4343と国産4ウェイ・スピーカー(その9)
ダイヤトーンのDS505が登場した1980年、
瀬川先生の4ウェイ自作スピーカーの記事を読んでしばらくしてのころということもあって、
高校3年だった若造にとって、このスピーカーは、かなり魅力的に感じていた。
憧れであり、目標だったスピーカーは、もちろん4343だったが、高校生がバイトに精を出したところで、
たやすく買える金額のものではない。
何事にも例外はあって、友人のAさんは、高校生の時、土方のバイトをがんばり、4343を現金で購入している。
アンプ、プレーヤーは予算不足で購入できず、
しばらくはシャープのダブルラジオカセットに接いでいたというエピソードつきだ。
4343は、そこまで駆り立てる魅力をもっていたスピーカーともいえよう。
熊本の片田舎では、高校生ができるアルバイトといえば新聞配達ぐらいで、しかも朝刊のみ。
それで稼げるお金は、上限が決っている。
私にとっては、サンスイのAU-D907 Limited が精いっぱいだった。
それも新聞配達のバイト代だけでは足りず、修学旅行を旅行を休んで、
その積立金を加えて、やっとこさ購入できたのだった。