Date: 8月 9th, 2025
Cate: High Resolution

MQAのこれから(新譜CD)

MQA推しの私でも、ここ最近のMQA-CDの発売状況は、寂しく感じている。

それでもまったく発売されなくなったわけではなく、
ユニバーサルミュージックは、数は少なくなっているものの、
いまでもMQA-CDの新譜を出してくれている。

それから麻倉怜士氏と潮晴男氏によるUltra Art Recordからは、
情家みえの新譜が、やはりMQA-CDで発売になることは、
オーディオ関係のウェブサイトで紹介されている。

この他にも、MQA-CDを出しているところがある。
昨晩知ったばかりの会社で、
東武レコーディングスという。

これまでは通常のCDだけだったのが、今年になりMQA-CDでも発売するようになった。

今日現在で発売されているのは、「ピアノ4手によるチャイコフスキー:交響曲全集」の一枚だけだが、
今月下旬には、クレンペラー指揮エルサレム交響楽団によるマーラーの交響曲第九番が、
MQA-CDでも発売される。

売れ行きのよいCDを新たにMQA-CDとして発売しているようで、個人的にはフランス・ブリュッヘンもMQA-CDで出してほしいところ。

Date: 8月 8th, 2025
Cate: audio wednesday, ディスク/ブック

クラシック音楽における自然描写(さそうあきら氏の選曲)

8月6日のaudio wednesdayで、さそうあきら氏の選曲リスト。

ベートーヴェン:交響曲第六番「田園」 第一楽章
カール・ベーム/ウィーンフィルハーモニー

クープラン:「葦」、「オリーブ搾汁器」
クリストフ・ルセ(チェンバロ)

ラモー:「めんどり」、「野蛮人たち」
オリヴィエ・ボーモン(チェンバロ)

ラヴェル:「水の戯れ」
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

ドビュッシー:「水の反映」、「雪が踊っている」
アルトゥール・ベネデッティ・ミケランジェリ(ピアノ)

ディーリアス:「春初めてのカッコウの声を聴いて」
アンドリュー・デイヴィス/BBC交響楽団

バルトーク:弦楽四重奏曲第四番 第三楽章
アルバン・ベルク弦楽四重奏団

バルトーク:組曲「戸外にて」より「夜の音楽」
ゾルターン・コチシュ(ピアノ)

メシアン:「クロウタドリ」
エマニュエル・パユ(フルート)、エリック・ル・サージュ(ピアノ)

メシアン:「キガシラコウライウグイス」
アナトール・ウゴルスキ(ピアノ)

マーラー:交響曲第九番 第一楽章
サー・サイモン・ラトル/ベルリンフィルハーモニー

当日は、さそうあきら氏の解説付き、そして絵付きだった。

ベームの「田園」は、音楽を聴き始めたころのさそうあきら氏を虜にした音楽(演奏)。

Date: 8月 7th, 2025
Cate: ディスク/ブック

ソリの道をさがして

昨晩のaudio wednesdayの休憩時間に、さそうあきら氏の奥さまのリクエストでかけたCDが、
「池成子伽琴独奏のための南道民謡・雑歌 ソリの道をさがして」である。

伽耶琴(かやぐむ)の録音。
このCDが、とても新鮮だった。
ジャケットを見れば、韓国の琴なんだろうな、と、そのくらいのことはわかっても、
鳴ってきた音は、生々しくすごかった。
リアリティがとてもある。

ウェストレックス・ロンドンで聴いたのも良かったのかもしれない。

2008年ごろの録音だそうだが、かなりの優秀録音として話題になっていてもおかしくないほどなのに、
まったくそうでないのは、レコード店では扱っていないためだろう。

ディスク番号は、TOPCD-122。
私は先ほどヤフオク!で見つけて落札した。
「ソリの道をさがして」で検索すれば、販売しているところはすぐに見つかる。

Date: 8月 7th, 2025
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その17)

昨日のaudio wednesdayでは、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーに、
エラックのリボン型トゥイーター、4PI PLUS.2を足して鳴らした。

野口晴哉氏は、シーメンスのオイロダインに、デッカのリボン型トゥイーター、DK30を組み合わせて鳴らされていた。
しかもDK30は、ストックとしてなのだろうか、プラス6本所有されていた。

もしかするとウェストレックス・ロンドンにもDK30を組み合わせて、ということを考えておられたのか──、は、いまとなっては確認できないが、
ウェストレックス・ロンドンにリボン型トゥイーターを足すのは、以前から試してみたかった。

7月の会で、ウェストレックス・ロンドンを鳴らした。
今回は同じラインナップで、エラックだけを足して鳴らした。

ウェストレックス・ロンドンは、オイロダイン同様、壁に取り付けられているため、
スピーカーの位置、振りといったセッティングは何もできない。

そのため器材を操作するため右チャンネルのスピーカーよりも外側にいると、
左右の音の広がりは、感じとりにくい。
スピーカーを振れれば──、とは思うけど、それは無理。
けれど4PI PLUS.2を足すと、そのへんの鳴り方が大きく変ってくる。

この変化は、4PI PLUS.2を何度もいくつものスピーカーと組み合わせてきた経験から予想できていたけれど、
それでも驚く。

Date: 8月 6th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十九夜を終えて

今日のaudio wednesdayは、あまりの暑さなので、
予定されていた方でも、今日はやめておこう、と思われてもおかしくない。
にも関わらず、さそうあきら氏のDJということで、初めての方もおられて、良かった。

スピーカーは先月と同じウェストレックス・ロンドンで、他の機材も同じ。
違うのは、エラックのリボン型トゥイーターの存在だ。

かなり音は変る。
今日のポジション、調整がベストではないが、うまく鳴ってくれた。

こうも暑いと、いつもならなんでもないことでも面倒に思えてくる。
楽な方に流されたいという気持もわいてくる。
それでも鳴ってきた音を聴くと、やっぱりきちんとやってよかった、と思える。

Date: 8月 5th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Charlin Disques(その3)

会が終って、途中まで帰りが同じだった方(たぶん同世代だろう、女性の方)が、
「音楽は詳しくないんですけど、あのレコードの響きが、他のレコードとはまったく違っていて、驚きました」、
そんなことを話された。

シャルランのレコードを鳴らした後で、ワンポイント録音だ、説明した。
オーディオマニア相手ならば、シャルランのレコードといえば、それで済むが、
ワンポイント録音がどういうものなのかも、簡単に説明した。

この時の会に参加されていた人たちの反応は、
オーディオマニアの反応よりも素直だったような気がする。
スピーカーが、こんな感じで鳴ってくれるのか──、
そんな印象を持たれたようでもある。

シャルラン レコードは、数年前に、新たにCD復刻がなされている。以前のCDよりもずっと好ましい仕上がりのようだ。

来られた方の反応を見ていて、それに上記の方の話を聞いて、
近いうちにワンポイント録音ばかりかける会をやろうと考えている。

古くはエーリッヒ・クライバーの「フィガロの結婚」もそうだし、
オーディオマニアの間でよく知られる「カンターテ・ドミノ」もそうだ。

デジタル録音になってからでは、
デンオンから発売されていたインバルのマーラーの四番がある。
マイクロフォンは三本使用だが、テラークもワンポイント録音と言える。

Date: 8月 5th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十九夜(さそうあきら氏のDJ・いよいよ明日)

明日(8月6日)は、さそうあきら氏のDJによるaudio wednesday。

明日は、今日ほどの暑さではないようですが、それでもかなり暑くなりそうです。
なので軽装でお越しください。

Speaker System: Westrex London + ELAC 4PI PLUS.2

Control Amplifier: Marantz Model 7

Power Amplifier: Accuphase A20V, McIntosh MC275

CD Transport: Accuphase DP100

D/A Converter: Meridian ULTRA DAC

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 8月 4th, 2025
Cate: 真空管アンプ

McIntosh MC275(その3)

真空管アンプでもないし、マッキントッシュのアンプでもないが、
MC275と同じ意味で、スレッショルドのSTASIS 1にも、ある種の憧れがある。

ステレオサウンド 47号の「オーディオ巡礼」のなかで、
五味先生は、こう書かれていていたからだ。
     *
南口邸ではマッキントッシュではなくスレッショールドでタンノイを駆動されている。スレッショールド800がトランジスターアンプにはめずらしく、オートグラフと相性のいいことは以前拙宅で試みて知っていたので南口さんに話してはあった。でも私は球のマッキントッシュを変える気にはついになれずにきたのである。
     *
スレッショルドの800Aは、そのころの私にとっては憧れのパワーアンプだった。

800Aは、幸運にも熊本のオーディオ店で聴いている。じっくりとではなかったけれど、
《800Aのあの独特の、清楚でありながら底力のある凄みを秘めた音の魅力が忘れられなかった》、
瀬川先生が書かれていた音は、こうなんだと納得できる音を聴くことができた。

これらのことで、私にとってスレッショルドは特別な、憧れのブランドとなったわけだが、
800Aに続く400A、4000の音に惹かれることはなかった。

やっぱりスレッショルド、と思えたのは、その後に登場したSTASIS 1である。
しかもSTASIS 1は、テラークのカッティング用アンプとして採用されていた。

だが残念ながら、テラークのLPをSTASIS 1で鳴らした音を聴くことはなかった。

Date: 8月 3rd, 2025
Cate: 真空管アンプ

McIntosh MC275(その2)

カッティングヘッド駆動用のパワーアンプというのは、私にとっては、
けっこう特別な存在でもあった(とあくまでも過去形なのだが)。

たとえば出力管のEL156に、かなり憧れていた時期があったのも、
ノイマンのカッティング用アンプとしてEL156のアンプが使われていた、という記事を読んだからだ。

その頃の私は、300Bに代表されるST管の形状があまり好きではなかった。

EL34やシーメンスのEdのカタチが好きだったから、
ややずんぐりしているもののEL156は、こちら側の真空管として、
私の目には映っていた。

中学生のころは、どんな真空管なのか、よく知らなかったけど、
ウェストレックスのカッティング用アンプに使われていた7027Aへの興味も、かなり強く持っていた。

カッティング用アンプと同じ真空管を使ったから、
同じ音になるわけでもないし、
いい音のアンプになるわけでないことは、
中学生にだってわかること。

それでもそれらの真空管への憧れは消えたりしなかったし、
完成品のアンプとして採用されていたMC275は、やっぱり特別な存在でもあった。

Date: 8月 2nd, 2025
Cate: 真空管アンプ

McIntosh MC275(その1)

オーディオに興味を持ち始めた中学生のころ、妄想していたことがいくつあって、
そのうちの一つが、カッティングヘッドを駆動するパワーアンプと、
スピーカーを駆動するパワーアンプを、同じにしたら──、というのがある。

マッキントッシュのMC275は、「五味オーディオ教室」でオーディオの世界に入った私にとっては、
五味先生愛用のパワーアンプとして、いつまて経っても特別な一台である。

だからといって、自分のモノとしたい、と思ったことはないが、
それでも事あるごとに聴く機会はあって、いいアンプだな、と思い続けてきた。

昨年からaudio wednesdayを再開して、MC275を聴くことは増えた。
聴いていて、ふと昔の妄想を思い出していた。

MC275は、レコード会社でカッティングヘッドの駆動アンプとして使わられていた時期がある。
知らず知らずのうちに、MC275でカッティングされたLPを、 MC275で鳴らすスピーカーを通して聴いている。

Date: 8月 1st, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十九夜(さそうあきら氏のDJ)

8月6日のaudio wednesdayは、マンガ家のさそうあきら氏のDJ。

スピーカーは告知している通り、ウェストレックス・ロンドンを鳴らす。
それにエラックのリボン型トゥイーターを足すのだが、どういう結果をもたらすのか、
予想できるところもあるし、そうでないところもあって、私自身、わくわくしている。

さそうあきら氏から当日のプレイリストはいただいているが、
来てのお楽しみということで、まだ公開しない。

Speaker System: Westrex London + ELAC 4PI PLUS.2

Control Amplifier: Marantz Model 7

Power Amplifier: Accuphase A20V, McIntosh MC275

CD Transport: Accuphase DP100

D/A Converter: Meridian ULTRA DAC

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 7月 31st, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(と取り巻いていること・その16)

現在、真空管を製造しているのは、中国、ロシア、スロヴァキアで、続いてアメリカ、日本ぐらいだろう。

ポーランドにFezz Audioというブランドがある。
このFezz AudioのFacebookでの告知によると、
EUの助成金を得て、ポーランドでの真空管の製造が始まる、とのこと。

いつごろ、実際の真空管が登場するのかは、まだはっきりとしないが、
新たな真空管が手に入れられるようになることは確かだ。

Date: 7月 31st, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(と取り巻いていること・その15)

PSVANEをはじめ、現行の真空管を管球王国では頻繁に取り上げている。
ここで取り上げられている現行の真空管は、いわゆる新品のはず。
新品の状態で、音質について語られている。

けれど寿命については、語られていない。
片手落ちではないか、と毎回思う。
全ての現行の真空管を、とまでは言わないが、少なくとも試聴結果の良い現行の真空管は、
長期使用において、どのような変化をしていくのか、記事にしていくべきだ。

ただ単に、このブランドの真空管が良かった──、
ここに留まっているのを、これまでずっと続けてきて、
これから先もずっと続けていくつもりなのか。

Date: 7月 30th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(と取り巻いていること・その14)

PSVANE(プスヴァン)は中国のメーカーということで、先入観を持っている人もいるだろうし、
中国からインターネットを通じて買うことに不信感を持つ人もいるはず。

世の中は変ってきている。十年前はそうだったからといって、いまもそうだとは限らない。
中国製オーディオ機器や部品への偏見は捨ててもいいと思っている。
もちろん全ての中国製が安心して使えるとまでは言わないし、思ってもいない。
ピンキリなのは、中国製だけのことではない。

PSVANEのUK-KT88の箱には、貴族之声と大きく印刷されている。
こういうところは中国製だなぁ、と思うしかないが、大事なのは中身(KT88)の品質である。

KT88を四本挿し替えて、バイアスのチェックはしたのかと問われれば、やっていない。

マランツのアンプには、バイアス調整用のメーターと機能が用意されている。
マッキントッシュのアンプも固定バイアスだが、こちらにはない。
ハイGmの出力管6LQ6を四本並列で使用するMC3500には装備されているが、
MC275、MC240などには、ない。

だからチェックの必要はない、とは言わないが、
四本のKT88のうち、大きくバイアスが違う球が混じっていたら、
それは出てくる音を聴けば、もしかすると……と感じるはずだろう。

今回、挿し替えた音を聴いていて、そんな感じはなかったし、むしろいい感じで鳴っている、と感じたほどだ。

ただし、すでに書いているように、この音がずっと持続できるのか、
それとも一年ほどで、音が悪くなってきたな、と感じるようになるのか。
いまは、まだ判断できない。

Date: 7月 29th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(と取り巻いていること・その13)

PSVANEのUK-KT88に交換したばかりのMC275の音は、けっこう違うな、だった。
とはいえPSVANEに挿し替えて電源を入れて数分経っただけの音なのだから、
これがPSVANEのKT88の音は、言い切れるわけではない。

しばらく音を鳴らしながらの音の変化を聴いていく。
最初にかけたのは、バルビローリ指揮ベルリンファルハーモニーによるマーラーの九番。

第一楽章を最後までかけて、もう一度、かける。
明らかにスクラッチノイズの耳につく感じが、いい方向にと変る。
次にかけたのは、チッコリーニによるサティ。このレコードの後半あたりから、また音が変る。

サティのあとにもう一枚(片面)をかけ、別項で触れているフォーレを聴く。

シャルラン レコードならではの音で鳴っている。
私はそう感じながら聴いていたし、このフォーレは聴いている人の心をなんらかのかたちで捉えたようだ。

そういう音で鳴ってくれたのだから、PSVANEのUK-KT88の選択は間違いではなかった。
正しかったと書きたいところだが、寿命の点は、これから先確認していくことだから、
いまのところ、そこまでは言えない。

ここでの寿命とはヒーターが切れるまでのことではなく、
しばらく使っていくうちにノイズが増えたり、音が悪い方向に変っていくなどの意味での寿命だ。

真空管の品質に関わることだ。
一年後、二年後、PSVANEにしてよかった、といえるのかどうか。

こんなふうに音が変化していくのは、新品であればよくあることだし、
鳴らしはじめから、いい音がするわけないのだから、その時の音は聴かないというオーディオマニアもいる。

そんな発言をインターネットやら雑誌で見かけると、
なぜ聴かないのか、と逆に思う。

自分の装置なのに──、とも思う。
どんなふうに変化していくのか、自分の装置だこらこそ、そういうことまで把握しておきたいし、
音の変化きちんと聴いていくことは、経験へとつながっていくからだ。