Date: 9月 13th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その15)

GASのTHALIAは、中古も見たことがない。ヤフオク!に時々出品されているけれど、落札したことはない。

それほど売れなかったからだろう。私だって、ステレオサウンドで働くようになって、井上先生の音の聴き方に間近で接することができたから、
前回書いたように、瀬川先生と井上先生の二人が評価するオーディオ機器は──、という考えになったけれど、もし、この機会に恵まれていなかったら、どうだっただろうか。

GASのアンプの中で、瀬川先生が評価していたモデルぐらいの認識に留まっていたかもしれない。聴く機会がないオーディオ機器なのだから、そうなっていただろう。

いつかはTHALIAも手に入れたい。
ジェームス・ボンジョルノのファンでもあるから、GASのアンプ全て──、とは考えていない。それでもいくつかは聴いてみたいし、手元にあってほしい。

偶然でしかないのはわかっていても、DB1+DB2とペアとなるパワーアンプ、DB6、THALIAとペアとなるGRANDSON、どちらも出力は40W+40W。

関心のない人には、どうでもいいことなのだが、私は面白いなぁと思うし、うんうん、ともなる。

Date: 9月 12th, 2026
Cate: アナログディスク再生

トーンアームに関するいくつかのこと(リニアトラッキング型・その3)

私が初めて聴いたリニアトラッキング型トーンアームを搭載したプレーヤーは、テクニクスのSL10だ。
レコードジャケットサイズの、このアナログプレーヤーは話題になった。多くの人が、欲しいと思ったであろうSL10は、私も短い期間ではあったが所有していた。

サブのアナログプレーヤーとして、恰好のモデルといえた。持っていた方がよかったかなぁ、とは思っていない。譲ってほしいという人がいたから、手放した。
それでよかったと思っている。SL10のサイズは、邪魔になるわけではないから、使わなくてもそのまま持っているだけで終ってしまいそうだったからだ。

リニアトラッキング型トーンアームといっても、SL10はサブ的なポジションであった。本格的なアナログプレーヤーに搭載されたリニアトラッキングトーンアームを聴いたのは、ステレオサウンドの試聴室での、ゴールドムンドのReferenceだった。

当時はトーレンスのReferenceとほぼ同じ価格だった。
“Reference”の名を持つアナログプレーヤーが、もう一台登場した。
トーレンスはEMTの929トーンアーム、ゴールドムンドは電子制御のリニアトラッキング型。
 型番こそReferenceと同じであっても、雰囲気はまるで違っていた。

トーレンスのReferenceは、熊本にいた時に聴いている。瀬川先生が、最後に熊本に来られた時に、聴いている。
この時の音は別項で書いているので詳細は省くが、ほんとうに凄かった。

その音がまだはっきりと記憶に残っていたからこそ、ゴールドムンドのReferenceにも期待していた。
しかもゴールドムンドはリニアトラッキング型トーンアームだ。

ゴールドムンドのReferenceを聴いて、私はリニアトラッキング型トーンアームへの特別な想いは、捨て去った。

Date: 9月 11th, 2026
Cate: バスレフ(bass reflex)

バスレフ考(その10)

アルテックの620Aと620Bは、エンクロージュアは基本的に同じといえるけれど、バスレフポートの位置と向きが違う。
実際に測ったわけではないが、開口部の寸法は同じだろう。

だとすると620Aと620Bを比較試聴すれば、バスレフポートの位置と向きの違いによる音の変化はどうなるのかを、ある程度は探れる──、となるのか。

私は620Aと620B、どちらも聴いているが、同じ環境で聴いたわけではないから、確かなことは何も言えない。

この点について、多少なりとも書かれている(語られている)のは、ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’80」での岡先生の組合せがある。
     *
 単純かつ明快にいえることで、ミッドパスの下のほう、というよりも、低音の上のほうの音が、まったく欠落した感じで、量感がなくなってしまったわけです。エンクロージュアの問題もあるだろうし、ユニットのf0そのものにも多少かかわっているのでしょうが、604Eから8Gにかけての製品がそなえていた低域の量感が、どうしても聴かれなかったんですよ。
 それから、マンタレーホーンをつけたことによって、高域がややおとなしくなったと思います。ここのところは、よしあしではなく、好みの問題になるでしょうが、この620Bモニターになって、アルテック独特の高域の輝かしさ、スカッとした感じの音色が、かなり薄くなったと思います。
 高域の輝かしさが薄れて、おとなしくなったということは、ある意味では、高域のクォリティがそれだけ向上した、といえるでしょうけれど、問題はそれに見合う中低域が、エネルギー的に若干弱くなったのです。これはユニットそのもののせいもあるかもしれないけれど、ぼくはそれよりもむしろ、バスレフのダクトをタテ長にしたことに理由があるように思います。そのために、低域の、いいかえると低音楽器の低次倍音が出るあたりが、エネルギー的に弱くなってしまったのでしょう。そこで、なんとかならないかというもどかしさを感じるし、まったくアルテックらしからざる音だという感じがするわけです。ことにこの試聴室では、そのへんのところがとくに目立ってしまうんですね。
     *
620Aと620Bとではスピーカーユニットも違う。同じアルテックの同軸型とはいえ、604-8Gと604-8Hではホーンが、マルチセルラからマンタレーになり、ネットワークも、2ウェイ型なのに3ウェイ的なレベル調整が可能なタイプになっている。

それにフェイズプラグも変更されている。ただし604-8Gも後期モデルはタンジェリン型になってたりする。

中高域の鳴り方が変化すれば、下の帯域の鳴り方も変ることは、オーディオマニアならば体験していることだから、620Aと620Bの音の違いは、そう簡単には語れないとはわかったうえで、岡先生の言われていることは、読んだ時から気になっていた。

「いい音を身近に」(音楽室のオーディオ・その2)

学校の音楽室のオーディオ(ステレオと言ったほうがぴったりくる)で思い出すのは、中学校の音楽室のそれだけである。
通っていた高校にも音楽室はあったはずなのに、教室がどんなだったか、ステレオが設置されていたのかも思い出せない。

オーディオで知り合った人たちと、音楽室のオーディオについて話したこともないから、私にとっての音楽室のステレオは、中学生の音楽室だけとなる。

(その1)で書いているように、音楽室にはビクターのコンポーネントが揃えてあった。このシステムは、誰が選んだのか。

導入時の音楽の先生ではなくて、おそらく音楽の授業で必要な楽器やレコードなどを収めていた業者による選択だろう。

市立の中学校だから、予算だって潤沢なわけではなかったろう。予算の中で、一番大きなスピーカーという基準でビクターのFB5になったのかも──、そんなことも思ったりする。

中学卒業は1977年3月だから、CDはない。あったのはLPだったけれど、どんなレコードが揃っていたのかも思い出せない。

不思議と記憶が不鮮明のままだ。

これが音楽大学附属の高校、中学だったり、有名私立の附属校であれば、ずいぶん違うのだろう。

聞いた話なのだが、ある音楽大学の附属校にはKEFの、同軸型ユニット採用のトールボーイ型があったそうだ。時代が違い、学校が違うと、音楽室のオーディオもかなり違ってくる。

Date: 9月 9th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その14)

実を言うと、GASのTHALIAは聴いたことがない。THAEDRAは持っているし、これまでも自分のモノとして、他の人のところでも聴いている。

THAEDRAの下のモデル、THOEBEは一度だけある、というものの、その音について語れるだけの聴き方ではなかった。とりあえず聴けた、というレベルに留まる。

THALIAは実物を見たこともない。
当時のステレオサウンドに載っている試聴記を読むと、THOEBEよりもTHALIAの方に興味がある。

瀬川先生は、THALIAについて、こう、書かれている。
     *
テァドラやセーベほど立派ではないが、反面ナイーヴな音が魅力的。(ステレオサウンド 47号)

 テァドラがその本質的に持っている力をややあからさまに(と私には聴きとれるが)押し出すのに対して、孫のタレイア(サリアと呼ばれているようだが、本来ギリシャ神話からその名を取っていると思うので、)の方は、中〜高音域でえてして張りすぎやすい音域をしまくコントロールしてあるようで、それに加えてハイエンドにかけて軽い強調感が聴きとれることもあいまって、総体にやや細身に仕上っているが、音に繊細なやさしさと、よくひろがってゆく奥行き感とがあって、ややひかえめな感じだが、クラシックの弦合奏や、ヴォーカルでもキングズ・シンガーズのような響きの美しさやハーモニィを重視した曲の場合に、GAS三機種の中ではこれが私には最も好ましかった。(世界のコントロールあとパワーアンプ)
     *
THALIAを高く評価していた井上先生は、こう書かれている。
     *
現代アンプとしては、力強く彫りの深い音をもつ爽やかな製品。(ステレオサウンド 47号)

 クリアーで反応の早い音をもつコントロールアンプである。
 聴感上での周波数レンジはかなりフラットレスポンス型で、バランス的にはローエンドが抑えられており、中域は米国系のアンプとしてはやや薄いタイプである。音色は明るく軽く、音の粒子は細かく充分に磨かれている。
 音の表情はフレッシュでみずみずしく、キメの細かい鮮鋭さでは、上級機種のテァドラIIやセータよりも明らかに一枚上手である。基本的なクォリティは充分に高く、音の緻密さがあり、この価格帯の国内製品と比較すれば、いきいきとした伸びやかな音をもつ点で出色のコントロールアンプと思う。(世界のコントロールアンプとパワーアンプ)
     *
他の人はどうなのか知らないが、私は瀬川先生と井上先生が評価しているオーディオ機器は、私にとってかなり高く評価できるモノであることがほとんどだから、
一度も聴いたことがないTHALIAでも、その音は、私がイメージしている音そのものといえる、と確信している。

そして、THALIAの音を想像するたびに、DB1+DB2のライバル機種だと感じるし、比較試聴してみたくなる。

Date: 9月 8th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来る(その13)

プアマンズ・レビンソンは、1970年代後半、DBシステムズのDB1+DB2と書いている。

ではDB1+DB2のライバル機は、当時発売されていたコントロールアンプのどれなのか。

1977年版のHI-FI STEREO GUIDEから、同価格帯のアンプを(その2)でいくつか挙げている。
この中では、AGIの511をDB1+DB2のライバル機として挙げる(思い浮かべる)人が多いと思う。私も当時はそう思っていた。

瀬川先生が熊本のオーディオ店に来られた時の比較試聴でも、511(ブラックパネル)とDB1+DB2は聴いている。価格も近い。どららも新興メーカーのデビュー作。さらには輸入元は、どちらもRFエンタープライゼスだった。

しばらくはそう思っていた。それが変ってきたのは、GASのTHAEDRAを聴いてからだった。

THAEDRAを聴いてすぐに考えが変ったわけではなく、ジェームズ・ボンジョルノへの関心が強く増していくとともに、私の中ではTHALIAの存在が、DB1+DB2のライバル機としても、その大きさを増していくようになった。

Date: 9月 7th, 2026
Cate: ディスク/ブック, 映画

今日の日はさようなら(その2)

(その1)を書いた7月30日の時点では、ストリーミングで映画「ちいかわ」のサウンドトラックは配信されていなかった。

二日前に、試しにと、もう一度検索したところ、「ちいかわ」のサウンドトラックが、part1、part2とも配信が始まっていた。

「今日の日はさようなら」も、二つの「今日の日はさようなら」が聴ける。

ほぼ一ヵ月ぶりに「今日の日はさようなら」を聴いた。印象に残っているのは、ハチワレ版である。ハチワレの声優は十六歳の少年。

私が、音楽の授業で「今日の日はさようなら」を歌っていた(歌わされていた)のは、小学生か中学生の頃。十六歳よりは若かったけれど、近かったころ身近にあった歌だ。

だからなのかなぁ、と(その1)で書いたことを思っている。

Date: 9月 6th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来た(その7)

目の前にあるから、思うこと、思い出すことがある。

昨晩、ふとおもったのは、岩崎先生は、DB1+DB2をどう評価されたかたった。
岩崎先生は1977年3月に亡くなられている。DBシステムズの音は聴かれていないはずだ。

もし聴かれていたら──。
誰もその問いへのはっきりとした答は出せないだろうが、それでも私は、高い評価をされていただろうと思う。

DB1+DB2を初めて聴いた高校生のころは、こんなことはまるっきり考えもしなかった。
ステレオサウンドの特集で、新しい輸入的での取り扱いが始まってのDBR15Bを聴いた時も、考えもしなかった。

そこからずいぶん経って、いまやっと、そうおもい考えている。

岩崎先生は、ダルクィストのスピーカーシステム、DQ10を高く評価されていた。
DQ10とDB1+DB2に、共通する何かを感じるかどうかで、その答は違ってくる。

だから私が、こう書いていても、賛同する人もいれば否定する人もいていい。

朝沼予史宏さんとDBシステムズの話をした時に、いまおもい考えていることを問いかけたら──、とも思っている。

岩崎先生と朝沼予史宏さんとの関係を知ってるから、そう思う。

Date: 9月 5th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

アンチテーゼとしての「音」(アンチ「自己」・その5)

早瀬文雄(舘 一男)さんは、私が知る限り(聴いている限り)でも、かなりの数のスピーカーシステムを鳴らされている。

割合でいえばJBLが多いけれど、いろんなメーカーのスピーカーを鳴らされている。JBLには強いこだわりがあっても、それ以外のブランドに関してはそれほどでもなかったと感じるほど、
登場したばかりの新しいブランドのスピーカーでも、その音が気に入れば、すぐさま購入して鳴らされていた。

けれどアルテックは……。
私の記憶では、604-8Gの前に、フルレンジユニットの409-8Dを、米松合板の小型エンクロージュアに入れて、という時期が、わずかだけどあった。

この409-8Dは、共通の知人が、余っているからと、舘さんと私に1ペアずつくれたモノ。なので舘さんが購入したアルテックではない。

舘さんが購入した最初のアルテックは、京都での604-8Gのはず。実は、この604-8Gは、上の共通の知人から購入したモノ。

元箱付きの、新品に近いコンディションということで購入した604-8Gが、トゥイーターの断線。
舘さんの落ち込みようはすでに書いているが、続いての、その知人への悪態も、記憶に残っている。

落ち込み方と悪態から、本気でアルテックに取り組もうとしていたことを、隣で感じていた。
そして、そのことが意外であった。舘さんの嫌いな音、もっといえば拒絶する音を知っていたからだ。

Date: 9月 4th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

DBシステムズ DB1+DB2がやって来た(その6)

1954年に制定されたRIAAカーヴは、三つの時定数(3180μs/318μs/75μs)から成っている。

1976年にIEC-RIAAカーヴが発表になった。20Hz以下の低域をカットするために、7950μsという四つめの時定数が追加になった。

私は、当時読んでいた電波科学でそのことを知った。そしてDBシステムズのDB1+DB2が、最も早く、この改訂版RIAAカーヴに対応していることも知った。

トーンコントロールを持たないDB1だが、フィルターはハイカット、ローカットがついている。

ハイカットフィルターは、5kHz、10kHzが選択でき、減衰カーヴは6dB/oct.。
ローカットフィルターは、20Hzと36Hzが選択でき、こちらも減衰カーヴは6dB/oct.。

ハイカットフィルターはラインアンプ部にあるため、フォノ入力、ライン入力、つまり全ての入力に対して有効だが、ローカットはフォノ入力のみ、という仕様。

DB1+DB2がやって来て、そうだったなぁ、と思い出し、朝沼予史宏さんDBシステムズを使われていた時、この話をしたら、もっと詳しく教えてほしい、と言われたことも思い出す。

Date: 9月 3rd, 2026
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(アンチ「自己」・その4)

JBLのフラッグシップモデルであるDD66000を鳴らしているのに、なぜ、アルテックを鳴らそうとするのか。

当時の早瀬文雄(舘 一男)さんのリスニングルームに入って、そのことを思っていた。

この時、アルテックは名前だけの存在になってしまっていた。A7、A5、620A(B)、6041といったスピーカーシステムはもちろんなかったし、代わりとなるモデルもなかった。

中古のアルテックから、何を選ぶか。舘さんは、スピーカーユニットの604-8Gを選んだ。エンクロージュアは620Aとどうとうの大きさのモノを特注していた。

そのエンクロージュアは、私が京都に着く少し前に到着したらしくて、二人で604-8Gを取り付けた。

舘さんは、どんな音で鳴ってくれるのか、とワクワクしていた。私はというと、DD66000がかなりいい音で鳴っていたから、いまさらアルテック……、という気持があったことは否定しない。

それでも久しぶりに聴く604-8Gは、どんな音で鳴ってくれるのか。がっかりするのか、それとも、やっぱりアルテック! と思える音が聴けるのか。

604-8Gを取り付け、DD66000の前まで運んで、結線。ボリュウムをあげる。

接続ミスしたのか──。二人で確認しているから、間違ってはいない。けれどウーファーしか鳴っていない。トゥイーターが、両チャンネルとも鳴っていない。

604-8Gを外す。トゥイーターのバックカバーを外す。するとダイアフラムのリボン状のリード線が、どちらも断線していた。

この時の舘さんの落ち込みようは、いまでも思い出せるほどだった。

Date: 9月 2nd, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その17)

1980年代の秋葉原はオーディオの街だった。私がステラヴォックスの実機を初めて見たのは、秋葉原のサトームセンのオーディオのフロアだった。

この時代のサトームセンはオーディオにかなり力を入れていた。マークレビンソンのHQDシステムも展示してあった。そのフロアのガラスケースの中にあった。

それまで写真でしか見たことがなかったモデルが、ガラス越しとはいえ目の前にある。触れないし音も聴けないけれど、これがステラヴォックスなのか、という実感だけで満足できていた。

ステラヴォックスとナグラ、どちらが優れているのかは私にはどうでもいいことで、どちらも欲しいと思うけれど、どちらかと問われればステラヴォックスと答えるぐらいの違いだ。

それにナグラはSNNというモデルがあった。SNNに相当するモデルは、ステラヴォックスにはなかった。

SNNは外形寸法W14.7×H2.6×D10.0cm、重量0.574kg(テープ、電池を含む)で、まさに手のひらサイズのオープンリールデッキ。

テープ速度は4.75cm/secと9.5cm/secで、録音時間は27分(18μテープ、9.5cm/sec)、1時間48分(9μテープ、4.75cm/sec)。

電源は単三電池二本使用。おそらくだが、この単三電池二本だけで、1時間48分の録音は可能だったと思われる。

コンパクトにつくるだけでなく、省電力も実現していたわけで、SNNにはオーディオマニアとしてではなく、モノマニアとして強く惹かれる。

SNNは940,000円(1981年)していた。SNNは欲しいという気持よりも一度使ってみたい、という気持の方が強い。

そんなSNNを出していたナグラから、1982年にT-Audioが登場した。ポータブル機器専門メーカーだと思っていたナグラが、据置型のオープンリールデッキを出してきた。

価格は3,500,000円。このころアンペックスのATR102は4,000,000円、スチューダーのA80が3,990,000円、テレフンケンのMagnetophon15A-S/VUが6,240,000だったから、特別に高価だったわけではない。

Date: 9月 1st, 2026
Cate: 「ネットワーク」

dividing, combining and filtering(その6)

世の中は、情報と回転で構成されている。
唐突だけど、ここにきて、そう思うようになった。

Date: 8月 31st, 2026
Cate: ALTEC

ALTEC A4(その9)

昨日(8月30日)は、サンデー・ほっとの三回目だった。
前回(6月)はHさんを、今回はFさんを誘って行ってきた。

二ヵ月ぶりに聴くアルテックのA4。
このA4は、すでに書いているように直列型ネットワークで鳴っている。減衰カーヴは6dB、クロスオーバー周波数は500Hzで、コンデンサーとコイルの値を計算している。

アッテネーターはラックスのAS10。フィルムコンデンサーとコイルは秋葉原で購入したムンドルフ製。といってもムンドルフの一番高価なモノではなく、安価ではないが、ごく当たり前のモノ。

特に凝った部品を選んでいるわけではない。コンデンサーはできればASCを使いたかったが、4月の時点ですでに製造中止になっていて、容量の大きなものは入手できなかった。

アルテックのオリジナルのネットワークとは、だからずいぶんと違う仕様になっている。オリジナルを尊重すべき、という意見の人もいよう。

でも、私はそういう変なこだわりは持たない。それで上記のようなネットワークになった、というかしたわけだが、直列型ネットワークは好評のようだ。

今回は、Tさんも来られた。二年ぶりに会うTさんはこのA4の音に、かなり驚かれていた。
会場に入ってきた時に鳴っていた音は、アルテックというよりも、ウェスタンの音と感じた、と話された。

Tさんは、一年ほど前の無線と実験に登場されている。

Date: 8月 30th, 2026
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(post-truth・その11)

「関係者から直接聴いている」から、私は一次情報をもとに話している──。

こんなことを言う人けっこういる。一次情報ということをことさら強調する。

けれど、そう言ってきた人が一次情報だと信じていた人が、そうではなかった例を、いくつか知っている。二次情報を一次情報だと信じて、疑おうとしない。

それでも一次情報と二次情報が全く同じであれば問題は特にないけれど、そういう例に限って微妙な違いがあったりする。

一次情報、一次情報……、とくり返す人ほど検証しないようだ。自分にとって都合のよいことを一次情報だとしているだけなのに、そのことすら振り返ろうとはしない。

インターネットのとてつもない普及と生成AIが生み出す情報は、一次情報なのか、二次情報なのか、それとも零次情報とあったらいいのだろうか。