Date: 4月 21st, 2011
Cate: 素朴
Tags:

素朴な音、素朴な組合せ(その13)

日本人と欧米人とでは体臭の違いから、同じ銘柄の香水をつけても、
香ってくる匂いはかなり異ってくる、といわれる。
街を歩いてすれ違う人から香りから判断するしかないのだが、
たしかに同じ香水かなと思われる匂いでも、日本人では、その香水の匂いがわりとストレートに、
欧米の人の場合には、体臭が濃いせいなのか、匂いの密度そのものがずいぶん濃くなっているように感じる。

そんな感じを、シャルランのCDにも感じる。
ふたつのスピーカーの周囲に漂っている空気の密度が濃くなっている。
それは、シャルランの録音に収められているアンドレ・シャルランの「体臭」がそこに加味されているからなのか。

同じワンポイント録音でも、デンオンはもうあきらかに日本人の「体臭」(音)である。
どちらが録音テクニックとして優れているかということよりも、
とにかくまず「体臭」の濃さが醸し出す響きが、シャルランにはあり、デンオンには感じられない。

聴く人によっては、シャルランのこの濃さを拒否してしまう人もいるかもしれない。
なかには強烈と感じる人もいるだろう。

だけどここでいう体臭は、匂いであって、決して臭いではない。
それに、何かを誤魔化そうとして香水をたっぷりつけた結果という性質のものでもない。

アンドレ・シャルランという人物が何を望んでいるのか、それをストレートに伝えてくれる匂い、
というよりも香りであり、この香りこそが、じつのところ、シャルランの響きのように感じられた。
しかも、実は素朴な響きであり、スポイルすることなく表現してくれる音もまた装飾のない音なのだろう。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]