ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その4・補足)
この項の(その4)をすぐあとに、この補足を書くつもりでいたのに、
ころっと忘れてしまっていて、いまごろ思い出した。
(その4)で書いたように、ケイト・ブッシュはオマケで録音したものだった。
だから興味のあった女性ヴォーカリストから聴いていていって、
最後に、これも一応聴いてみよう、という、はじめて耳にする音楽に対しては失礼な態度だった。
写真で見るかぎり、ケイト・ブッシュは私にとって、ちょっとおかしな女の子だった。
なのにイントロが終ってケイト・ブッシュの歌声を聴いたとたんに、
強い衝撃を受けたときによくいわれるように、背筋に電流が走った。
こういう言い方がゆるされるなら、背筋が屹立した。
それはクラシックの名演奏を聴いたときの強い感動とはまた異質の衝動だった。
あの日から30年以上経つ。
いまだに、背筋の屹立による快感がどこかに残っているのだろう、
ケイト・ブッシュの歌から離れることができないでいる。