私にとってアナログディスク再生とは(その5)
ノッティンガムアナログスタジオのAnna LogとEMTの927Dstのあいだに、およそ共通点はないといえる。
このふたつで近いものをあえて挙げるならば、重量くらいだろう。
Anna Logは45kg、927Dstは41kg、とカタログ上はほぼ近い値だ。
だがそれ以外の項目となると、このふたつのアナログプレーヤーはそこかしこにはっきりとした違いがある。
Anna Logはベルトドライヴ、927Dstはリムドライブ。
ここにダイレクトドライヴを比較対象にもってくれば、ベルトドライヴもリムドライヴも、近いものとなるだろうが、
ターンテーブル・プラッターを廻すことに対する考え方は大きく違う。
モーターはどちらもシンクロナス型だが、まず大きさに差違がはっきりと現れている。
927Dstのモーターはそうとうな大型で、アイドラーを介してその強力なトルクをしっかりとターンテーブルに伝える。
さらに回転の微調整とモーターの安定化のために、
シャフト中心部にフェルトパッドによるフリクションブレーキをかけるようになっている。
Anna Logのモーターは、927Dstのモーターとは正反対の低トルクのモーターを使っている。
そのためターンテーブルを廻しはじめるにはトルクが足らず、
使い手が指でターンテーブルを廻してやらなければならない。
プロ用として開発されたEMTのプレーヤーシステムでは、絶対に考えられない方法といえる。
だからAnna Logはターンテーブル・プラッターの慣性モーメントを利用する。
Anna Logの総重量の55%はターンテーブル・プラッターが占める(25kg)
927Dstは直径42cmのアルミ製のメイン・プラッターが4.7kg、
その上にのるガラス製の直径44cmのプラッターが2.58kgで、計7.28kg。
総重量に対する割合は約17%。