atmosphere design(その9)
コンサートホールは、音楽が生まれる場である。
もっといえば音楽が生まれる現場である。
録音スタジオもそうである。
コンサートホール、録音スタジオで生まれた音楽をマイクロフォンがとらえ、
なんらかの媒体に記録(録音)される。
その音楽を、聴き手は自分の部屋で、自分のシステムで再生する。
ということは、リスニングルームは音楽を再生する場なのか、と思うのだが、
生まれたものはすべて死んでいくのだから、
リスニングルームは、音楽が死んでいく場である。
コンサートホールでも、録音スタジオでも、そこで生まれた音楽は、
そのままそこに残っているわけではない。
自然と消えてゆく。
それは音楽の死ととらえるか、ただ消えていった、ととらえるか。
リスニングルームでの音楽も消えてゆくだけではないか。
そうとらえてもかまわない。
けれど、私はリスニングルームは、音楽が死んでゆく場、
死んでゆく現場だととらえる。