オーディオマニアとして(圧倒的であれ・その10)
オーディオマニアを自認するのであれば、圧倒的であれ──、
というのは、私の本音だけれど、
人によっては、「圧倒的であれ」を変な方向へ誤解する人がいるようにも感じている。
オーディオマニアのなかには、自分を特別扱いしろ、といわんばかりの人がいる。
友人と電話で話していて、共通の知人のことが話題にのぼった。
共通の知人といっても、私は三十年ほど会っていないし、
連絡もとることはない。
特に親しかったわけでもないが、一度、その人の音は聴いている。
その程度の知り合いでしかない。
それでも、この人はほぼ無意識に自分を特別扱いしてほしがっている──、
そんなふうに感じることが何度かあった。
三十年以上前のことだから、若気の至りだったのかもしれない。
けれど、いまもそのようである。
友人の話をきいていると、なんにも変っていないんだなぁ、と思っていた。
特別扱いしてほしいんですか、と訊けば、そんなことはない、というはずだ。
本人は、まったく意識していないのかもしれない。
なのに、その人の言動は、特別扱いを暗に要求している。
圧倒的であれ、とは、そんなことではない。