岩崎千明氏のこと(その20)
ステレオサウンド 43号に、「とてもセンシティブで心優しい感じだった」と、
岩崎先生のことを、岡先生は書かれている。
岩崎先生は、 QUADのESLを所有されていた。いつからなのかははっきりしないが、
ステレオサウンド 38号で、「かなりライヴな部屋で、しかも固い壁を背にして置くというイメージが強い」ESLを、
「6畳の和室で鳴らしてみる。そういう実験というか冒険をやってみたい」と語られているから、
1976年以前に購入されたのだろう。
QUADのESLと岩崎千明が、なかなか結びつかない人もいるだろう。
岩崎先生の愛用された、数多くのオーディオ機器のなかで、ESLは、
どちらかといえば、ちょっと浮いた存在として映るかもしれないが、
岩崎先生が大音量で聴かれる理由のひとつは、ローレベルのリニアリティに対して、
きびしく追い求められていたことを思い起こせば、納得のいく選択である。
岩崎千明=大音量再生というイメージが語られすぎているようにも思う。
たしかに大音量で、よく聴かれていた、ときいている。
だが、いつでも、どんな曲でも、大音量で聴かれていたわけでは、決してない。