリーニのバッハ(その5)

自分自身の神性の創造とは、どういうことなのか。

澄み切った内面性を確立させていく、構築していくことなのかもしれない。

Date: 6月 12th, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十八夜

6月3日に予定していたaudio wednesday改め「水岡さんを偲ぶ会」は、6月20日に行います。
OTOTEN終了後(19時以降)の予定です。

参加希望の方は、私宛に連絡ください。

Date: 6月 11th, 2026
Cate: 表現する

熱っぽく、とは(その6)

1981年春、東京で暮らすようになって、東京ってすごい、と思わせたのは、以前書いている三省堂書店がある。
それから前回書いた東急ハンズ、そしてぴあがある。

ぴあの存在も全く知らなかった。東京には、こういう雑誌が出ているのか、という驚き、とともに、誌面いっぱいの情報(活字)量にも驚いた。

これほど余白の少ない雑誌はあったのだろうか。普通の雑誌ならば空白のところまで、何らかの活字で埋められていた。

編集の仕事を経験した後では、校正も含めて大変だろうなぁ、と思うようになった。

確か二週間に一度出版されていた。いったい編集部には何人のスタッフがいたのだろか。

映画、音楽、美術館、博物館など、東京で開催される、ほぼ全ての情報が一冊にまとまっていたから、さほど関心のない項目(ページ)にも目を通すことで、興味の対象が、わずかではあっても拡がっていく。

あの時代のぴあに載っていたのは、単なる情報だったのか。情報の羅列とは、ふり返っても、そうとは思えないものがあった。

Date: 6月 10th, 2026
Cate: バランス

違いがわかっても、違いしかわからなかったりする(その2)

その1)は、八年前に書いている。
その時点では続きを書くつもりはなかったので、(その1)とは付けてなかった。

八年が過ぎ、タイトルの「違いがわかっても、違いしかわからなかったりする」人は、増えている気がしてならない。

当時よりもソーシャルメディアで、さまざまな人のオーディオ、音に関する投稿を目にすることが増えてきたからかもしれないが、
それにしても……と思うことが増えてきている。

自慢げに、人が気づかないであろう細かな違いに気がついている、聴き分けている──、そんな投稿がある。

ソーシャルメディアの投稿では文章だけでなく、写真もついてたりする。
自慢げに語る人のシステムの写真が添付されていることある。その写真を見ると、こんないいかげんなセッティングで、
本人が自慢げに語っている細かな音の違いがわかるのか、と思うしかない。

なにかの比較試聴であっても、セッティングのいいかげんさを聴いているだけではないのか。
そんなセッティングしかできない人の耳を、言うことを私は信じていない。

Date: 6月 9th, 2026
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(Electro-Voice Ariesのこと・その9)

来年(2027年)は、岩崎千明没後五十年。
ひとつ考えている(やりたい)ことがある。

二年ほど前からやれたらいいなぁ、ぐらいに思っていたことなのだが、パワーアンプを一台調達してくる必要があるから、やらずに終りそうだな、とも思っていた。

岩崎先生のエレクトロボイスのエアリーズを、パイオニアのExclusive M4で鳴らしたい、その音を聴いてもらいたい、と考えていた。

コントロールアンプのExclusive C3は、いまもエアリーズのシステムとして使われている。Exclusive M4も以前はあったけれど、何度目かの修理の時に戻ってこなくなったそうだ。

パワーアンプがなければスピーカーは鳴らないから、別のメーカーのモノが接続されている。
そのアンプがひどいというわけではないが、Exclusive C3とExclusive M4のペアでのエアリーズの音は、私自身も聴きたいし、鳴らしてみたい(聴いてもらいたい)。

そのExclusive M4がなんとかなりそうで、来春(岩崎先生の命日)までには実現できそうになってきた。

Date: 6月 8th, 2026
Cate: 日本のオーディオ

パワートゥイーター

トゥイーター、スーパートゥイーターはよく目にしても、パワートゥイーターは、ほとんど目にすることはない。

私が初めて目にしたのは、ステレオサウンド別冊HIGH TECHNIC SERIESの三冊目、「世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方」でだった。

この別冊は1978年末に出ている。
ここで取り上げられているマクソニックのトゥイーター、T45EXの解説と試聴の印象のところで、井上先生が使われている。

T45EXはT45の励磁型モデルであり、当時T45が49,000円(一本)なのに対して、T45EXは75,000円。しかも電源は別売で28,000円。
外形寸法もT45が11.4cm(直径)に対して15cm、重量は3.8kgが9.0kgと、
井上先生が書かれているように《外形寸法、重量ともパワートゥイーターといった印象》になっているし、
その音も《パワートゥイーターと表現するのが最もふさわしい、エネルギーを十二分にもったトゥイーター、と一言でいい表わすことができます》と語られている。
     *
井上 特に磁束密度を強くした時に、それをはっきりと感じます。また、このT45EXは、トゥイーター単体の付帯音、シャッとかシャラシャラといった音がまったくといっていいほど出てきません。その点で、例えば2トラック38cmのテープデッキで生録をするような場合の、モニター用に使うことのできる製品だと思います。レコードを聴く限りでは、さっきの瀬川さんの発言のように、ハイエンドの音の伸びがもっと欲しくなるような音と受け取られそうですが、これをマイクからスルーで聴けば、付帯音がなくて十二分なエネルギーが出せて、すごい魅力が引き出せるのではないでしょうか。
瀬川 その感じは僕もわかります。ドキュメンタルな領域に踏み込んだエネルギーのある音、そのすごみのようなものを感じますね。
     *
残念なことにT45EXを聴く機会は得られなかった。それでもパワートゥイーター、この一言だけで、どんな音だったのかを想像するのに十分すぎるほどだった。

マクソニックのT45EX、パワートゥイーターのことは別項で十五年以上前に書いている。
それをいままた書いているのは、先ほどマクソニックが復活しているを知り、しかも新しいトゥイーター、T501をマクソニックは、パワートゥイーターと呼んでいるからだ。

ただし
パワートゥイーターユニットではなく、パーワーツイーターユニットとなっているのは、ご愛嬌。

Date: 6月 7th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

Bell NO.235 1976/9

資生堂が花椿、カネボウがBellだった。どちらもPR誌だ。

先日、ヤフオク!で、Bellを落札した。1976年9月号だ。
五十年前のモノだが、十年ほどしか経っていないくらいの状態の良さ。

こういうものをきちんと持っている人がいるおかげで、手に入れることができる。

1976年9月号は、「黒い瞳はお好き?」と表紙にある。
1976年秋は、資生堂は「揺れるまなざし」だった。

「揺れるまなざし」は小椋佳。
「黒い瞳はお好き?」はグラシェラ・スサーナ。

ヒットしたのは「揺れるまなざし」。
同時期にテレビ・コマーシャルソングとして流れていたが、「黒い瞳はお好き?」を記憶している人はあまりいないだろう。

「揺れるまなざし」はヒットし、このころから資生堂もカネボウも、商品とコマーシャルソングあわせてのキャンペーンを展開するようになったと記憶している。

「黒い瞳はお好き?」は、多くの人の心には残らなかっただろうが、私の心にはしっかりと刻まれた。

「黒い瞳はお好き?」の後に、私は「五味オーディオ教室」と出逢っている。
そしてJBLの4343が表紙を飾るステレオサウンド 41号も手にとっている。

Date: 6月 6th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その14)

Beocord 8000をステレオサウンドのカラー広告で見た時は、B&O、やっぱりすごいと思った。
実物を見たいとすぐさま思ったけれど、そのころ熊本のオーディオ店でB&Oを取り扱っているところはなかった。

カラー広告を何度も見ていた。
デザインもだが、私が驚いたのは、そのサイズもだった。

Beocord 8000の外形寸法はW53.0×H13.0×D30.0cm、重量は7.5kg。

大きい。横幅が50cmを超えている。その大きさ、そのデザインで、B&O以外のコンポーネントの中に置いたら、間違いなく浮いた存在となることは、誰にだってすぐわかること。

Beocord 8000の価格は、355,000円。上級機として後から登場したBeocord 9000は630,000円だった。

同時期のナカミチの1000ZXLが550,000円、1000ZXL Limitedが850,000円だった。

輸入品とはいえ1000ZXLを超える価格。横幅も3mmほどBeocord 8000(9000)の方が大きい。

B&Oのカセットデッキにかける意欲のようなものが、他の機種(BeogramやBeocenter)よりも強く感じられた。

Beocord 8000の登場前から、ステレオサウンドが出していたHI-FI STEREO GUIDEを見ていて疑問に感じていたことがあった。

ヨーロッパのオーディオメーカーは、オープンリールデッキ、カセットデッキ、どちらも高価なモデルを用意していることだ。

B&Oも、そうなんだ、と思っていた。

Date: 6月 5th, 2026
Cate: High Resolution

MQAのこれから(2026年6月)

2025年2月に、こう書いている。

2023年4月のMQAの破綻、
2024年4月の、MQAを買収したLenbrookとHDtracksが協同で新たなストリーミングを開始するというニュース。

2024年中ということだったが、何もなかった。
今年5月のミュンヘンでのオーディオショウで、
新しいMQAストリーミングを発表するとのこと。
Lenbrook単独らしい。

2025年5月のオーディオショウでは、MQAストリーミングに関する発表はなかった。

2026年、ウィーンでの開催になった。
出展者のなかに、Lenbrookはない。今年も、MQAストリーミングについては、発表なしなのか──、と思っていたところ、
facebookに、どうもなんらかの発表があるようだ、という投稿があった。期待しすぎてもがっかりするだけなのはわかっていても、期待してしまう。

ショウの直前に、DALIのブースで何かを行うらしいという投稿があった。
なぜDALI? 本当かな、と思っていたら本当だった。

DALIのブースでMQAストリーミングのデモが行われたようだ。
詳しい内容はわかっていないし、実際にサービス開始がいつなのか、そういった具体的な情報も、現時点ではない。

それでも一歩進んだことは事実だ。

Date: 6月 4th, 2026
Cate: 電源

AC電源のこと(その2)

十年以上前のこと(二十年近くもしれない)、何もしていないにも関わらず、音が変化したことがあった。

システムも変らず、セッティングやチューニングも変えていない。なのにはっきり音が変った。

一ヵ月ほどしたから気づいた。電信柱の取り付けてあるトランスが新しくなっていた。それまでのトランスよりも小型のモノになっていた。
そういえばファインメットコアのトランスに変更されつつあることを思い出した。

私が当時住んでいたところも変更されたことによる音の変化だったわけだ。

電信柱といえば、ステレオサウンドで働いていた時に、読者からの電話で、電信柱に関することがあった。
その人によるとそれまで木の電信柱がコンクリート製にかえられ、音が悪くなったから、電力会社と交渉して、元の木の電信柱に戻してもらった、ということだった。

いまだったら、到底応じてくれないことをやってくれていた。とはいえそれから四十年ほどが経っているから、コンクリート製電信柱になっているはず。

こんなふうに変更が加えられているのが、AC(商用)電源である。

Date: 6月 4th, 2026
Cate: 電源

AC電源のこと(その1)

アクースティック蓄音器以外、オーディオ機器はなんらかの電源を必要とする。

アンプにしても、AC(交流電源)を整流、平滑してDC(直流電源)を入力信号に応じて変調して出力している。
ゆえに電源のクォリティは、そのままアンプのクォリティとなる。

ACをとり巻く状況は悪くなることはあっても、これから先良くなることは期待できそうにない。

1980年代に普及し始めたインバーター制御の高効率家電の登場によって、ACは高周波ノイズまみれになり、さらには直流成分も混じるようになっている。

今日、ある建築現場の前を通ったら、「同施設内のケーブルは全てアルミケーブルを使用してます」と書かれた看板があった。

電源の屋内配線もアルミケーブルが使われる。これまで屋内配線は銅線だとばかり思っていた。実際そうなのだろうが、さいきんでは高圧電線も銅線ではなくアルミ線が使われるやうになってきている、という話を半年ほど前に聞いている。

銅線よりもアルミ線の方が軽いというメリットがあるかららしい。

今度は屋内配線もか、と今日見た看板で、そう思った。
完成前だから、この建物の配線はアルミ線だとわかったが、完成してしまった建物だと、銅線なのかアルミ線なのかは、すぐにはわからない。

Date: 6月 3rd, 2026
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その26)

秋葉原に行くと、オーディオに使える部品を取り扱っている店だけでなく、部品そのものがはっきりと減っていることを感じる。

お金に余裕がある人は買い占めてしまうであろう状況ともいえる。
部品の買い占めに近いことは、昔からやっている人はやっていた。すぐに使う予定はなくとも、いま買っておかなければ──、と思っての行動だろう。

死蔵されている部品も、けっこうあるはず。いつか使う予定だったけど……、そんな部品が、世の中のどこかにあることだろう。

コンデンサーや抵抗といった受動素子、真空管やトランジスターといった能動素子。代替部品を見つけるのが困難なのは能動素子で、真空管よりもトランジスターの方である。

真空管は、ポピュラーなモノならば現在も製造されている。真空管全盛期のクォリティと比較すれば不満もあるが、
それでもなんとか使える真空管が供給されている。

資金に相当な余裕があるオーディオメーカーならば、満足できる真空管のたまに真空管製造メーカーを買収して、
徹底的にクォリティを追求して、全盛期の真空管に匹敵するレベル、さらには上廻るレベルまで求めることも可能だろう。

一方のトランジスター、FETといった半導体はどうだろうか。
オーディオ用としてポピュラーなモノが製造中止になった場合、どうなるか。真空管のようには、まずならない。

少し前にソーシャルメディアで見かけた記事がある。2025年8月の記事だから、すでに読まれている方もいよう。

半導体の製造中止による影響の記事だ。
性能的に代替部品はあっても、音質的に代替部品となるかどうかは別の話。
そうなるとハイエンドオーディオメーカーは、それらの部品を買い占めるのか。部品の取り合いが生じるのか。

そして、それらの半導体を使っていた機器が故障した場合、修理はどうなるのか。

Date: 6月 2nd, 2026
Cate: ディスク/ブック

ジュリーニのバッハ(その4)

(その3)で、見ている世界、聴いている世界と書いたが、思うに、見えている世界、聴こえている世界なのかもしれない、と公開した後に思った。

世の中は、そういうものだ。そういう世の中で、この音はいいとか、この演奏はいいとか悪いとか、各々が語る。

そういう世の中だからこそ、私と同じようにジュリーニのバッハを「美しい」と感じる人と出会えたのなら、その関係は大切にしていきたいし、
反対にジュリーニのバッハなんて退屈でしかないと感じている人との出会いは、私にとって、どうでもいいことでしかない。