ヘルマン・プライの「冬の旅」(その1)
シューベルトを集中的に聴いていることは、
別項で聴いているとおりだ。いまもシューベルトを、まず聴くようにしている。
ここ一週間ほどは、シューベルトの歌曲をよく聴いていた。
「美しき水車小屋の娘」、「冬の旅」、「白鳥の歌」も聴いている。
これまで「冬の旅」がとくにそうなのだが、
ディートリッヒ・フッシャー=ディスカウを主に聴いていた。
他の歌手による録音をまったく聴かなかったわけではないが、
それで比率としてはかなり少なかった。
ディートリッヒ・フッシャー=ディスカウだけを聴いていれば、それでよし、とは、
もちろん思っていないけれど、そうなっていた。
実を言うと、今回初めて、ヘルマン・プライの「冬の旅」を聴いた。
1971年の録音、ピアノはサヴァリッシュである。
エンゲルのピアノによるプライの「冬の旅」も聴いていなかった。
私が聴いたことがあるのは、デンオン録音、ビアンコーニによるピアノの「冬の旅」である。
さほど期待していたわけではなかった。
それでも素晴らしい歌唱は、そんなバイアスをきれいに吹き飛ばしてくれる。