My Favorite Things(カセットデッキ篇・その18)
ヨーロッパにおいてテープデッキは積極的な意味での録音器なのだと、いまは思う。
それでも私にとって、ふり返ってみても、そうとはいえなかった。録音しなかったわけではない。
エアチェックはしていた。それでも、私が中学、高校生時代に買ったカセットテープの数は、そう多くはない。
新聞配達のアルバイトで得たお金と小遣い。五十年ほど前のことだから、合わせてもそれほど多かったわけではないから、優先順位が決まってくる。
カセットテープの優先順位は低かった。
この時、身近に生録の機会があったとしても、変らなかっただろう。
そんな私が、やっぱり欲しいと思うのは、この項の最初の方で書いているスチューダーのA710だ。
ルボックスのB710でもいいじゃないか、と言われそうだが、ここはスチューダーが欲しい。
CDプレーヤーで、ルボックスとスチューダーの音の違いは実際に聴いている。
ルボックスのB225とスチューダーのA725、ルボックスのB 226とスチューダーのA727。
この違いを聴いていなければ、ルボックスで満足するだろうが、音の記憶は、こういう時には少しやっかいで、ルボックスのB710をいい音だなぁ、と聴いていたとすると、これがスチューダーだったら──、そんなことを考えてしまうはず。
CDプレーヤーでルボックスとスチューダーの音の違いを聴いてなければ……なのだが、聴いてしまっているのだから、どうしようもない。
B&OのBeocord 9000にも惹かれながらも、A710はいつか自分のモノとしたい。
A710を手に入れたら、積極的な意味での録音器として使うのかと問われたら、いま手元にあるミュージックテープを再生するだけになりそうだ。