倍賞千恵子 全曲集2020
今日、東京は雪だった。
でかける用事がない日の雪は眺めているだけでいいから、好きである。
雪が降っている情景をうたった曲はいくつもある。
ここでも私はグラシェラ・スサーナの「雪が降る」を真っ先に思い浮べるのだけれど、
「雪の降る街を」も、こんな日は、ひとりでいると口ずさむ。
「雪の降る街を」は四十二年前、中学三年の音楽の教科書に載っていた。
ちょうどいまごろの季節、音楽の授業で歌っていた。
音楽の実技の試験も「雪の降る街を」だった。
小学校、中学校の音楽の授業でいろんな歌を習ってきたけれど、
いまも口ずさむことがあるのは、「雪の降る街を」ぐらいである。
いい曲だから、ということもあるけれど、ほかの人にはどうでもいい他愛ないことが、
「雪の降る街を」と絡んでの個人的感傷のようなものからである。
降る雪を眺めながら、「雪の降る街を」を検索してみた。
いろんな人が歌っているのが、いまでは簡単に聴ける。
インターネットがなかったなら、
レコード店に足を運び、自力で探すしかない。
しかも誰が歌っているのかも見当がつかない場合は、手当たりしだいか、
店員に尋ねるか。
それでも小さなレコード店では見つからないこともある。
そうなると何軒ものレコード店をまわる。
それで見つけた「雪の降る街を」が、
求めていた「雪の降る街を」に添うかどうかは聴くまでわからない。
求める「雪の降る街を」にであえない可能性もある。
いまは、ほんとうに便利になった。
倍賞千恵子の「雪の降る街を」を聴いていた。
収録されているCDを探した。注文した。
一歩も外に出ることなく済む。