Hi-Resについて(その14)
「ジョン・デイヴィス特別インタビュー 英メトロポリスのエンジニアが語ったマスタリングのトレンド。スマホやインスタ対応が必須に」という記事が、
PHILE WEBで公開されている。
おもしろい記事だ。
たとえば、次のようなことが語られている。
《スタジオに要求されるいろんな工程があるけれど、今一番重要なのはインスタグラム向けのマスタリングだ。つまりスマホ向けのマスタリング。かつてはCDとヴァイナル(アナログ・レコード)の二つだけだったけど、今はそれに加えSpotify、Apple Music、TIDAL、そしてInstagramがある。》
スマートフォン向けのマスタリングは《流行りというよりトレンド》ということだ。
さらに《ターゲットが18歳以下と18歳以上の場合とで、マスタリングのEQ(イコライズ)を変えている。18歳以下はダイナミックス(音の強弱)を忘れて音量を大きく、ブライトネス(高域)を上げる。18歳以上はダイナミックスとブライトネスは普通に。ま、50歳以上はどちらも必要ないかもしれないがね(笑)。》
マスタリングは、いまではこんなふうにたいへんなことになっているのか、と驚く。
《ちなみに近頃のレーベルのA&Rは、スマホを使ってサウンドチェックをしているって話だ》、
ずっと以前、ヤマハのNS10Mを使ってサウンドチェックしている、とうい話はよくきいた。
その十年後ぐらいには、ラジカセでチェックしている、という話があたりまえになってきたように感じた。
そういえば少し前のテレビで、若い世代を対象に死語を調査したところ、
一位はLD(レーザーディスク)だったのを、SNSで見た。
LDといっても、まったく通用しない、らしい。
二位は、コンポだった。コンポーネント、つまりオーディオ・コンポーネントのことだ。
そういう時代だから、スマートフォンでのサウンドチェックもあたりまえになっていくのか。
この記事がさらにおもしろいのは、2ページ目である。
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ーーメトロポリスはDA/ADにプリズム・サウンドを使っていますが、192kHzで収録したアーカイブと異なり、96kHzでマスターを作ったのは何故ですか。
ジョン・デイヴィス アーカイブはジミー・ペイジに何かあっても困らないように192kHzで細心の注意を払って作り上げた。これはビートルズのジャイルズ・マーティンのケースでも全く同じ。しかし、ツェッペリンのリマスタリング・プロジェクトのマスター・テープは96kHzにしている。DA/ADに使ったプリズム・サウンドの真価は96kHzで発揮されるからだ。聴き比べても96kHzの方がずっと良い音がする。
ーーレッド・ツェッペリンのリマスタリング・プロジェクトの場合、96kHzがベストのソリューションというわけですね。
ジョン・デイヴィス 時々オーディエンスは数字が大きいほど良い音だと誤解しているようだが、ツェッペリンのアルバムが集中的に録音された60年代末から70年代前半の録音機材に192kHzは明らかにオーバースペック。ファイルは倍以上に大きくなるし、DAWの負荷も半端ない。192kHzは不要だ。
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ここのところを読んで、首を傾げる人、頷く人、どちらもいるはずだ。