オリジナルとは(続×二十・チャートウェルのLS3/5A)
瀬川先生がModel 7の音に衝撃をうけられたことが伝わってくる。
瀬川先生はマッキントッシュのC22は購入されていない。
その理由はなんとなくではあるけれど想像できないわけではない。
ここにModel 7とC22の違いがあり、
その違いをもっとも強く感じるのは、C22とMC275について書かれた次の文章である。
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しかしその試聴で、もうひとつの魅力ある製品を発見したというのが、これもまた前述したマッキントッシュのC22とMC275の組合せで、アルテックの604Eを鳴らした音であった。ことに、テストの終った初夏のすがすがしいある日の午後に聴いた、エリカ・ケートの歌うモーツァルトの歌曲 Abendempfindung(夕暮の情緒)の、滑らかに澄んで、ふっくらとやわらかなあの美しい歌声は、いまでも耳の底に焼きついているほどで、この一曲のためにこのアンプを欲しい、とさえ、思ったものだ。
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ここには一枚のレコードが登場している。エリカ・ケートのモーツァルト歌曲集である。
けれど私が読んだかぎりにおいて、Model 7の音について書かれるとき、
そこになにかのレコードが登場することはない。
私にとって、この一点こそが、
マランツの音とマッキントッシュの音の違いをもっとも的確に語ってくれている。