音を表現するということ(続々・聴いてもらうということ)
「音は人なり」といわれてきている。
私もここで何度か書いている、さらに「人は音なり」とも書いている。
私は、これはオーディオのひとつの真理だと思っているが、
果して言葉にしていいものだろうか、という気持が、最近になって芽生えてきた。
よほどひねくれ者でないかぎり、人から悪く思われたくはない。
だからオーディオマニアにとって、
「音は人なり」という言葉が、本来の意味から少し外れたところの意味をもってくるように思うからだ。
「音は人なり」はときとして強迫観念的な色を帯びてきはしないだろうか。
「音は人なり」は、そういう意味でいわれてきたことばではないにもかかわらず、そう思われてしまうことで、
決着を急ぎさせすぎてしまうことにつながっていく……。
そうなってしまっては、オーディオの楽しさは半減していく。
これはもったいない、という話ではなく、おかしいことにもなっていくかもしれない。
オーディオは、もっともっと楽しまれていくもののはず、と改めて思うからだ。