アキュフェーズがやって来る(その3)
私の世代ゆえなのか、
それとも個人的なことにすぎないのか、
どちらなのかは自分でもはっきりとしないが、A級動作のパワーアンプというものに、
ある種の憧れがある。
パイオニアのExclusive M4が当時、A級アンプの代名詞的存在だった。
そして1977年にマークレビンソンのML2が登場する。
ML2の登場は、私にとって(すこし大袈裟にいえば)A級神話につながっていく。
けれど、アンプのことを勉強していくと、
A級動作は、すべての点で理想的なのかという疑問ももつようになった。
特に振動面を考慮すると、A級動作は常時大電流が、
出力段のトランジスターに流れているわけで、当然不利である。
それに発熱量の問題もある。
このあたりのことは以前別項で書いているので省略するが、
だからといってA級動作は不利なのかというと、必ずしもそうではない。
三年前に別項「muscle audio Boot Camp」で書いているように、
パワーアンプの出力インピーダンスは、おそらく音楽信号によって変動しているはずである。
その変動の仕方、変動幅も、A級動作かどうかで違ってくるものと推測できる。
実際のところどうなのかは、そこまでの知識がないので実際に測定したわけではないが、
変動していないと考えるほうが無理がある。
そして、これも推測にすぎないのだが、
A級動作のほうが、出力インピーダンスの変動の幅も小さいはずだ。
だからといって、音がいい、ということに直接結びついていくのかどうかは、
いまのところなんともいえないのだが、
動的な出力インピーダンスは安定しているはずである。