歳を重ねるということ
数年前から感じていることだが、
ある年齢に達しないと出せない音、世界があきらかにある。
菅野先生の音を聴くたびに、その思いは強くなる。
菅野先生と同じだけのオーディオの才能、センス、耳、
そして同じオーディオ機器と同じリスニングルーム環境を持った人が、もしこの世の中にもうひとりいたとしても、
同じくらいの人生を送ってこなければ無理なのではないか……、
類稀なセンスや感性、才能を持っていても、
それだけではどうしても到達できない 音の世界(レベル)がある。
孔子の論語が頭に浮ぶ。
子曰く、
吾れ十有五にして学に志ざす。
三十にして立つ。
四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳従う。
七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。
1932年生れの菅野先生は、今日、76歳になられた。
「七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。 」、
まさにそのとおりである。