the Review (in the past) を入力していて……(その4)
たとえばAGI(Audio General, Inc.)は、そのデビュー作、511で高い評価を得ている。
これは音質面ばかりでなく、コントロールアンプにおけるハイスピード設計の概念を確立したことも、
大きく関係しているだろう。
AGIの511のスペックには、ライズタイム、スルーレイト、タイムディレイという、
他のアンプでは見かけたことのない項目、それも時間、速度に関係するものが並んでいた。
とうぜん511とペアになるパワーアンプの登場がまたれたが、開発中という話は伝わってきたものの、
具体的にどんな構成なのか、どの程度の規模のものなのか、といった情報はなく、
ついに登場することもなかった(バイアス回路の特許はアメリカで取得していたらしい)。
511がBタイプに改良されたのが最後で、同社はオーディオ機器の開発から手を引く。
余談だが、511にはブラックパネルがあった。
いわゆる並行輸入品だ。
私が最初に耳にした511は、じつは、このブラックパネルであり、
瀬川先生が熊本のオーディオ店にこられた時に、である。
なぜ、あえて並行輸入品の音を鳴らされたのか。
並行輸入品だ、とことわられたうえでの、音出しだった。