確信していること(その8)
瀬川先生の「本」づくりの作業において、書かれたものはすべておさめたいと思っている。
試聴記も含めて、だ。
試聴記といっても、すべてが30年以上昔のものばかりであり、
いま「本」に収録することにどれだけの意味があるのか、という声も実はあった。
でも実際に入力作業を続けていると、試聴記の中に意外な発見があり、おろそかにできない。
たしかにいま現在、その試聴記は試聴記としてはほとんど役に立たない。
でも、瀬川先生が何を求められていたのかは、試聴記から伝わってくることが多い。
なかには意外なモノの試聴記が,思わぬヒントを与えてくれる。
ステレオサウンド 54号に載っているグルンディッヒ・Professional 2500がそうだ。
54号では、瀬川先生のほかに、菅野先生、黒田先生の試聴記が載っている。
Professional 2500に高い評価を与えられているのは、瀬川先生ひとり。
菅野先生の評価は、かなり低い。
ここに、瀬川先生の求められている音、
つまりこの項の(その1)に書いたことが顕れている。