宿題としての一枚(その1)
児玉麻里とケント・ナガノのベートーヴェンのピアノ協奏曲を、
菅野先生からの宿題のような一枚だ、とおもっている。
宿題としての一枚は、これだけではない。
菅野先生からの宿題だけではなく、
瀬川先生からの宿題のように、こちらが勝手に受けとっている一枚もある。
数は多くはない。
愛聴盤とは、少し違う意味あいの、存在の大きなディスクでもある。
宿題としての一枚。
けれど、宿題として出してくれた人たちは、もういない。
宿題としての一枚。
持っているほうが幸せなのか、持っていない方がそうなのか。
宿題としての一枚。
持っていないのか、それともあることに気づいていないだけなのか。