管球式OTLアンプのこと(その4)
別項で何度も触れているように、私が真空管アンプで、素直にカッコいいと感じたのは、
伊藤先生が無線と実験で発表されたシーメンスの直熱三極管Edの固定バイアスのプッシュプルアンプが初めてだった。
同時にEdにも一目惚れした。
それだけにEdには思い入れがたっぷりあったにもかかわらず、伊藤先生の、西日暮里にあった仕事場で聴くことが叶ったEdのシングルアンプの音には、がっかりした。
伊藤先生は、300Bのシングルアンプも聴かせてくれた。
度肝を抜かれた。そのくらいEdと300Bとでは、違っていた。
Edは美しい球なんだけど、音は……、と伊藤先生の言葉ははっきりいまでも憶えている。
それでもいつかはEdのアンプも作ってみたいな、と思っていたら、Edの価格の値上りのすごいこと。
すでに製造中止になっていたのだから、仕方ないとはいえ、音のことを思うと手が出なかった。
するとまた値は上がっていった。手が出せないほどに。
Edは美しい球だし、300Bは立派な球だと思う。
それからEL156は、カッティング用アンプに採用されていた真空管という記事を読んで、すごいなと興味を持ったし、
もっとポピュラーな球のEL34、EL84、KT88なども、それからラジオ球と呼ばれる真空管のいくつかも好きな真空管だ。
出力管だけで音が決まるわけではないものの、それでも管球式パワーアンプにおける出力管の存在は大きい。
私は真空管そのもののマニアではないから、珍しい真空管でアンプを作ってみようという気はない。
これまで聴く機会のあった管球式パワーアンプで気に入った音を出してくれたモノに搭載されていた出力管が気に入っている。
愛着を多少なりとも感じている真空管あるのかないのか。管球式OTLアンプには、そのことを感じないし、
6LF6をはじめ管球式OTLアンプに採用される出力管に、私は思い入れとか愛着は感じていない。
その音は気に入っているのだから、少なくとも6LF6には、少しばかり愛着を感じてもよさそうなのに……、と自分でも思うのだが、やっぱりない。