現代スピーカー考(その13)
KEFの#105の底にはキャスターが取り付けられていた。
いまのオーディオの常識からすると、なぜそんなものを取り付ける? となるが、
当時は、スペンドールのBCII、BCIIIの専用スタンドもキャスターをがついていた。
ただスペンドールの場合も、このキャスター付きのスタンドのせいで、
上級機の BCIIIはずいぶん損をしている。
日本ではBCIIのほうが評価が高く、BCIIIの評価はむしろ低い。
ステレオサウンド 44号のスピーカーの総テストの中で、瀬川先生が、
BCIIIを、専用スタンドではなく、
他のスタンドにかえたときの音に驚いた、といったことを書かれている。
スペンドールのスタンドは、横から見るとコの字型の、鉄パイプの華奢なつくりで、キャスター付き。
重量は比較的軽いBCIIならまだしも、BCIIのユニット構成に30cmウーファーを追加し
エンクロージュアを大型にしたBCIIIで、スタンドの欠点が、よりはっきりと出たためであろう。
KEFの試聴室の写真を見たことがある。
スピーカーは、105の改良モデルの105.2で、一段高いステージの上に置かれているが、
とうぜんキャスターは付いていない。あのキャスターは、輸入元がつけたのかもしれない。
そして、キャスターを外した105の音はどう変化するのかを確認してみたい。