QUAD・ESLについて(その18)
この項の(その11)で書いたスピーカーシステムは、
6dB/oct.のネットワークとスピーカーユニットに音響負荷をかけることで、
トータル12dB/oct.の減衰特性を得ているわけだが、
これまでの説明からおわかりのように伝達関数:1ではない。
スピーカーシステムとしての出力の合成は、位相特性は急激に変化するポイントがある。
つまり6dB/oct.ネットワーク採用の技術的なメリットは、ほぼないといえよう。
もちろん12dB/oct.のネットワークを使用するのとくらべると、ネットワークのパーツは減る。
ウーファーのハイカットフィルターであれば、通常の12dB/oct.では、
直列にはいるコイルと並列に入るコンデンサーが必要になるのが、コイルひとつで済むわけだ。
パーツによる音の違い、そして素子が増えることによる、互いの干渉を考えると、
6dB/oct.のネットワークで、
12dB/oct.のカーブが、スピーカーシステム・トータルとして実現できるのは意味がある。
けれど、事はそう単純でもない。