完璧な音(その4)
くわえて完璧な録音というのが世の中には存在していない、ともいえる。
優秀録音は、その時代時代である。
いま聴いても優れた録音と感じるものが、どの時代にもある。
それでも、それらの優秀録音が完璧な録音であるかといえば、それは違ってくる。
では完璧な録音とは何か。
ナマの演奏そのままを録音したもの、という人はいる。
でも、それが本当の意味での完璧な録音なのか、となる。
完璧な文章という意味での完璧な録音は、
ナマの演奏そのままの録音なのだろうか。
こんなふうに考えていくと、
結局のところ、完璧な人間はどこにもいない、というところに帰着する。
聴き手が完璧でないからこそ、完璧な音が必要となるのか。
そうともいえるし、そうではないともいえる。