Date: 7月 14th, 2022
Cate: ディスク/ブック
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エヴリーヌ・クロシェのフォーレ

五味先生の「いい音いい音楽」のなかに「一枚のレコード」という文章がある。
ここにエブリーヌ・クローシェの名が出てくる。

《演奏しているエブリーヌ・クローシェは、パリ音楽院を出た女流ピアニストとしか私は知らない》
としか書かれていない。

「いい音いい音楽」を読んだころの私は、まだ高校生で田舎暮らしだった。
エブリーヌ・クローシェについて、それ以上なにも知ることができなかった。

ステレオサウンドで働くようになって数年が経ってから、
ふと思い出してレコードを探してみたけれど、運と縁がなかったのか、
出合えなかった。

そしてエブリーヌ・クローシェのことも忘れかけてしまっていた。
なのに、ふと思い出したのは、TIDALで音楽を聴くようになってから、
落穂拾い的なことをやっているからだ。

なにか忘れているような気がして、「いい音いい音楽」を開く。
そうだそうだ、エブリーヌ・クローシェのことを忘れてしまっていた、と気づく。

とはいえエブリーヌ・クローシェで検索しても、
私が求める結果は出てこなかった。
エブリーヌ・クローシェのスペルがわかればさらに検索のしようがあるけれど、
それもはっきりとはわからない。

「一枚のレコード」には、ボックス盤(SVBX5424)とある。
vox svbx5424で検索して、わかった。

いまではエヴリーヌ・クロシェという表記のようだし、
Evelyne Crochetである。
ここまでわかるとTIDALで検索できる。

フォーレのアルバムが見つかった。
それだけでなくバッハの平均律クラヴァーア曲集もあった。

「一枚のレコード」を読んで四十二年。
いまになって聴くことができた。

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