「音楽性」とは(オーディオショウにて・その4)
ナチュラルな音、自然な音という表現は、
たいていの場合、褒め言葉である。
あなたの音は実に自然な音ですね──、
そう誰かにいわれて気分を害する人はいないはずだ。
けれど、私は昔ほど、このナチュラルな音、自然な音という表現を、
ストレートに受け止めることができなくなっている。
ナチュラルな音、自然な音は、客観的な評価のように思われる。
そう思っている人は多いように思う。
けれど、ここ十年くらい感じているのは、
オーディオにおいてナチュラルな音、自然な音はきわめて主観的である場合が、
かなり多い、ということだ。
もちろんすべての場合において主観的とまではいわないが、
それでもかなりの場合、主観的なナチュラルな音、主観的な自然な音だったりする。
ナチュラルな音ですね、自然な音ですね、という人は、
そんなふうには思っていないだろう。
客観的な意味でのナチュラルな音、自然な音と言葉にしているはずだ。