My Favorite Things(チューナー篇・その2)
あるエンジニアの方いわく、
マランツのModel 10Bは通信機の造りだが、マッキントッシュはラジオだ、と。
Model 10Bと同時代のマッキントッシュの管球式チューナーを比較すると、確かにそうだと頷きたくなる。
マッキントッシュだけではなかった。
この時代のすべてのチューナーは、いわゆるラジオだった。
チューナーなのだからラジオでいいだろう、
そのラジオの中で普及機、高級機があって、マッキントッシュは高級ラジオ(チューナー)だった。
けれどModel 10Bは、そこにはいなくて通信機レベルのチューナーだった。
今の中古相場しか知らない人は信じられないだろうが、1970年代、’80年代はModel 7よりもModel 10Bの方が、明らかに高価だった。
それに当時のオーディオ誌では、マランツがスーパースコープに身売りするきっかけとなったのが、
Model 10の開発に予算と時間をかけすぎたため、というのが載っていた。
そういうすごいチューナーだが、Model 10Bの音を聴いているのといえば、聴いていない、というしかない。
まったく聴いたことがないわけではない。Model 10Bが受信したFMの音は、一回だけ聴いている。
とはいえ同じ条件で、他のチューナーと比較試聴したわけではない。
もっともチューナーの比較試聴は、まず無理である。チューナーの音について語るには、一ヵ月ほど自宅で使用して、次の月には別のチューナーにしてみる。
そんなふうにじっくり時間かけて使ってみないことには、チューナーの音を語ることはできない。
それでもModel 10Bは、いまでも欲しいのは「五味オーディオ教室」から、私のオーディオは始まっているからだ。