私にとってアナログディスク再生とは(その21)
そんなふうにみていくと、現在の50万円以上のカートリッジは30年前ならば、
20数万円から30数万円ということになる。
ステレオサウンドのベストバイの号を振り返ってみると、
43号で選ばれたカートリッジでもっとも高価なのはEMTのXSD15で、69000円。
47号では、ここでもXSD15が……と書きたいところだが、ひとつ例外的に高価なモデルがあった。
グラドがシグネチャー・シリーズと名づけたもので、Signature IIは199000円と、とびぬけて高価だった。
実は、このSignature IIは、瀬川先生が持参されたカートリッジの中に含まれていて、
このときだけではあったが聴くことができた。
これもいま聴いてみたら、どういう感想を抱くのだろうか、という興味がある。
55号ではオルトフォンのMC30が登場して、これが99000円。
そのあとのステレオサウンドをみていっても、カートリッジの最高価格として10万円という線があり、
これを越えたら、高価なカートリッジから、非常に高価なカートリッジ、と受けとめられていたように思う。
10万円の1.65倍〜2倍となると、165000円〜200000円となる。
もういちどステレオサウンド 177号を見直すと、
オルトフォンのSPU Synergyが170000円となっていて、
このモデルが以前のSPU Gold(当時95000円)的な位置づけにあたるカートリッジだとすれば、
1.65倍〜2倍という数字も、目安として使えそうだ。