Date: 3月 13th, 2026
Cate: BBCモニター, LS3/5A

BBCモニター考(LS3/5Aのこと・その32)

LS3/5Aが、いまも高い評価で、中古市場でもなかなかの値段がついているのは知っている。
11Ω仕様のモデルよりも15Ω仕様のモデルは、さらに高く取り引きされている。

ヤフオク!に、グッドマンのLS3/5Aが出品されていた。
15Ω仕様である。
グッドマンのLS3/5Aがある、ということは知っていた。とはいえなんとなく知っていた、という程度で、
実物を目にしたことはなかった。

今回、ヤフオク!に出品されているのを見て、やっぱりあったのか、と思ったし、
スピーカー端子を見て、相当に古いモノだな、とも思っていた。

どんな音がするのか、聴いてみたいと、LS3/5Aに興味がある人ならば、そう思うだろう。

私が出品されているのに気づいた時点で、すでに30万円を超えていた。
どこまで値が上がるのか。50万円を突破するのか、と思っていたら、66万円を超えていた。

欲しい人が複数いれば、オークションだから値は上がっていく。
なんとしてでも手に入れたい人が二人以上いれば、思わぬ値がつくのはわかっていても、66万円という落札価格を見ると、
どういう人が落札したのかを、勝手に想像してしまう。

LS3/5Aマニアが世の中にはいる。各ブランドから出たLS3/5Aを全て蒐集したい人はいる。
そういう人が落札したのかもしれないし、グッドマンのLS3/5Aは珍しいから、投資目的もあって落札した人なのかもしれない。

どんな人なのかは想像するしかないのだが、落札した人と最後まで応札した人がいるわけで、その二人によって66万円までになってしまったのだが、
ただすごいですね、と感心するだけではおさまらぬ何かを感じている。

グッドマンのLS3/5Aに、66万円の価値があるのか。それを判断するのは誰か。

グッドマンのLS3/5Aに、それだけの価値はない──、と言いたいわけではない。聴いたことがないグッドマンのLS3/5Aだし、
もしかすると、その音を聴くと、それだけのお金を払っても手に入れたいという気持はわかる──、となるもしれない。

でも、私はグッドマンのLS3/5Aを聴いたことがない。これ以上のことは言えないのだが、落札した人はグッドマンのLS3/5Aを聴いたことがあるのかは、気になる。

Date: 3月 12th, 2026
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その27)

メリディアンの218を導入して、五年以上。
最初の一年は、あれこれ手を加えてはaudio wednesdayに持参して、その音を聴いてもらっていた。

私が使っている218と同じ手を加えたのは、つい最近一台頼まれてやったので、四台になる。

いま鳴らしている218に、大きな不満はない。これが最高とは言わないけれど、このサイズと価格で、MQAの音を見事に再生してくれるのを聴いていると、
218に、これ以上、手を加えるのは終りにしよう、三年ほど前に思った。

でも同じ仕様の218が、私のを含めて五台なのは、うーんと思うところがある。
もう一段階やろうと考えていたことがある。材料の選定と、別の材料の手持ちが心細くなっていたので、手をつけなかったが、
使えそうな材料を見つけたし、もう一つの材料もヤフオク!で手に入れたから、ようやくやろうと考えている。

早ければ4月のaudio wednesdayに持っていく予定だ。

Date: 3月 11th, 2026
Cate: ALTEC

ALTEC A4(その3)

アルテックのA4のエンクロージュアは、210と呼ばれるモノで、外形寸法はW82.6×H213.4×D100.3cmのフロントショートホーン型だ。

これに左右にウイング(サブバッフル)がつくと、横幅は204.5cmとなる。この状態での重量は201kgと発表されている。

A4は、この210エンクロージュアに、15インチ口径のウーファーを二発収め、なんらかのホーン型トゥイーターを上にのせたシステムである。

ウーファーは515が標準で、中高域を受け持つコンプレッションドライバーは288とマルチセルラホーンの1505の組合せがよく知られている。

今回のA4は、515Eと288-16Kが使われている。どちらもフェライトマグネットである。

210の上に1505がのることで、システムの高さは42.5cm増す。
213.4cm+42.5cmで、255.9cmとなる。

三年ほど前、私が行った時は、ドライバーとホーンが210の上になかったので、まずドライバーとホーンを210の上まで持ち上げなければならない。

だから脚立が必要となる。とはいえ脚立が一つしかなかったから、持ち上げるだけでも一仕事だ。

Date: 3月 10th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(チューナー篇・その19)

(その1)でチューナー篇から書き始めたのは、たまたま目の前にあったステレオサウンド別冊の表紙にセクエラがあったからだ、と書いている。

そうなのだが、もう一つ理由があって、チューナーはほぼ新製品が登場しないからだ。
ステレオサウンドのベストバイでも以前はチューナーのカテゴリーがあった。
いまではない。当然だろう。

いまチューナーの新製品といえば、毎年登場するわけではない。マッキントッシュとアキュフェーズが比較的新しい製品を出しているとはいえ、
昔と今とではチューナーの存在は薄くなりつつある。

チューナーを持っていないオーディオマニアがいても不思議ではない。

この項のチューナー篇を書いていて、ケンウッドのL02T以降のチューナーには、関心がない。
セクエラのModel 1が復活した時は、おおっ、と思ったが、それが最後だった。

これから先もチューナーの新製品は、数は少ないだろうが登場するだろう。高価なチューナーも現れるかもしれないが、その登場に昂奮することはないと思っている。

L02Tはすでに書いているように、どうしても欲しいとまでは思っていない。
私が欲しいと思っているチューナーの中で新しいモノとなると、アキュフェーズのT104である。

マランツのModel 10Bとセクエラを別格として、この二つのモデルよりも身近なチューナーとして欲しいモノは、
パイオニアのExclusive F3、ケンウッドのL01T、アキュフェーズのT104が並ぶわけだが、
ここまで書いてきて思い出すのは、ステレオサウンド 55号のベストバイである。

55号のベストバイの巻頭には、オーディオ評論家それぞれのベストバイ観があり、My BestBuyとして、各ジャンルから三機種ずつ選んでいる。

瀬川先生のチューナーのベスト3が、Exclusive F3とL01TとT104なのを思い出している。

Date: 3月 9th, 2026
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とaudio wednesday)

渋谷でaudio wednesdayをやるようになって、毎回、MQAと通常のCDとの聴き比べをやっている。

先日のaudio wednesdayでも初参加の方が二人いらっしゃったのでやった。

D/Aコンバーターは、メリディアンの218。
渋谷のぴあ分室のシステムの中では218が、もっとも安価な製品。それでも218と通して聴くMQA-CDのフルデコードの音は、鮮明だ。

鮮明な音という表現はよく使われるが、この「鮮明な音」もまた、使う人によって随分と違ってくる。
こんな音を鮮明というのか、この人は、と思ったことは数えきれないほどある。

鮮明な音も、また誤解されてすぎていると感じている。

MQAで、マイルス・デイヴィスとカルロス・クライバーを鳴らした。
鮮明だ、と驚かれていた。

そうだろう、そうだろうと心の中で思っていた。
なのでこれからも新しく参加された方がいらっしゃったら、MQAとの比較を行っていく。

Date: 3月 8th, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十五夜を終えて

渋谷に場所を移して四回のaudio wednesdayを終えて感じているのは、何か流れが生まれてきたかなぁ、だ。

ダイヤソウルのスピーカーは、audio wednesday以前に昨年8月に二度聴いている。その時の印象では、クラシックを鳴らすのは難しいな、だった。

それでもスピーカーを他のモノにすることはできないから、鳴らしていくしかない。
8月のころと、ずいぶん印象は私の中で変ってきた。8月に一緒に聴いた人も、変ったという感想だった。

何かを大きく変えたわけではない。ちょっとしたことをやっただけだ。
スピーカーケーブルやラインケーブル、電源コードにインシュレーターなどといったアクセサリーを持ち込んで交換したわけではない。

高価なアクセサリー類をいっぱい持ち込んで、それまでの音とはガラッと違う音を出すことは、誰にでもできる簡単なことだ。

それで「どうだ!」と自慢する人もオーディオマニアの中にはいると聞いている。その程度のことを音響調整と豪語する、らしい。

それはそれで、聴いた人が満足していれば、私があれこれ言うことではない。
お好きにどうぞ、と言うだけだ。

そんなレベルのことはaudio wednesdayではやりたくない。やるつもりは全くない。

そういうことではなくて、音を良くしていく流れを作っていく(生み出していく)ことこそ大事だし、音響調整だと思っている。

Date: 3月 7th, 2026
Cate: ALTEC
1 msg

ALTEC A4(その2)

アルテックのA4と同規模のスピーカーシステムに、ヴァイタヴォックスのBassBinがある。

アメリカのアルテック、イギリスのヴァイタヴォックス。
どちら一つだけ聴く機会をもらえるのであれば、BassBinと即答する。

BassBinは、一度、夢に登場したことがある。A4は、いまのところない。

A4にしてもBassBinにしても、これだけの規模のスピーカーとなると、その音を想像しようとしても、なかなか難しい。
想像するための元となる音がないからともいえる。

アルテックのA7、A5があるではないかといわれそうだが、規模が違いすぎるとしか思えない。

長いことオーディオをやっていると、不思議な縁が生じてくることがある。
三年ほど前に、連絡があった。部屋の奥にしまい込んだままになっているスピーカーを鳴らしたいから、手を貸してほしい、と。

そのスピーカーがA4だった。
大きいことはわかっていても、実際に目の前にA4があると、でかい……、という言葉しか最初は出てこない。

劇場に置いてあるのならば、このきぼスピーカーは必要だな、と思うだろうが、広いとはいえ個人の住宅に置かれたA4は、見上げることになる。

そして脚立が必要になる。

Date: 3月 6th, 2026
Cate: ALTEC

ALTEC A4(その1)

アルテックのA4ときいて、どんなスピーカー、すぐに思い浮かべられる人は意外に少ない。

A5やA7は、ある程度キャリアのあるオーディオマニならば、ほぼみんな知っている。

使用ユニットや仕様について細かなことは知らなくても、こういうスピーカーというイメージは、すぐに思い描ける。

ところがA4となると、どんなスピーカーでしたっけ? もしくはそんなスピーカー、ありましたっけ? だったりする。

無理もないと思う。A4を見たこと(聴いたことではなく)がある人だって少ない。A4を知っている人でも写真でしか知らない──、そういう存在である。

ステレオサウンド 60号に、そのA4が登場している。
     *
瀬川 ただ、幸か不幸か、日本の住宅事情を考えますと、きょうはここは54畳ですね。ここでA4を鳴らすと、もうA4では部屋からはみ出しますね。大きすぎる。A5になって、どうやら、ちょうどこの部屋に似あうかな、でも、もうすこし部屋が広くてもいいなという感じになってくるでしょう。
 ただ現実にはわれわれ日本のオーディオファンは、A5を6畳に入れている人が現にいますよね。一生懸命鳴らして、もちろん、それはそれなりにいい音が出ているけれども、きょうここで聴いた、この開放的な朗々と明るく響く、しかもなんとも言えないチャーミングな声が聴こえてくる。このアルテック本来の特徴が残念ながら、われわれの部屋ではちょっと出しきれません。どんなに調整しこんでも……。
 逆に菅野さんが言われたように、このシリーズはクラシックが鳴りにくいと言われた、それがむずかしいと言われた。むしろ6畳なんかでアルテックを鳴らしている人は、そっちのほうに挑戦してますね。
 つまり、このスピーカーは、ほっとくとどこまでも走っていきたくなるあばれ馬みたいなところがある。そこがまた魅力でもあるんだけれども、そこをおさえこみ、おさえこみしないと、6畳ですぐそばじゃとっても聴けないですね。そこをまたおさえこむテクニックはたいしたものだと、ぼくは思います。実際、そういう人の音をなん度も聴かせてもらっているけれども。
 でも、それが決してアルテックの本領じゃない。やっぱり、アルテックの本領は、この明るさ、解き放たれた自在さ、そしてこれは今日的なモニタースピーカーのように、原音にどれほど忠実かという方向ではないことは、このさい、はっきりしておかなくちゃいけない。物理的にどこまで忠実に迫ろうかというんじゃなくて、ひとつの音とか音楽を、ひとりひとりが心のなかで受けとめて、スピーカーから鳴る音としてこうあってほしいな、という、なにか潜在的な願望を、スッと音に出してくれるところがありますね。
 実にたのしいと思うんです。この音を聴いてても、ぜったい原音と似てないですよ。だけど、さっきサウンド・トラック盤をかけた、あるいはヴォーカルをかけた、あのときの歌い手の声の、なんとも言えず艶があって、張りがあって、非常に言葉が明瞭に聴き取れながら、しかも力がある。しかし、その力はあらわに出てこない。なんともこころよい感じがする。
 あの鳴り方は、これぞ〈アメリカン・サウンド〉だ、と。
     *
A5、A7も劇場用スピーカーだが、A4はさらに大きな劇場用スピーカーである。
どんなスピーカーですか、訊かれて、A7の四倍くらいの大きさです、とつい言ってしまったが、そのくらいの規模である。

ステレオサウンド 60号を読みながら、私が求める音ではないだろうけど、一度聴いてみたい……、でも聴く機会は訪れないだろうな……と思っていた。

ステレオサウンドで働いていた時も、その機会はなかった。

Date: 3月 5th, 2026
Cate: ディスク/ブック

conversations with christian

クリスチャン・マクブライドの“conversations with christian”。

このCDも知らないしクリスチャン・マクブライドも知らなかった。

昨晩のaudio wednesdayに初めて来られたKさんが持ってこられたCD。
一曲目を希望された。

ジャケットを見れば、ジャズなんだろうな、と思いながらボリュウムは、やや大きめにセット。

最初に鳴ってきたベースの音。そして女性ヴォーカル。聴き覚えのある声。アンジェリーク・キジョーだった。

2019年のOTOTENでブースにはいったとき、ちょうどかかっていたのが、アンジェリーク・キジョーの“Summer Time”だった。

それからだ、アンジェリーク・キジョーを聴くようになったのは。

アンジェリーク・キジョーが、“conversations with christian”に参加していることを全く知らなかっただけに、これだけでも驚きだったけれど、
このアルバム自体が、驚きだった。

2011年に発売のディスクだが、昨晩来られた人は、Kさん以外、初めて聴くディスクだった。みんなにとって驚きだったようだ。

一曲目だけでなく個人的関心から二曲目、三曲目、十三曲目も聴いた。
ビリンバウというブラジルの民族楽器が聴ける十三曲目。

ここで、また別の驚きがあったけれど、ここでは省く。

とにかく昨晩のaudio wednesdayでの最大の収穫は、この“conversations with christian”だった。
TIDAL、Qobuzでは96kHz、24ビットで聴ける。

Date: 3月 4th, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十六夜

4月のaudio wednesdayは、1日ではなく8日、15日、22日のどこかになりそうです。
決まり次第、案内します。

8月21日から9月27日のどこかで大阪に行く予定ですので、場所の都合がつけば、大阪で開催できればと考えています。

Date: 3月 3rd, 2026
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(その37・さらに追補)

その37)で、1988年に日本フォノグラムから発売されたノーノイズCDのことを書いた。
(その37・補足)で、それらノーノイズCDのいくつかがTIDALで聴けることを書いた。

今日、あるところでiZotopeを聴いた。

iZotopeは、なんとなく知っていた。かなり効果的だとの評価も聞いていたけれど、そこまでだった。
今日、ようやくiZotopeでノイズ処理された音源を、処理前の音源と比較できた。

かなり盤質の悪いSP盤からの復刻。
このSP盤からの取り込みには私も参加しているので、どれだけのノイズがあったのはわかっている。

それをA/D変換した(処理前)の音も聴いている。今日、iZotopeでノイズを除去した音を聴いた。

1988年、ノーノイズCDのサンプル盤を聴いている。このサンプル盤には、ノーノイズ処理前と処理後の音が収録されていて、その効果を比較試聴で確かめることができた。

ノーノイズCDに否定的な意見は当時もあった。サンプル盤には当然だが、うまくいった例だけを収録していたのだろうが、
聴けば、かなり効果的なことはすぐにわかる。それまでのアナログ信号処理では不可能といえるノイズ処理である。

それからほぼ四十年。
iZotopeは、デジタル信号処理によるノイズ除去技術のレベルが静かに進歩していることを感じさせた。

自分でいじってみたわけではないから、細かなことまで判断できるわけではないものの、
ノーノイズCDが四十年前に感じさせてくれた期待を、私はまた感じとれた。

Date: 3月 3rd, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十五夜(いよいよ明日)

明日(3月4日)は、渋谷に移ってから四回目のaudio wednesday。

鳴らすシステムは、先月とあまり変化はないが、何かしらを変えていこうと考えている。
明日は、初めて来られる方が二人の予定。月一回の会をずっと続けていると、こうやって会える人がいることでもある。

大きな変化こそないが、少しずつ変化していく。そこに流れがある。

Date: 3月 2nd, 2026
Cate: 「ルードウィヒ・B」

春くらり(その3)

「春くらり」が、今日公開された23話で終ってしまった。

(その2)で、
「春くらり」もそうなるのかもしれない。十年後か二十年後くらいにふと思い出して、また読む。
その時、どうおもいながら読むのだろうか、
と、書いた。

5月8日発売の第三巻で完結する。もちろん買う。
暗記するほどくり返し読んでいるのに、それでも買うのは十年後か二十年後くらいに、ふと思い出して読むためでもある。

いまはマガポケというスマートフォン用のアプリで読めるが、十年後、二十年後はどうなっているのかは、誰にも予測できないはずだ。

十年後、二十年後、スマートフォン(これすらどうなっているのかもわからない)で読める保証はない。

たわいないマンガなんて、十年後、二十年後、読めなくなっていても、どうでもいいことだろう、それよりもっと別の本を紙の本で持っておくべきでは──が正論だろう。

でも、いわゆる名作は、どんなフォーマットになっているかは何ともいえないが、何らかのフォーマットで読まれているだろう。
だから、そういう名作よりも私は「春くらり」を、十年後であっても二十年後であっても確実に読めるフォーマットとして、
紙の単行本を買う。

Date: 3月 1st, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(チューナー篇・その18)

ケンウッドのL02A、L02Tは、ステレオサウンドの試聴室で何度か聴いている。
くり返し聴くことができたのは、プリメインアンプのL02Aのほうで、チューナーのL02Tの方は、一度だけだった。

音を聴かなくとも、カタログやオーディオ雑誌の記事、それに実物を目の前にすれば、すごいと多くの人が感じたはずだ。

L02Aについてプリメインアンプ篇で書くことになるだろうから、ここではL02Tだけについて書く。

L02Tが登場したころ、オーディオをやっていた人は、セクエラのModel 1とL02T、どちらが高性能なのだろうか、と頭の中で比較したと思う。

L02Tは300,000円。セクエラは1,480,000円。
日本製とアメリカ製の違いがあって、単純にこの価格差だけでは比較の対象とはならないクラスであっても、
L02Tの内容を知るほど、どうなのだろうか、という興味は募っていった。

L01Tでは、そんなことは思わなかった。

以前、別項で書いているように、ステレオサウンドの試聴室でL02Tとナカミチのカセットデッキ、700ZXEとで、シルヴィア・シャシュの日本公演の放送を録音したことがある。

L02Tを聴いたのは、この時かぎり。仕事ではない録音だし、他のチューナーと比較試聴したわけでもない。
それにステレオサウンドの試聴室でチューナーを聴いたのも、この一回かぎりだった。

なので聴いたとはいえ、どれだけの実力なのかの判断基準があったわけではない。
単純に、最高といえる(それに近い)チューナーとカセットデッキで、大好きなシルヴィア・シャシュの公演を録音していることが嬉しかった。

ステレオサウンドで働いていたからできたことで、そうでなければ普及クラスのチューナーとカセットデッキでの録音がやっとだっただろう。

そういう個人的な思い出があるL02Tだけに両方欲しいと思いながらも、誰かにL01Tとどちらかが欲しいときかれたら、L01Tと答える。

Date: 2月 28th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(チューナー篇・その17)

パイオニアのエクスクルーシヴ・ブランド、
トリオのケンウッド・ブランド。

どちらも同じようなところを目指しているように見ている人もいただろうが、エクスクルーシヴ・ブランドとケンウッド・ブランドには、はっきりと違いがあった。

ケンウッドは意欲的といえたし、もっといえば少しばかり実験的なところがあった。

ケンウッド・ブランドの最初のモデル、L01AとL01Tは、その後のケンウッド・ブランドのモデルと比較してもそうだった。

ケンウッド・ブランドの次のモデルはアナログプレーヤーのL07Dだった。
高剛性を追求し、ゴムなどの弾性体を排除する方向で開発されている。

曖昧な素材を排除して、高剛性と重量で、アナログプレーヤーの問題に対処するのは、
マニアックなアマチュア的アプローチともいえる。

それでも当時は、高剛性追求が一つの流れとしてあった。
L07Dは、L01Dではなかった。
ケンウッド・ブランドであっても、01と07は違っていた。この点も、エクスクルーシヴ・ブランドでは起こらなかったはずだ。

その次のモデルは、待望のセパレートアンプだった。私はL01Aのセパレートアンプ版を期待していたが、出てきた製品は違っていた。

そして、その次のモデルが、ケンウッド・ブランドの集大成といっていいL02AとL02Tだった。