Date: 5月 6th, 2021
Cate: ヘッドフォン
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Beveridge Audioのこと(その3)

その1)へのfacebookでのコメントに、こう書いてあった。

ソニーの盛田昭夫氏が、ビバリッジの開発者のHarold Beveridgeの自宅で、
その音を聴いて驚嘆し、販売製造権を買い取ろうとしたが、話はまとまらなかった──、と。

こんなことがあったとはまったく知らなかった。
ビバリッジは1974年創立である。
いつごろの話なのだろうか。

この話を読んで、1996年ごろにソニーがSS-R10を発表したことを思い出していた。
ペアで300万円するコンデンサー型スピーカーシステムである。

三年前の別項でも、唐突に登場してきた感がある、と書いた。
コンデンサー型マイクロフォンは長年手がけてきていても、
それまでのソニーのスピーカーの流れからすれば、SS-R10は唐突であった。

けれど盛田氏とビバリッジの、このエピソードを知っていれば、
それは唐突でもなんでもなかったことになる。

三年前の別項では、こんなことも書いている。

ステレオサウンド 5号、瀬川先生の「スピーカーシステムの選び方まとめ方」、
その中に、こう書いてあった。
     *
 コンデンサー型スピーカーについては、中〜高域の透明な美しさにくらべて、低音域の厚みが不足したり、力強さがないなどという意見がよく聞かれる。その当否は別として、QUADのスピーカーを中域から上で使うようにして、低域をふつうのコーン型のウーファーに分担させるという、ソニーの大賀氏のアイデアを実際に聴かせて頂いて仲々よい音質だったので、使いこなしのひとつのヒントとしてご紹介させて頂く。
     *
聴かせて頂いて、とあるから、大賀典雄氏のシステムだったのだろう。
つまり大賀氏は、この時期(1967年ごろ)、QUADのESLを鳴らされていたことになる。

三年前は、大賀氏とコンデンサー型スピーカーとが結びついたわけだが、
盛田氏もそうたったのか。

同じコンデンサー型スピーカーといっても、
QUADのESLとビバリッジのシステムとでは、構成も規模も使い方もずいぶん違う。
そして放射パターンが大きく違う。

そうであっても、共通するよさはあるわけで、
そこにビバリッジの場合は、独特の放射パターンによる再生音場が加わる。

もっと詳しいことを知りたいところだが、
盛田氏も大賀氏も、この世を去られている。

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